令和2年度年末調整から始まる年末調整の電子化の内容を税理士が解説!




令和2年度年末調整から始まる年末調整の電子化の内容を税理士が解説!

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

令和2年度年末調整から始まる年末調整の電子化を

解説します。

 

・年末調整の電子化とは?

・年末調整の電子化への準備と手続

・年末調整の電子化の普及は進むか

について考察した記事となります。

 

それでは、スタートです!!

 

年末調整の電子化とは?

年末調整の電子化とは

すべてパソコンとインターネットで

年末調整が完了することです。

 

このような形となります。(イメージ図)

(国税庁ホームページから引用)

 

つまり、以下のようになります。

①従業員が保険会社等から控除証明書等を
電子データで受領

②従業員が国税庁ホームページ等から
ダウンロードした年末調整控除申告書
作成ソフトウエアに、住所・氏名等の
基礎項目を入力し、①で受領した電子データを
インポート(自動入力、控除額の自動計算)して
年末調整申告書の電子データを作成

③従業員が②の年末調整申告書データおよび
①の控除証明書等データを勤務先に提供

④勤務先が提供された電子データを給与システム等に
インポートして年税額を計算

 

実務上では、従業員が年末調整の基礎情報を作成

勤務先が年末調整のデータを従業員からもらって

給与計算のソフトウエアにデータを入れて

年末調整ができます!!

 

ということになります。

 

年末調整の電子化への準備と手続

電子化への準備編

年末調整の電子化を行うために準備をしますが

準備前にどういった行動が必要になるのかを

検討しないと準備ができません。

 

検討

①会社が年末調整の電子化をするかどうか?

②各従業員が年末調整の電子化への行動をするか?

③各従業員への周知

④各従業員への年末調整控除申告書作成ソフトウエアの
操作方法の研修はどうするか?

⑤自社で年末調整ができる体制か?

⑥給与計算ソフトウエアの改修等の検討

⑦年末調整が完了後のチェック機能は?

 

あまりにも細かくしても仕方ないので

大きく分けて7つに絞りました。

 

準備

年末調整の電子化をする、従業員も協力的

自社で年末調整ができる、チェック体制は万全

という前提で準備をしたいと思います。

 

従業員への対応としては

法令上、従業員からの事前同意は必要ないですが

現実問題として、従業員に年末調整業務を

やってもらうことになります。

 

法令上は必要ありませんが

同意は必要になると思います。

 

次に保険会社等から控除証明書等のデータを

取得するための手続

 

年末調整控除申告書作成ソフトウエアの

操作方法について研修を行います。

 

会社としては給与システムの改修等が必要に

なる可能性があります。

 

改修等としては

①従業員が作成した年末調整データのインポートが
できるようにシステムを変えること

②令和2年からの所得金額調整控除の計算が
できるようにシステムを変えること

 

 

手続編

準備が万端という前提で手続が必要です。

 

従業員は国税庁ホームページより

年末調整申告書作成ソフトウエアを

ダウンロードしてインストールします。

 

控除証明書はマイナポータルを利用する場合には

マイナンバーカードの取得が必要になります。

 

マイナポータルに対応していない保険会社等は

保険会社等のお客様ページからデータを取得する

ことになるようです。

 

会社側としては、あらかじめ

「源泉徴収に関する申告書に記載すべき
事項の電磁的方法による提供の承認申請書」

を提出して承認を受けることになります。

 

年末調整後の電子データにより提供を受けた

年末調整関係書類の保存義務があります。

 

提出期限の属する年の翌年1月10日から

7年間保存することになっています。

 

年末調整の電子化は普及が進むか?

年末調整の電子化は普及が進むのでしょうか?

私の私見ではありますが、普及は難しいと

考えています。

 

理由は、従業員の協力を得ることができない

のではないかにつきます。

 

実務上、紙であれば内容を記載要領の通り書いて

会社に提出すれば済む話です。

 

電子化の難しいところですが

パソコンですべて完結させることになるので

電子化することを目的化しているように

私には感じます。

 

電子化の本来の目的は効率化ができて

生産性が上がるということです。

 

現在、クラウドで給与計算するシステムでは

年末調整の資料について従業員ごとに送れて

書いて戻すことができるシステムがあります。

 

こちらに国税庁は無料とは言え

参入してるわけです。

 

国税庁が良かれと思っているはずの電子化は

現場で考えると効率化になりません。

 

どちらかというと従業員が年末調整に

携わる時間を増加させて、本来行うべき

お仕事の時間を奪うように感じます。

 

会社にとっても今までは資料さえそろえれば

外部の税理士に依頼できていたものが

自社で行うことが前提になっています。

 

誰が得をするのか?

こちらが良くわかりません。

 

以上のことから年末調整の電子化が普及する

ということは難しいと思います。

 

こういったことは民間に任せて

民間で行っているサービスでも電子的な保存要件に

該当するように保存要件を改めるといった

法律改正を行うことの方が行政機関がする

お仕事なのではないかと思います。

 

 


編集後記

年末調整の電子化ですが

私が関与している建設業に適用できるのかを

ちょっと考えてみました。

 

絶対に現場の職人さんは協力してくれません。

社会保険の加入でも抵抗がありましたし

源泉徴収されることにもいまだに抵抗がある

という職人さんがおられると思います。

 

さらに、年末調整の資料はパソコンで自分で

作成してデータをください・・・

協力をしてもらえるとは思えません・・

 

今後10年たっても難しいと思います。

どちらかというと年末調整を無くして

すべて確定申告で良いのではないかと思います。

 

もちろん、源泉徴収は存続させた上です。

こういった政策は実は、税務署の工数がかかるので

現実的はないんですよね。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。