【年金法案の改正提出】被用者保険の適用拡大等を社労士が解説
こんにちは!
税理士・行政書士・社会保険労務
の齋藤幸生です!
今回は・・・
厚生労働省が国会に提出した
年金法案等の改正から
被用者保険関係を抜き出して
解説します。
それでは、スタートです!!
被用者保険の適用拡大等の中身
提出された内容は次の通りです。
① 短時間労働者の適用要件のうち、賃金要件を撤廃するとともに、企業規模要件を令和9年10月1日から令和17年10月1日までの間に段階的に撤廃する。
② 常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種を解消し、被用者保険の適用事業所とする。※ 既存事業所は、経過措置として当分の間適用しない。
③ 適用拡大に伴い、保険料負担割合を変更することで労働者の保険料負担を軽減できることとし、労使折半を超えて事業主が負担した保険料を制度的に支援する。
厚生労働省 社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案の概要から抜粋
すでに報道されているところ
になりますが
パートなどの短時間勤務者への
社会保険適用が①になります。
②は社会保険に加入しなくても
よい非適用事業所がなくなります。
③は従業員の負担が増加する
社会保険の負担を事業者が負担する
ことができる内容です。
以上のように、個人、事業者
それぞれで社会保険の負担が
増加する内容になっています。
短時間労働者の社会保険加入と非適用業種の解消
まずは、パートなどの社会保険加入
について確認します。
今回の法案で完全撤廃される
ところは
・106万円の壁
・週所定労働時間が20時間以上
・学生は適用対象外
になります。
こちらが撤廃されるのは
法律の公布から3年以内の
政令で定める日です。
現行法令だと上記の要件に
加えて企業規模51人以上という
要件があります。
こちらは、令和9年10月1日以降で
段階的に撤廃されます。
実施時期は次の通り
・35人超:令和9年10月1日で撤廃
・20人超:令和11年10月で撤廃
・10人超:令和14年10月で撤廃
・10人以下:令和17年10月で撤廃
になります。
言い換えると令和17年10月で
原則、企業規模要件はなくなり
ほぼすべての事業者は社会保険に
加入することになります。
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話は変わって非適用事業者を
解消する内容を確認します。
結論から申し上げると
個人事業所の適用範囲を広げる
ということです。
個人事業所で5人以上の従業員が
いる場合の現行制度は
・法律で定める17業種が適用されています
・17業種以外の事業については、非適用です。
17業種以外の事業としては、農業、漁業、飲食サービス業などです。
上記のうち非適用事業について
令和11年10月から適用事業になり
社会保険の加入義務が生じます。
ただし、経過措置として
令和11年10月の時に存在する
事業所は当面期限を定めずに
適用除外されます。
5人未満の従業員の事業所は
法改正後も非適用になり
社会保険の加入義務は必要ない
ということになります。
現行で非適用になっている事業
ではパート労働者を雇用している
可能性が高い業種なので
事業主負担が増えるのみならず
そこで働いている従業員の手取り
を減らすことに貢献します。
保険料負担の変更、支援制度
上記の改正後では比較的小規模な
企業で働くことになりますので
従業員が社会保険の加入で
減る手取り対策として
事業者が一部負担を肩代わり
する制度が始まります。
3年間は国の定める負担割合
で事業者が負担できる経過措置が
始まります。
労働者の負担を年収に応じて以下のように事業者が負担できます。
・106万円:50%から25%
・118万円:50%→30%
・125万円:50%→36%
・132万円:50%→41%
・142万円:50%→45%
・151万円:50%→48%
・161万円以降は、50%負担になり事業者負担はなし
こうした事業者の負担が増す
可能性があるため令和7年度中に
一定の条件を満たすことで
キャリアアップ助成金による
支援の措置が検討されています。
編集後記
最後の事業者が従業員の社会保険料
の一部を負担する制度ですが
所得税では非課税になって
いない措置になります。
結果、事業者が個人の社会保険
を負担することで給与収入になり
個人では、社会保険料控除にて
控除を受けることになります。
実際に所得税や住民税の負担は
増えることは少ないと考えますが
社会保険料を負担してもらった
分だけ年収が増えるため
所得税のいろいろな要件に
引っかかり例えば
配偶者控除や扶養控除が
適用できなくなる可能性が
あると考えます。
社会保険の負担軽減はできても
税金上で何らかの制度を追加
しておかないと
世帯収入が減るという
結果を招く恐れがあるという
わけですね。
では税理士・行政書士・社会保険労務士
の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
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