中小企業では2021年4月から適用される同一労働同一賃金について税理士・行政書士が解説!
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
中小企業では2021年4月から適用される
同一労働同一賃金について税理士・行政書士が
解説する記事です。
・同一労働同一賃金とは?
・厚生労働省ガイドラインの不合理な待遇禁止とは?
・中小企業で今後想定されること
についてわかる記事です。
それでは、スタートです!!
同一労働同一賃金とは?
同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
(厚生労働省、同一労働同一賃金特集ページより)
上記からわかることは
パートさん、有期契約の社員
派遣労働者に関する不合理な待遇差を
是正しよう!!ということです。
中小企業ではパートさんと有期契約社員について
2021年4月から施行されることになります。
要するに非正規社員と正規社員との
不合理な待遇差を無くすことが求められます。
元々は2018年6月に成立した
「働き方改革関連法」において
「不合理な待遇者の解消に向けた規定」
が盛り込まれたことに端を発します。
因みに2021年4月以降に問題となる
労働法令は
「パートタイム・有期労働法」です!
主な改正ポイントは次の通りです。
(派遣労働者を抜いた部分について確認します。)
1.不合理な待遇差を解消するための規定の整備
・不合理な待遇差があるかは、個々の待遇ごとに、その待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨が明確になっています。
・短時間労働者に加えて、有期雇用労働者にも「均等待遇」の確保が義務化されました。
2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
短時間・有期雇用労働者から求めがあった場合には、事業主は短時間・有期雇用労働者に対して通常の労働者との間の待遇差の内容、その理由等について説明することが義務化されました。
3.行政による履行確保措置及び裁判外紛争手続(行政ADR)の規定の整備
行政による事業主への助言・指導、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇差等について紛争になっている労働者又は事業主が無料で利用できる裁判外紛争解決手続(行政ADR)の根拠規定が整備されました。
条文では「均等待遇」と「均衡待遇」に関する
規定がそれぞれ
パートタイム・有期労働法に規定されています。
「均等待遇」はパートタイム・有期労働法の
第9条に新設され
「均衡待遇」は労働契約法第20条から
パートタイム・有期労働法の第8条へ引越
という規定になっています。
「均等待遇」と「均衡待遇」の意味
について以下確認します。
均等待遇(新設の規定) | ①職務内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、
②職務の内容及び配置の変更の範囲が、雇用関係が終了するまでの全期間において、 ③通常の労働者と同一と見込まれる者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者)については、 ④短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取り扱いをしてはならない。 均等の意味として、等しく処遇(待遇)することを言います。 |
均衡待遇(引っ越した規定) | 事業主は、基本給、賞与その他のそれぞれの待遇(注)について、通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の
①職務の内容(業務の内容及びその業務に伴う責任の程度) ②職務の内容及び配置の変更の範囲 ③その他の事情のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して 通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の間に不合理と認められる相違を設けてはならない。 (注)基本給、賞与、通勤手当、皆勤手当て、福利厚生、教育訓練など 均衡の意味として、違いを認識して処遇(待遇)することを言います。 |
均等待遇と均衡待遇が求められる範囲は
厚生労働省の認識としては
基本給、賞与、手当、福利厚生、教育訓練
安全管理等すべての待遇になっています。
厚生労働省ガイドラインの不合理な待遇禁止とは?
厚生労働省は同一労働同一賃金についての
不合理な待遇の禁止にあたる行為として
ガイドラインを示しています。
2021年3月26日現在では
ガイドラインを守らないことを理由に
行政指導の対象になることはないと
明確に書かれています。
ただ、厚生労働層のガイドラインに関する
Q&Aでは適用が2021年4月1以降のため
現時点でガイドラインを守らないことで
行政指導等の対象にならないと書いてあるので
2021年4月以降の法律施行以降は
ガイドラインを守らないと行政指導等を
行う可能性があるとも読めます。
この点は、注意が必要であると思います。
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ガイドラインの考え方は
・正社員と非正規雇用労働者との間で、待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理でないものではないのか、原則となる考え方と具体例を示したものになります。
・基本給、昇給、ボーナス(賞与)、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生等についても記載しています。
・ガイドラインに記載がない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理な待遇差の解消等が求められます。各社の労使により、個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれます。
不合理な待遇差の解消にあたっての留意点
・正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消するに当たり、基本的に、労使の合意なく正社員の待遇を引き下げることは望ましい対応とは言えない。
・雇用管理区分が複数ある場合(総合職、地域限定社員など)であっても、すべての雇用管理区分に属する正社員との間で不合理な待遇差の解消が求められる。
・正社員と非正規雇用労働者との間で職務の内容等を分離した場合であっても、正社員との間の不合理な待遇差の解消が求められる。
基本給と昇給について
・基本給が労働者の能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、金億年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。
・昇給であって、労働者の金億による能力の向上に応じて行うものについては、同一の能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を行わなければならない。
賞与について
会社の業績等の労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。
各種手当について
役職手当であって、役職の内容に対応して支給するものについては、同一の内容の役所には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。
この様にガイドラインには色々と
内容が書かれています。
こちらからガイドラインをダウンロード
できますので一度確認する必要があると
考えています。
中小企業で今後想定されること
中小企業で想定されることとしては
非正規雇用労働者から説明をしてほしい!!
という声が上がる可能性があります。
特に非正規雇用労働者がいないと事業が
回らないであろう小売、飲食店では
事業主が説明せざるを得ない場面が多くなると
私は考えています。
同一労働同一賃金は中小企業の財務に
悪影響を与える可能性が高いです。
就業規則を作成する義務がある規模の
中小企業であっても給与規定を整備して
運用していることはまれだと思います。
そうなると正社員と非正規雇用労働者との
待遇差は今までどこで決まっていたのか
というと
オーナー社長の考えということになります。
同一労働同一賃金については
不合理な待遇差がキーワードなので
これだと法律違反になる可能性が
があります。
また非正規雇用労働者と司法で係争しても
裁判所で主張が認められない可能性があります。
以上のことから中小企業で行うことは
①待遇差の説明をできるようにしておくこと
②給与規定の整備で不合理な待遇差の解消
ということになります。
結論としては非正規雇用労働者の賃金を
正社員並みに引き上げることになるので
業績に影響する可能性が高いです。
前もって資金繰りの手当てをしておく
さらに売上と利益の増加を行う
といった経営を考える必要があります。
編集後記
私が関与している業種では非正規雇用労働者の
比率があまり多くないです。
とは言っても対応する必要がある会社は
出てくると思います。
関与先向けに説明する前段階の知識として
今回ブログにてまとめてみました。
同一労働同一賃金の根本的な
考えとしては要するに
ブラックボックスを無くすことを
目的にしていると思います。
今後を考えると仕事ができる人と
仕事ができない人と待遇差が開き
一層従業員ごとに分断する可能性が
出てくるのではないかと思います。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
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