建物の賃貸借における保証金などはどう処理されるか?




今回は建物の保証金について紹介いたします。

★建物の大家さんが取得した保証金

保証金を取得した場合には、保証金を返さないことが確実となった時に売上として計上することとなります。ただし、次のような場合にはどちらの日に計上すればよいのかという疑問が生じます。

前提:賃貸借契約日7/6、保証金の入金日7/6、鍵の引渡7/6、賃貸契約の開始日8/1

   法人の決算日7/31

   (注)保証金の償却条項はあるが、契約日から7/31までの間の取り決めは全くない

 

このような場合には、保証金は7/6の売上なのか、賃貸借契約の開始日8/1の売上なのかという疑問になります。事実だけをみると、契約日、保証金の入金、鍵の引渡が7/6で、賃貸借の開始だけが8/1ということになっています。ですから、入居者は7/6に部屋に入ることができますし、使うことができる状態と想定できます。といった事実と想定から、7/6に売上として計上することが適切であると考えます。

 

このように契約日と契約の開始日が異なる場合には、保証金などといった項目よりも日割り家賃で取っていただいて、契約開始日も鍵の引渡日も同日にした方がすっきりすると思います。

 

★建物の賃借人が支払った礼金や更新料

建物の賃借に関して礼金、契約の更新として更新料をお支払いになるケースがあると思います。この場合には、税法上繰延資産に該当することが一般的に言われています。ただ、実際に税務署の内規である通達を見てみると建物の権利金等に関する取り扱いが明示されているのみで具体的に礼金や更新料が繰延資産に該当するということは触れられておりません。

このような場合には、どうやって処理していくかという疑問になりますが、私は以下のように考えています。

 

礼金:賃貸借契約の最初に支払うものなので家賃保証と同一の性質を持っている

    →税法上の繰延資産に該当するものとして処理

 

更新料:契約の更新に対して支払うものなので家賃保証の性質を有しておらず、

     効果が契約期間満了まで継続するかどうか不明

    →税法上の繰延資産に該当しないものとして一括費用処理

 

インターネット上では、更新料も繰延資産になるという税理士の解説が多いです。しかし、更新料はあくまで更新料ですし、賃貸借の家賃ではないはずです。また賃貸に関する権利金なのですか?という疑問があります。以上のことから、更新料のみ一括費用処理を私はしています。

 

余談ではありますが、20万円未満の繰延資産であれば、一括費用処理できますので、金額は確認してみることをお勧めいたします。

 

 




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。