【年金法案の改正提出】在職年金、遺族年金、標準報酬月額の引上げを社労士が解説

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【年金法案の改正提出】在職年金、遺族年金、標準報酬月額の引上げを社労士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

在職老齢年金、遺族年金の見直し

標準報酬月額の引上げについて

解説した記事です。

 

それでは、スタートです!!

 

在職老齢年金の見直しで負担増する人

在職老齢年金の仕組みとは

60歳以降に勤務しながら受給する厚生年金を言います。しかし、給料と年金額に応じて年金額の一部または全部が支給停止されるもの

になります。

 

支給停止になる金額があり

これが支給停止基準額と言います。

 

現行は50万円までに決まっていて

給与と年金額の合計額が51万円

を超えると年金額が減る状態になります。

 

見直しでは令和8年度について

62万円になります。

 

見直しが行われる理由は

パートの103万円の壁同様に

 

就業調整が行われてしまい

高齢者の働き方を抑制している

側面があったと考えられています。

 

内閣府の生活設計と年金に関する

世論調査では2024年の調査結果で

31.9%が

年金額が減らないように時間を調整し会社等で働く

という回答がありました。

 

なお、現在の支給停止されている

人数は50万人いて

 

支給停止対象額は4,500億円に

なっているようです。

 

見直しで20万人が新たに

厚生年金を全額受給可能なように

なると試算されています。

 

 

遺族厚生年金の見直しで有期年金になる

遺族厚生年金は長らく男女間格差が

ある受給になっていました。

 

見直しを確認する前に

現行制度を確認します。

 

妻が夫の死亡により遺族厚生年金を

受給している状態では

・夫の死亡時に妻の年齢が30歳未満で子がいなければ、5年間の有期年金になります。

・夫の死亡時に妻の年齢が30歳以上であれば子の有無にかかわらず一生涯受給可能です。

 

対して夫については

・55歳から受給可能なのですが、受給は60歳からになっており、55歳から59歳までは支給停止状態

ということになっています。

 

こういったことが男女間格差

につながっていました。

 

こちらを見直して以下のように

行うことになります。

 

 

 

夫婦ともに5年間の有期年金

になるのが原則です。

 

しかし、原則を貫くと子がいる

夫又は妻には影響があるとの

考えから

 

現行制度の給付内容を維持する

ということになります。

 

つまり、原則5年間の有期年金は

子がいることで無期受給になる

というわけです。

 

また、60歳以降の高齢者も

無期年金の対象者になり

 

すでに現行制度の遺族厚生年金

を受給している人も無期年金は

同じです。

 

したがって、影響を受ける人は

子がいない30歳以上の妻

になります。

 

先ほど確認したように現行制度

では30歳以上であれば子の有無に

かかわらず無期年金です。

 

しかし、見直し後は子の有無に

年金の期間が引きずられます。

 

標準報酬月額の段階的引き上げで負担増する人

標準報酬月額とは

健康保険料や厚生年金保険料の保険料を決めるための等級に対応する月給

になります。

 

現行制度では厚生年金保険料は

65万の32等級が最高です。

 

こちらを3年かけて次のように

段階的に引上げが行われます。

 

・標準報酬月額:68万円(令和9年から実施)

・標準報酬月額:71万円(令和10年から実施)

・標準報酬月額:75万円(令和11年から実施)

 

標準報酬月額の引上げで

社会保険料の負担が増す人は

 

以下のようになります。

68万円の場合:月給66.5万円から69.5万円:62,220円(月1,800円の負担増)

71万円の場合:月給69.5万円から73万円:64,965円(月3,700円の負担増)

75万円の場合:月給73万円以上:68,625円(月6,100円の負担増)

 

現行制度では標準報酬月額65万円

の水準にいるのは全体の6.5%で

278万人が該当するようです。

 

こういった人たちは今後

社会保険料の増加が見込まれる

人になるというわけです。

 

 

 


編集後記

今回は記事に入れていませんが

iDeCoの加入可能年齢の引上げも

法案に入っています。

 

現行制度では60歳未満までと

されているところ70歳未満まで

になります。

 

ただし、60歳から70歳未満までは

基礎年金やiDeCoを受給していない

人を加入対象にするようです。

 

iDeCoの建付けとしては妥当

なのですが

 

これだと、70歳以降に年金を受給

するときには所得税や住民税の

負担が増えると考えられます。

 

10年退職金の改正も相まって

税金負担は老後も気を付ける

ポイントになりそうです。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。