外国法人の消費税の申告について




今回は、平成27年10月から始まった事業者向け電気通信役務の提供以外の役務の提供(消費者向け電気通信役務の提供)について紹介いたします。

★消費者向け電気通信役務の提供とは?

海外から日本の消費者向けにインターネットを通じてサービスを提供した場合が消費者向け電気通信役務の提供になります。

この取引がある場合には、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるときは海外に本店のある事業者であっても日本の税務署へ消費税の申告を行い、かつ、納付をしなければなりません。ただし、判定の売上高は基準期間以外もあるのでご注意を!!

 

★国税庁が外国法人の消費税の課税強化を進めていますよ

昨年から私の担当先の外国法人の支店や子会社に消費者向け電気通信役務の提供を行っていないかどうかの照会が来ています。文面にはその資料の回答なき場合には、税務調査を行う旨の記載がありました。記述の内容に関して、どの程度回答すればよいのか、回答しないと本当に税務調査が実行されるのか、税務調査を行う上での根拠法令について国税庁へ確認してみました。

①消費者向け電気通信役務の提供に関する記述の範囲

これの内容は、外国法人の企業名、住所、株主構成、応答者、日本における取引の内容、基準期間における課税売上高、課税売上高のうち電気通信役務の提供に係る売上高、消費者向け役務の提供に係る売上高といった内容を記載するようになっていました。

国税庁の担当者へ伺ったところ、わかる範囲内で回答をしてほしいとのことで、会社様にはそのままわかる範囲内で記載するように説明しました。

 

②税務調査を行う旨の記述とその根拠法令

税務調査を実施できるのかを伺ったところ、外国法人なので現実的には難しいという回答がありました。その根拠法令に関しても行政手続法第32条(行政手続きの一般原則)があるのにいきなり税務調査はできないのではないかと疑問を投げかけたところ、その通りであるという回答を得ました。

 

★上記の照会文書が届いたらどうすればよいか?

基本的には、回答へ協力をすべき文書になりますのでわかる範囲内で記載していただき、送付いただければ問題のない対応となります。

 

★企業が消費者向け電気通信役務の提供を受けた場合は仕入税額控除できる?

これが起こる可能性があるのは、電子書籍をインターネット通販会社等で購入した時だと思います。これは、現行法令上、原則できません。ただし、以下の要件を満たせば控除対象となります。

控除の対象となる要件

①その取引に関する帳簿及び請求書の保存がされている

②書類の制作者の氏名又は名称及び登録番号

→有名企業だと外国法人登録番号により国税庁へ登録しています。

③課税資産の譲渡等を行った年月日(課税期間内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめてその書類を作成する場合にはその一定の期間)
④課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
⑤課税資産の譲渡等の対価の額(その課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する金額がある場合には、その金額を含みます。)
⑥書類の交付を受けるその事業者の氏名又は名称
⑦課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨
以上のように、税理士や中小企業であってもクロスボーダー取引に関する消費税の知識は持っておかなければならない状況となりつつありますので、税理士に聞いてしまうのも手ではありますが、高齢化が進んでいる税理士に上記の改正を聞いても理解されない可能性もあります。ぜひご自身で法令や実務上の取り扱いを調べてみてはいかがでしょうか?




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齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。