【士業の確定申告と支払調書】売上を管理していないとエライ目に!?




士業の確定申告と支払調書

士業の確定申告では所得の内訳を付けるときに

支払調書が役に立つことがあります。

 

ですから、支払調書はかなり便利なのですが、

会社側には支払調書を提供する義務はありません。

 

いつまでもたっても支払調書が来ない・・・

ということはありえます。

 

なので士業の確定申告では売上の把握を支払調書だけに

していると売上の計上漏れといったことが起こる可能性が

あるので注意が必要です。

 

それと、支払調書は確定申告書に添付する義務はなく

会社からすでに法定資料として税務署へ提供されています。

 

ですから、売上金額に大きな違いがある場合には

税務署にすぐにばれることになります。

 

となると、税務調査の対象となるばかりか、

いらぬ修正申告、罰金なども支払うことになりますね。

 

こういったことがないように支払調書だけに

頼ることはなくしていきたいものです。

 

支払調書で売上把握はまずいかも

それでは支払調書で売上把握することがいかにまずいのか

ということを考えたいと思います。

支払調書って何?

まず、支払調書とは何かを知らないと議論になりません。

 

支払調書とは会社が個人に報酬を支払った場合に

1年間の報酬を合計して一定金額以上のものを

税務署に報告する資料です。

 

会社は支払調書を提出しない場合には、

もちろん罰則規定がありますので、提出しないわけにはいきません。

 

さて、この支払調書ですが、冒頭でも申し上げた通り

税務署へ提出する義務はありますが、

報酬を支払った本人へ提出する義務はありません。

 

ですから、支払調書が欲しい場合には会社へ提供を依頼する

必要があります。

 

それと支払調書を作成するには1月~12月分のデータが必要で

そのために作成する税理士側としては12月のデータを見る

1月下旬までは作成できないのが現実です。

支払調書で売上把握がまずい理由

さて、支払調書で売上の把握がまずい理由なのですが、

上記の通り、会社には個人への提供義務はありません。

 

ですから、支払調書をだけで売上の把握をしようとすると

もし、会社が支払調書を提供することを忘れていれば

売上の把握漏れの状態で確定申告書を作成することになります。

 

事務員さんがいて毎月請求書をも基に帳簿を作成していれば

このようなミスは回避することができます。

 

しかし、事務員さんを雇っていない場合には、

全部所長がやることになりますので、

 

1年分を一気にやろうとするとかなり大変な作業と

なると思いますね。

 

以上のような理由から支払調書だけで売上を把握することは

まずいことにつながると考えられます。

 

因みに行政書士は源泉所得税が報酬支払時に天引きされない

こととなっていますので、

 

そもそも支払調書の対象となる個人には当たりません。

ですから、後述する売上管理をしないといけないです。

 

 

売上を管理する

さて、それでは売上を漏れなくする解決策には

一体どのようなことがあるのか?です。

売上管理する!

これは売上を管理するという方法になりますね!

 

売上を管理するとは、得意先ごとに年間でいくら

売上があって、源泉所得税がいくら引かれたのかを

把握することになります。

 

行政書士以外の士業では売上把握と同時に

源泉所得税の把握は必須です。

 

両方とも税金計算に影響を与えますが、

売上は年税額の計算に影響することになりますし、

 

源泉所得税の記載漏れをすることになると

所得税の還付が受けられなくなりますね。

 

以上のことから非常に重要ということは

分かって頂いたと思いますので、

 

売上の管理をやっていきましょう!

 

 

 

私がやっている売上管理はこれだ!

では、現実的な売上の管理はどうやるの?

ということになりますね。

 

私が行っているやり方は帳簿方式です。

 

まず売上については、売掛金という勘定科目を使い

取引先ごとに補助科目を設定します。

 

例えば、売掛金:○○株式会社、有限会社○○

といった具合に補助科目を設定します。

 

このようにしておくことで、後で試算表を確認した時に

売掛金の補助科目ごとの金額が累計されていきます。

 

また、源泉所得税も補助科目を設定しておくと便利です。

 

通常、個人事業の帳簿では事業主貸という科目で

源泉所得税を処理することになると思います。

 

従って、事業主貸にも源泉所得税という補助科目を

設定しておくことが良いと思いますね。

 

このようにしておくと、後で帳簿を確認した時に

取引先ごとの売上金額や源泉所得税が分かります。

 

売上金額と源泉所得税は集計することになるので、

売掛金の補助元帳をexcelで取引先ごとに出力して

集計することにしています。

 

こうしておくと、後で顧問先の支払調書を作成するときに

流用することができるからです。

 

税務調査に備える

さて、確定申告で避けて通れない問題があります。

それは、税務調査ということになりますね。

 

売上の管理をしているともう一つ良いことがあります。

税務調査に耐えられるということです。

 

税務調査で最もよく見られるポイントは売上です。

 

どのようなことを想定してみてくるのかというと

 

・売上が支払調書とあっているかどうか

・売上の計上漏れがないかどうか

・売上の計上方法の確認

・売上の期ズレがないかどうか

 

といったことになりますね。

支払調書の突合

まず、支払調書と会っているかどうかは、

事前に税務署の中でやっている準備段階で確認できます。

 

現在、税務署内部ではマイナンバーでの所得把握する

システムが稼働していて簡単に所得把握ができます。

 

ただ、支払調書といっても万能ではありません。

 

支払調書だけでの調査では、支払調書の提出金額以下の

売上については税務署はわかりません。

 

したがって、実地調査といわれる事務所へ伺って行う

調査が行われることになるのです。

 

この時に、売上の計上漏れ、計上方法、期ズレといった

ことを確認していきます。

 

それでは、計上漏れ、計上方法、期ズレについて

解説していきます。

売上の計上漏れの確認

計上漏れは売上を計上することを忘れてしまったものが

ないかどうかの確認です。

 

士業では2つの売上金の回収方法が想定できます。

・現金で回収

・銀行振込で回収

 

このうち、銀行振込は事前に銀行へ調査に行っている場合には、

調査官は関心を示しません。

 

現金で回収している売上についてのみどうやって

現金で回収しているのかを確認してきますね。

 

例えば、領収書の束、経常的な売上先なのに売上が無い月の

状況を確認してみたりといったことです。

売上の計上方法の確認

売上の計上方法も確認することになりますね。

所得税の計算での売上の計上方法とは次のようになります。

 

サービスを提供した都度売上を計上する方法

 

士業は基本的にサービス業なので、サービスを提供したら

請求書を発行するなどして売上を計上することになります。

 

会計的に申し上げれば実現主義という方法で計上する

ということになります。

 

上記以外で計上するとどうなるんですか?

という疑問が出ると思います。

 

期ズレの解説を交えて、考えてみますね!

売上の期ズレの確認

まず、売上の計上を請求の都度計上する以外の方法では、

現金主義で計上する方法が考えられますね。

 

つまり、銀行に入金されてきた都度売上を計上したり、

現金でお金を回収した時に売上を計上する方法です。

 

このような方法だけで確定申告書を作成した場合には、

売上の期ズレが発生する可能性が高くなりますね。

 

というのは、現金や銀行振込で回収した売上金ですが、

一体いつの売上金なのでしょうか?

 

通常の売上の回収サイトを考えると、

前月分が当月に入ってくる30日サイトが士業では一般的だと

私は考えています。

 

つまり、お金で回収した都度売上とした場合には、

12月分の売上は翌年の1月に入金があると思います。

 

確定申告書を作成する上での売上の計上方法は、

翌年の1月に入金される予定の金額は前年の確定申告書に

取込まないと正確な所得税を計算できません。

 

したがって、売上の計上方法の確認と期ズレは一体的な

確認となり、税務調査では重要な確認事項となるのです。

 

キチンとやると後悔しない

上記のように売上の把握がいかに重要なのかが

分かって頂けたかなあと思います。

 

自分の申告なのでどっちでもいいやと考えがちですが、

それだといざ、税務調査となったときに後悔することに

なると私は思うわけです。

 

そうではなく、一つ一つクリアーしていけばそんなに大変な

ことではないと思います。

 

まずは売上の把握から始めてみていただけると幸いです!

 

 


編集後記

今日は二日酔いとの戦いでしたね。

多くの時間を体調不良で失ってしまいました(反省)

 

年賀状が色々届いて、来年出す人の参考なっています。

最近は年賀状でのやり取りが減っているようなので、

まあ逆張りではありますが今後も続けようかなあと思います。

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。