【建設業向け】工事台帳と会計上の利益が違う理由を税理士・行政書士が解説

工事台帳と会計の利益の違い




【建設業向け】工事台帳と会計上の利益が違う理由を税理士・行政書士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

工事台帳と会計の関係についての

記事になります。

 

それでは、スタートです!!

 

工事台帳と会計上の利益が違うわけ

こんなことありませんか?

 

当社で作っている工事台帳と

会計上の粗利が一致しない・・・

 

理由は次のことが起こっている

可能性があります。

 

①人件費のうち、会社負担分の社会保険が反映されていない

②各現場に分けることができない共通の経費がある

 

工事台帳では現場に関わった

職人の人件費を入れて作成します。

 

このときに給与の総支給額を

反映させているわけです。

 

そうすると総支給額ですから

個人負担分の社会保険は工事台帳に

反映できていることになります。

 

しかし、会社負担分の社会保険を

現場ごとに配賦しておかないと

工事台帳側では漏れてしまいます。

 

次に各現場ごとに分けることが

できない共通経費があります。

 

例えば、ヘルメット、作業服

大工道具などいろいろと経費は

発生します。

 

現場で特注したものであれば

各現場の経費として工事台帳に

反映させることができますが

 

現場作業に必要なものであっても

細かすぎるので各現場ごとに

分けて反映させることができない

経費があるはずです。

 

しかし、現場で使う経費なので

会計上の利益計算上では反映される

ということが起こりえます。

 

以上のことが理由で工事台帳と

会計上の利益が異なることがあります。

 

 

工事台帳に反映できない経費への対応

工事台帳に個別に反映することが

できない経費への対応はどうすれば

よいのでしょうか?

 

対応策は各現場ごとに共通経費として

配賦することになります。

 

「配賦」とは原価計算で使われる

言葉になりまして

 

要するに工事に関わる共通の経費を

各現場ごとに分けて反映することです。

 

反映させる方法は色々とありますが

会社負担の社会保険料であれば

 

未成工事の給与割合で各現場ごとに

分ける方法があります。

 

共通経費については恐らく

製造経費になっている科目が

該当しますので

 

未成工事割合にて各現場ごとに

各科目の金額を分けて反映させる

という方法があります。

 

このようにして最終的に工事台帳の

利益と会計上の利益を一致させる

方法があります。

 

 

 

これまでは、工事台帳に反映される

方法を確認しましたが

 

税務上では未成工事について

必ずしも工事台帳で反映した

金額が正しいとはならないと

判断されることがあり得ます。

 

要するに仕掛品の評価金額について

税務調査で問題にされる可能性がある

ということです。

 

仕掛品の評価金額について法定化

された方法というのものは

存在していません。

 

しかし、恣意的な金額操作ができる

仕掛品の評価金額については

客観的、合理的な評価方法をしておけば

基本的には問題とはされません。

 

客観的とは意識的に金額が操作

されていないことです。

 

合理的とは金額の計算に当たって

説明がつくという意味と理解

しておけばよいです。

 

例えば、上記の給料割合や

未成工事割合といった割合は

 

月、年ごとに違う率になりますが

恣意的に割合を変動させることが

できるわけではありません。

 

したがって、合理的な割合で金額を

計算したと主張することが可能です。

 

問題は客観的な部分です。

 

これは、現場の経費はすべて

製造原価に入れている必要があるので

こういった事実から客観性を説明する

という手法があります。

 

ですから、事実認定の部分になると

私は考えています。

 

工事台帳に反映できない経費を含めて受注する

話は変わりまして受注について

考えていきます。

 

以上のように工事の原価になる

金額は現場に直接かかった経費だけ

というわけではありません。

 

共通経費の存在があります。

それと販売費及び一般管理費も

存在することを忘れてはいけません。

 

工事を受注する場合の当社からみると

見積上である程度利益があると

見込まれたとしても

 

見込まれた利益で、さらに

共通経費と販売費及び一般管理費

を賄うことができるのかを考えて

受注する必要が出てきます。

 

つまり受注金額に織り込む金額は

工事原価のみならず

 

共通経費や販売費及び一般管理費も

含めておかないと赤字経営になる

恐れが出てくるわけです。

 

社長さんがおいしい仕事と思って

受注したとしても結果赤字になる

可能性があるわけです。

 

 


編集後記

最終的に受注金額の影響まで踏み込み

解説してきたわけですが

 

建設業に関わず中小企業の

社長さんの多くは販管費まで

考えて受注しているかたは

多くないと感じます。

 

会社の利益計算は単純で

売上ー経費で売上が大きければ

必ず利益が出る構造ではあります。

 

しかし、損益構造は上記の通りでも

収支計算が別に必要になり

もらったお金ー支払ったお金で

 

もらったお金の方が多くならないと

損益では黒字でも収支ではお金が

残らない財務体質になります。

 

この辺りが経営上の難しさに

なると考えています。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。