【税理士職業賠償責任保険】2017年度の事故事例と加入率を見てみる!




税理士になったときに思うことで、

ミスったらどうしようというものです。

 

ミスしてしまうことはしょうがないことだと

私は考えています。

 

ミスするときはするのです。

しかし、こうした時に最後の砦は

必要なのではないでしょうか?

 

税理士職業賠償責任保険とは?

税理士職業賠償責任保険とは、

日本税理士会連合会を保険契約者として、

税理士及び税理士法人を被保険者とする

団体契約をいいます。

(株式会社日税連保険サービスより抜粋)

 

保険の内容

個人用保険(開業税理士・所属税理士)と

法人用保険(税理士法人)の2種類があります。

 

契約の内容としては、税理士の資格に基づいて

行った業務に起因して保険期間中に日本国内で

損害賠償請求を受けて、法律上の賠償責任を

負担したことにより被る損害について保険金を

支払うことになります。

 

ですから、税理士業務を行った(申告書作成など)

ときの保険加入の有無は問いません。

 

加入受付と保険期間

加入受付と保険期間は次の通りです。

☆初年度

加入受付期間:毎年6月~3月まで

保険開始日:保険料払込日の翌月1月午後4時から

保険満期日:7月1日午後4時

 

☆2年目以降

加入受付期間:4月から6月まで

保険開始日:7月1日午後4時

保険満期日:翌年7月1日午後4時

 

保険料と申し込み

保険料は、主契約タイプの保険料が

契約タイプと事務所の人員数により決まります。

 

支払は、初年度が加入月分を支払、

2年目以降は年間分を一括で支払です。

 

加入手続きは申込書に契約内容を

記入・押印のうえでゆうちょ銀行から

支払うこととなります。

 

契約更新時から、保険料の口座引落を

することができます。

 

保険のまとめ

このように、税理士がミスって

賠償請求されて、それが確定したら

保険で賄いますよということです。

 

東京税理士会では、一部の議論に

全員の加入を義務付けるのはどうか?

という議論があります。

 

そうすると社員税理士も加入せざるを

えなくなるといった不都合があること、

 

税務事故案件を起こす税理士が

何回も同じミスをやらかすことなどから

 

任意加入ということになっています。

 

2017年度の事故事例と加入率を見てみる

さてそれでは、事故事例などを

見ていきたいと思います。

 

事故事例の内訳

2017年度となっていますが、対象期間は

2017年7月~2018年6月までです。

 

支払件数は527件で支払金額は1,998百万円

という実績になっています。

 

支払金額が20億円近いということが

事故の壮絶さを物語っています。

 

賠償となった件数と支払金額が

一番多い税目は消費税です。

 

件数は251件で支払金額は900百万円

9億って!?という感じです。

 

事案で多いのは簡易課税関係の届出書を

提出失念ということです。

 

後は課税事業者選択の届出書の失念も

その次に多いようです。

 

 

続いては法人税が多いです。

件数は160件で支払金額は715百万円

となっています。

 

所得拡大促進税制の適用失念と

事前確定届出書の提出失念が多いですね。

 

まあ、この2税目だけで16億円という金額に

なっているのですごいなと思います。

 

多分、ちょっとしたことで忘れてしまって

賠償となったのではいかなあと推察します。

 

2017年の加入状況

加入率は2018年7月時点の情報ですが、

個人用保険は27,803件で49.03%の加入率です。

 

法人用保険は3,123件で82.82%の加入率

ということになっています。

 

個人は約半数が加入しており、

法人の加入率が高めなのが特徴ですね。

 

因みに、法人用保険では沖縄が100%の

加入率を誇っています。

 

個人では東北会が約60%の加入率で、

震災の影響かなあとも思います。

 

東京会では46.59%になっていて、

ワーストではないものの低い方に

なっている状況です。

 

ヒューマンエラーをゼロにはできない

さて、ここからはヒューマンエラーを

どうしようもないという点です。

 

ヒューマンエラーは起こるもの

ヒューマンエラーは税理士であっても

することがあります。

 

私も、前の勤務先(税理士となる前)には

ミスをしたことがあります。

 

例えば、簡易課税の届出書が過去に

提出されていて、それを知らずに

原則課税で申告したところに、

簡易課税での申告になったということです。

 

まあ、簡易課税の選択届出が提出されていた

こと自体知らなかったのですからしょうがない

と思うしかありませんでした。

 

しかし、税務署から決算時期にくる

メールには記載されていたようで、

それの確認を失念してしまったことは

事実だったですね。

 

後は所得拡大促進税制の適用もれや

間違いもしたことがありますね。

 

適用漏れは、適用の判断がややこしかった

という点に尽きると思います。

 

適用年度だけ継続勤務従業員を確認すれば

良かったのですが、それを前年でも同じ

判定をするものと誤解して適用が漏れた

ということがありました。

 

また、間違いとしては、損益計算書の給料と

集計した給料が異なっていたということも

あったと思います。

 

最終的に金額をチェックすることを

失念してしまったのです。

 

これについては、のちに税務調査で指摘を

されることになったのですが、改めて

集計をやり直して、書類上問題ないように

調査にて主張して認めさせたことがありましたね。

 

このように、私もばかなミスをしたり

しているわけです。

 

特に繁忙期に大きい会社の決算業務と絡むと

色々大変な目に合うことがあります。

 

事前にできるものは事前にやっておく

ということが重要だと思うのですが、

 

それができないことがあるからこそ、

事故に繋がるのだろうと思います。

 

 

保険があるからといって

一応念のためなのですが、

保険は本当に最後の砦です。

 

保険があるからミスして良いわけではない

これがあるからまあいいじゃん!

ということではありません。

 

因みに、免責は30万円なのでまったく

税理士が負担しないで保険会社が

全て払ってくれるわけではありません。

 

税理士の最大の負担を30万円までにする

というだけにすぎません。

 

事故事案が増えればその分だけ

免責30万円といっても増えていきます。

 

ミス防止ではなく確認することが重要

また私がだんだんわかってきたのは、

税理士業はミス防止に考えが寄り過ぎている

ということではないかと思います。

 

そうではなく、判断をする場合には、

確認のためにも一度調べることが重要です。

 

チェックリスト頼みになっていて、

それをやっていればいいという考えの人も

中にはいるのではないかと思います。

 

不安でなくても、念のため調べて確認する

という行動が事故にならない方法だと思います。

 

 


編集後記

今日は完全オフです。

ようやく月末のお仕事モードから

解き放たれます。

 

筋トレして頭を活性化してきたいと

思っています。

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。