今回は保証債務について、事業承継と相続税の視点で紹介いたします。
★保証債務とは??
保証債務とは、いわゆる連帯保証人になります。会社を経営している方であれば、会社が銀行から融資を受けるときに社長様が連帯保証人になるケースがほとんどです。この場合には会社が返済できないときは、社長様がご自身の私財をもって弁済することになります。
★事業承継での保証債務と相続税
事業承継の現場では、社長様がお亡くなりになり、そのご子息様が後任の社長に就任したとしますと、前社長の負っていた保証債務を個人で引き継ぐということになります。こうした場合には、相続税の債務控除(注1)の対象となってくるのかどうかという問題が生じます。
結論から申し上げますと、このような場合には債務控除の対象とはなりません。保証債務は現実に借金が返済できなくなり、連帯保証人に弁済義務が生じませんと返済義務のある債務として認識できないからです。
(注1)債務控除とは、相続財産から被相続人(亡くなった方)の債務を控除する仕組みです。
具体的には、被相続人の未払の税金、光熱費、葬式関連費用などです。
★保証債務を債務控除の対象とするには?
例外的には保証債務を負っている方が債務の弁済をしなければならない状態で、かつ、主たる債務者にさかのぼって債務の弁済を要求することができない場合には、保証債務の負担者が負っている保証債務のうち弁済できない部分が債務控除の対象となります。
上記の例で申し上げますと、事業承継した会社が倒産寸前で、新社長は弁済できない状態ということであれば、債務控除の対象なります。
現実的には、このような場合には相続を限定承継又は相続放棄の手続きを行って、負債を飛ばして、新会社を立ち上げたうえで事業のみを承継するという選択をされた方がいいのかなと思います。
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