【個人事業主向け】帳簿がないことの罰則措置と簿外経費の必要経費不算入を解説

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【個人事業主向け】帳簿がないことの罰則措置と簿外経費の必要経費不算入を解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

帳簿を付けていない場合やそもそも帳簿に計上していない場合の税制上の罰則措置をまとめた記事です。

 

それでは、スタートです!!

 

帳簿がないことの罰則措置

この罰則措置の適用開始は

2023年(令和5年)の確定申告

からになります。

 

罰則の内容は次の通りです。

①帳簿の提示等をしなかった場合
→過少申告加算税等の割合が10%加重されます。

②帳簿への売上金額の記載等が、本来記載等をすべき金額の1/2未満だった場合
→過少申告加算税等の割合が10%加重されます。

③帳簿への売上金額の記載等が、本来記載等をすべき金額の2/3未満だった場合
→過少申告加算税等の割合が5%加重されます。

 

要するに税務調査において

帳簿を調査官に見せなかったとか

 

売上をごまかして処理していた

といった場合に罰則規定に引っかかる

というものです。

 

過少申告加算税等とは

①過少申告加算税

②無申告加算税

を言います。

 

過少申告加算税とは

例えば、所得税の課税対象となる金額が本来なら1,000万円なのに、確定申告書では800万円を対象としていた場合に差額200万円に対する所得税の他にかかる罰金です。

 

無申告加算税とは

確定申告する義務があるにも関わらず、確定申告をせずに放置していたことが税務署にばれたときにかかる罰金です。

 

過少申告加算税の税率

①原則:10%

②特例:原則の対象金額を超えた金額に対して15%

 

無申告加算税の税率

①原則:15%

②特例:20%

 

帳簿の提示等がなかった場合に

該当する場合には上記の税率に

10%上乗せされた税率になります。

 

過少申告加算税の原則であれば

10%+10%=20%の罰金

ということになります。

 

 

帳簿に計上していない経費の罰則措置

こちらの罰則措置も

2023年1月から適用されます。

 

こちらの罰則措置は罰金ではなく

税務調査の場面に後出しで経費を

主張しても税務署は認めないとする

罰則措置です。

 

適用対象者

①事実の仮装隠ぺいをした方

又は

②無申告の年分がある方

要するに売上を隠すとか

申告義務を放置している

といった方が対象です。

 

こういった方が税務調査で

実は、調査官に提示した領収書以外にも経費はあって、Aさんに外注費を支払ったんだよ。

と主張しても無駄ということです。

 

これを税務上で簿外経費と言います。

 

一般的には経費は領収書などの

原始資料をもって帳簿を付けて

経費にしていきます。

 

ところが売上を隠した方が

税務調査で他にも経費があり

帳簿には書いていないだけ

といった主張をする方がいるそうです。

 

今までは、このような簿外経費を

調査官が取引事実を確認しに行って

あるのかないのかを判断していたそう。

 

 

 

さすがに現場から面倒で

時間のかかる作業はなしにしたい

という要望でもあったのでしょう。

 

簿外経費は一律で経費にしない

という強硬的な措置を法律にした

ということです。

 

ただ、仮装や隠蔽、無申告であっても

一定の事由により経費算入が認められる

場合があります。

 

①原価や販売費一般管理費が生じたことを明らかにする帳簿書類等を保存する場合

②帳簿書類等により取引の相手先が明らかである・取引が行われたことが推認される場合であって、反面調査等により税務署長がその取引が行われた認める場合

以上の場合には簿外経費であっても

経費にしない罰則は適用されません。

 

因みに、災害等で帳簿書類等を

保存することができなかった

ことを納税者が証明した場合にも

経費にしない罰則は適用されません。

 

災害等に該当する事例は

あなたの意志ではどうすることも

できないような自然現象などを

いうとされています。

 

 

結論は帳簿を付けてすべて計上すること

以上のことから帳簿があると

色々な場面であなたは主張を

することが可能になります。

 

売上が抜けていた場合は

過少申告加算税等の加重措置の

対象になるわけですが

 

本来2022年12月の売上として計上するべき売上を間違えて2023年1月の売上として処理していた場合

このような場合には

単なる会計処理の間違えです。

 

こういったことまで加重措置の

対象にされたらたまりません。

 

結論としては加重措置の対象には

なりませんが

 

2022年の所得税の課税対象を

少なく申告しているので

原則の過少申告加算税はかかります。

 

このように帳簿を作成している

だけで簡単にトラブル防止を

することが可能になります。

 

 


編集後記

今回、ご紹介した2つとも

納税者の適正申告を促すための

措置と国税庁は説明しています。

 

実務に携わらせていただいている

当方としては帳簿を作成して

試算表で事業の推移を確認すること

の方が大切だと思っています。

 

そもそも帳簿は税金のためにある

書類ではなくて経営判断の資料です。

 

こういった観点から帳簿について

作成する意味合いを説明したほうが

世の中のためになると思います。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。