【年度更新】対象賃金と対象労働者の判断を社労士が解説

年度更新 労働保険




【年度更新】対象賃金と対象労働者の判断を社労士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

労働保険の年度更新について

対象になる賃金と対象者のみを

取り出した解説をします。

 

それでは、スタートです。

 

年度更新の対象賃金

事業主が労働者に対して賃金、手当、賞与、その他名称のいかんを問わず労働の対償として支払うすべてのもので、税金その他社会保険料等を控除する前の支払総額を言います。

申告書の書き方 労働保険対象賃金の範囲より抜粋

要するに、給与として支払うもの

のほとんどが該当するイメージです。

 

判断のキーワードは労働の対償

として支払うすべてのものです。

 

対して賃金としないものが

限定列挙されています。

 

例えば、役員報酬です。

役員は労働契約ではないため

賃金から除外されます。

 

但し役員であっても

取締役工場長など労働者と

認められる人については

 

対象賃金に含まれること

に注意が必要です。

 

この時のキーワードは

定款などに基いて、業務執行権又は代表権を有すると認められるもの以外の者

になります。

 

現実的には役員報酬と

工場長などの名義として

 

給与が分かれている場合が

想定されます。

 

実務上のポイントでは

慶弔関係で会社から従業員へ

支出したなどの

 

結婚祝い金とか死亡弔慰金など

といったものは賃金になりません。

 

実費弁償的な出張旅費などで

使った経費の精算については

賃金とはされません。

 

中小企業では従業員に対して

生命保険を掛けている場合が

ありえます。

 

こちらも賃金にはなりません。

 

コロナ後では在宅勤務が原則で

一部出社という場合があります。

 

この場合には以下のように

分かれる取り扱いになります。

 

労働日における就業場所が

自宅で業務として一時的に出社する

ための通勤費は実費弁償になり

賃金とされないもの

とされます。

 

労働日における就業場所が

会社である場合には通勤手当

になり

通勤手当として賃金になります。

 

 

 

年度更新の対象者

労働保険は労災保険と雇用保険

を合わせた呼び名です。

 

労災保険と雇用保険それぞれの

対象者を確認します。

 

労災保険の対象者の基本的

考え方

常用、パート、アルバイト、派遣等、名称や雇用形態に関わらず、労働の対償として賃金を受けるすべての者が対象になる

申告書の書き方 労働保険対象者の範囲より抜粋

 

法人の役員の取扱いでは原則

代表権・業務執行権がある役員は労災保険の対償にならない

 

先ほども申し上げたように

原則役員は対象者ではないです。

 

しかし、代表取締役など以外の

取締役で取締役営業部長など

として

 

営業部長として指揮命令を受け

役員報酬以外として営業部長職

に対応している給与がある人は

 

営業部長などの地位に基く

部分の給与が対象になります。

 

個人事業主と同居している

親族については労働者になりません。

 

税法上の専従者給与をもらっている

人をイメージするとよいです。

 

ただし、個人事業主と別居している

一定の親族は労働者になることが

あります。

 

派遣労働者がいる場合には

次のように分かれます。

・派遣元:原則労働者として労災保険の労働者になる

・派遣先:労働者にならない

 

 

雇用保険の対象者の基本的

考え方

常用、パート、アルバイト、派遣等、名称や雇用形態に関わらず

①1週間の所定労働時間が20時間以上

②31日以上の雇用見込みがある場合

が対象者になる

申告書の書き方 労働保険対象者の範囲より抜粋

現行法令上で上記から

除かれている人は次のとおりです。

・季節的に雇用される者であって、次のいずれかになる人
①4か月以内の期間を定めて雇用される者
②1週間の所定労働時間が30時間未満であるもの

・昼間学生

 

役員の取扱いは労災保険と

同じになります。

 

個人事業主の親族は原則

雇用保険の労働者になりませんが

 

一定の場合には労働者になる

ことがあります。

 

派遣労働者は次のようになります。

・派遣元では次の要件を満たしていれば労働者になります。
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
②31日以上の雇用見込みがあること

・派遣先:労働者になりません。

 

原則的な考え方としては

労災保険では役員以外が

対象労働者になり

 

雇用保険では要件を満たした

労働者が対象者になるイメージです。

 

賃金を集計表で集計する方法

年度更新が郵送されてくると

確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表

も同封されてきます。

 

まずはこちらで集計を行った

あとで申告書に数字を書くことが

効率的な作成方法です。

 

集計表は紙になっていますが

厚生労働省ではエクセルで

提供されています。

 

主要様式ダウンロードコーナー

こちらのサイトで

 

年度更新申告書計算支援ツール

をクリックすると

 

継続事業用、雇用保険用、建設事業用

の3つが提供されています。

 

一般的には継続事業用で集計する

ことになります。

 

令和7年7月10日期限の今回の

申告書の保険期間は

令和6年4月から令和7年3月31日

になります。

 

集計表へ集計する給与は支払った

給与ではなく令和7年3月までに

支払が確定した給与すべてです。

 

例えば、末締め翌月末支払い

というサイクルの給与では

 

令和7年3月31日締めの給与は

今回の集計表では書く必要が

あることになります。

 

イメージは支払ベースではなく

確定ベースです。

 

 


編集後記

今年から顧問先の労働保険の

申告についてe-GOV電子申請

を使ってみました。

 

提出するときに電子納付と

電子納付以外の選択があります。

 

すでに口座振替を使っている

場合には電子納付以外を選択する

注意点があります。

 

電子納付を選択すると

申告後にペイジーで納付できる

納付情報の発行が行われます。

 

収納機関番号などが載っている

データが格納されるわけです。

 

こちらをもってネットバンキング

やATMにて納付ができます。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。