【士業の経理の方法を考える】現金は使わない、税法基準にするのは決算時!




士業の経理の方法を考える

今回は、士業の経理の方法を考えます。

参考としているのは、私自身がやっている

経理方法となります。

 

税理士先生によっては、異なる考え方が

あるとは思いますが、

 

顧問先へ理想的な関与をするためにも

自分に顧問先と同様の基準で会計を行う

ということは大切だと考えています。

 

それでは、スタートです!!

 

お金のやり取りは第三者をかます

現金取引をしない

さて、お金のやり取りについての話です。

私は原則として、事業用の小口現金、

現金の売上はございません。

 

顧問料は、すべて口座引落になっているので、

実現主義にて会計処理をしています。

 

また、単発での関与もありますが、

その場合には取引口座を開かずに、

お客様から振込をして頂いています。

 

恐縮ではありますが、

振込手数料は顧問先のご負担です。

 

例外的に、現金取引の売上が発生してしまう

ということも実際にはあります。

 

独立1年目に新宿法人会で行った

決算説明の講師代が現金でした。

 

え!振込じゃあないの?

と思いましたが、仕方ありませんでした。

 

後は、先日同業の税理士先生から受けた

個人の確定申告報酬は現金でもらいました。

 

上記は、翌日すぐに事業用の口座へ入金して、

売上計上にしました。

 

このように、例外を除いて、現金は使いません。

 

では、なぜ現金を使わないのか?

証明の程度の問題があるからです。

 

例えば、現金だと、色々隠す手段があります。

これを第三者をかますことでそういったことは

私はしていませんよと証明できます。

 

私は税理士報酬を日税サービスという会社へ

口座引落の外注にしています。

 

ここで、各顧問先から口座引落を行い、

私へまとめて入金される流れとなっています。

 

ですから、各顧問先からの回収漏れは基本的には

あり得ないことになりますし、

 

売上の請求を行わない限り、

そもそも未収金を回収することができません。

 

これが現金だと、いつの分の顧問料なのか

不明確となってしまいます。

 

毎月、実現主義にて売上を計上していれば

良いかもしれませんが、

 

会計に慣れていない士業先生だと、

現金で回収した時に売上計上と処理して、

 

税務調査にて、売上の計上漏れを指摘される

リスクも発生する可能性がありますね。

 

ですから、私は、毎月、

(借方)売掛金 (貸方)売上高

この処理をするべく、現金取引をしないと

決めています。

 

現金取引と現金勘定の問題点

現金を使う問題点もありますね。

税務調査視点での話です。

 

現金取引をしたとして、実際の現金と

帳簿上の現金勘定が合わないリスクが発生します。

 

なぜリスクなのか?

次のことを想定できるからです。

 

①手許現金が帳簿残高より多い場合

この場合に、税務調査を考えないで処理すると、

(借方)現金 (貸方)事業主借

といった調整処理が必要となりますね。

 

この仕訳を発見した時に、私が調査官だったら、

売上の計上もれを疑います。

 

なぜなら、手許現金を増やす処理をしているので、

何かしらの収入があるではないか?

 

このように考えることができるからです。

 

なぜか現金が増えていたんだ!

と税務調査で主張できますか?

ということですね。

 

②手許現金が帳簿残高より少なかった場合

この場合に、想定できる処理は、

(借方)事業主貸 (貸方)現金

といった調整処理をすると思います。

 

この場合は、私が調査官だったら、

売上を抜いているのでは?

と疑いを持ってします。

 

要するに、税務調査官からすれば、

真実がどうであれ、事実として収入を上げれば

手っ取り早く税金(所得税)を徴収できますから、

いちゃもんを付ける材料を探すわけです。

 

こういった問題があるので、調整という言葉に

税務調査官は敏感に反応するわけです。

 

ですから、現金取引は行わないことに

越したことはないわけです。

 

ここで、税理士先生であれば、

事業用の現金は、仮払にする。

 

売上は別途、ケースなどに入れて管理して、

すぐに銀行へ入金といった柔軟な対応が可能ですが、

 

簿記、帳簿、税金や現実のお金の流れの知識が

欠如している士業先生だと、事業と個人をごちゃごちゃに

している可能性が高いと思っています。

 

ですから、現金取引は行わないことで、

色々、面倒なことから解放されると思っています。

 

最後に、念のためですが、

上記以外にも問題点はありますが、

 

現金を使ってはいけないという法理は、

税法の中にはございません。

 

それに、現金取引を止めるということを

推奨するつもりもございません。

 

ご自身で問題点に対応できれば、

使っていただいて良いわけです。

 

実際に、私が知っている先輩税理士は、

現金で顧問料を受け取っている先生もいます。

 

その人のあった取引、処理で良いわけです。

 

 

税法基準は決算時のみ!

税法基準を決算だけにする理由

さて、私は個人の税法基準を期中から

適用するのは好ましくないと思っています。

 

なぜなら、期中の事業用として計上した

費用が、売上ときちんと対応しないからです。

 

例えば、士業先生と言えども、自宅兼事務所だと

水道光熱費、地代家賃(賃貸の場合)などは、

事業按分という不思議な調整が必要です。

 

例えば、按分割合を事業50:家事費50であれば、

費用のうち、50%は費用計上となりますが、

残りの50%は費用計上できないです。

 

しかし、お金は、事業用口座から支出しているので、

お金だけが減っていき、費用計上できない費用は

使途不明になってしまいます。

 

このように、税法基準の会計では、

自分の事業部分だけを取り出して経理する

問題点があると思います。

 

 

 

 

個人事業主は個人と事業が一緒

また、税金計算上では、家事費は必要経費に算入できない

となっているわけですが、

 

事業用の帳簿に計上してはいけない

法律とはなっていません。

 

そもそも、帳簿作成のための要件が厳しくあるのは

消費税だけですね。

 

こちらも、仕入税額控除を受けるための

税法基準の帳簿作成の要件となります。

 

したがって、私が行っている経理方法は、

期中では、全額費用計上としています。

 

先ほど挙げた、水道光熱費や携帯代など、

決算時に家事按分が必要となる金額は

すべて全額費用計上を行っているわけです。

 

まあ、さすがに、生活用品や食料品まで

計上しているわけではありませんが、

 

帳簿上としては、純然たる個人と事業の個人を

まとめて帳簿に記載しても、家事按分を行えば

税金計算は、正しく行えるわけです。

 

純然たる個人部分は、100%家事費なので、

補助科目などで分けておいて、決算時に100%

費用をなくしておけば、事業用部分の経費を

計上したことになります。

 

それに、個人事業主は、売上で事業運営を行い、

個人の生活を維持していきます。

 

ですから、一緒に帳簿にしておかないと、

本来の姿で分析をすることができないと思います。

 

事業の分析を解説!

では、士業先生の事業の分析を解説します。

どのように分析するのか?

ノウハウ的なことになりますね。

 

前期と比較してみよう!

私は、顧問先へ伺ったときに、

時間と社長に余裕があれば、

前期と比較した説明をしています。

 

決算時点では、前年と当年を年単位で

比較すると色々見えてきますね。

 

先ども申し上げた通り、

私は決算時点では、事業用だけの数字になっていて、

それを比較検討することになりますね。

 

では、分析するときには何を見れば良いのか?です。

 

私は、次の勘定科目を確認します。

・普通預金
・売掛金
・買掛金(未払金、未払費用なども)
・借入金(短期と長期に分けましょう!)
・預り金(弁護士先生などは重要!)

これで分かることは、短期的な資金が

大丈夫かどうかです。

 

普通預金と売掛金はお金の収入になります。

買掛金、借入金、預り金はお金の支出になります。

 

これで、普通預金と売掛金の合計額が、

買掛金、借入金(短期部分)、預り金の合計よりも

多くなっている場合には、資金は回ります。

 

しかし、逆だと、短期的なお金は支出が多いので、

事業資金や生活費に影響が出る場合がありますね。

 

弁護士先生などの場合には、クライアントから

一時的に預かっているお金がありますので、

 

その部分に手を付けてしまうと

大変なことになってしまいます。

(手を付けて逮捕される人もいますが)

 

このように、資金の確認のための分析を

行うことができますね。

 

また、損益計算書では次の項目を確認してます。

・売上高
・売上原価(あれば)
・売上総利益(売上原価があれば)
・販売費及び一般管理費(以下、販管費とします)
・営業利益

 

この辺りの数字を前年と当年を比較して、

売上高は増えたのか減ったのか、

 

販管費は増えたのか減ったのか、

費目別(水道光熱費など)はどうだったのかを

確認していくと良いと思います。

 

月別で分析する方法

また、決算が終了した場合には、1年間で

毎月のデータが手許に残ることになりますね。

 

そのデータを眠らせておくには

非常に惜しいと考えています。

 

では、活用用で考えられることは、

・売上の推移を見てみる

・販管費の推移を見てみる

 

このような、毎月の推移表にできる

活用方法があると思います。

 

ですから、毎月のデータをCSVなどでエクスポートして、

エクセルで折れ線グラフを作成することで、

 

売上が増えた月、減った月を確認することが

できるようになりますね。

 

このような分析は、税務調査でも有効です!

 

税務調査では、初日に事業の概要を聞いてきます。

税理士業であれば、1月~5月で年間の売上の多くを

稼ぐ時期となりますから、

その旨説明すれば良いかと思います。

 

後は、なぜ売上が増えたのか?

このような質問も多いので、

その理由探しにもなりますね。

 

このように、最低、前年との比較と月別の推移は

やってみる価値があると思います。

 

 

帳簿は真実ではなく事実

世の中の風潮として、

法人はきちんと帳簿を作成しないといけない、

個人はちゃらんぽらんでも良い

こういった風潮があるように思います。

 

ですから、クラウド会計で自動取込やれば、

大丈夫なんですよね?

といった誤解が広まるのかあと思います。

 

帳簿処理は、真実ではなく、事実に基づいた

処理をすれば良いわけです。

 

個人事業とは言え、最終的に適用される法律は

所得税法という法律ですから、

 

その法律にどうやって、立ち向かい、挑戦するか

このように考えています。

 

ですから、事実行為が重要で、そのために

税法基準に合った帳簿と決算書を最終的に

作成できれば良いと考えています。

 

また、家事費が入った帳簿であっても、

それを税金計算で費用計上しなければ、

何も問題はないわけです。

 

世の中の風潮が、事実行為の積み重ねで

帳簿が作成されていると考えるに

至る日が来てほしいと思います。

 

 


編集後記

今日は、終日、事務所内で仕事です。

引きこもりと、ぼっちが大好きな私にとって、

最高の平日ということになります(笑)

 

そういえば、税理士の損害賠償保険の更新が

先日届きました。

まあ、契約の変更はないので、料金も一緒です。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。