【インボイス制度後の消費税の申告】本則課税を使って申告する場合の注意点を解説

インボイス制度 仕入税額控除




【インボイス制度後の消費税の申告】本則課税を使って申告する場合の注意点を解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

インボイス制度後に初めて

消費税の申告をしてみたので

注意点を解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

会計ソフトと税務ソフトの消費税が合わない問題

インボイス制度が始まって

初の消費税の申告書を本則課税

で計算してみました。

 

利用状況は次の通りです。

会計ソフトは弥生会計

税務ソフトは消費税の達人

 

消費税の申告書を作成したところ

次のことが発生しました。

 

弥生会計で計算した消費税と消費税の達人の消費税が一致しない

 

消費税が一致しない原因は

弥生会計の消費税の計算が

割戻し計算になっていて

 

消費税の達人では積上げ計算で

行っていたことでした。

 

インボイス制度後は消費税の

仕入税額の計算は

原則:請求書積上げ計算

原則以外:割戻し計算

という建付けです。

 

弥生会計の消費税の計算は

割戻し計算になっていて

 

私はインボイス制度では

積上げで計算するものだと

考えていたため

 

消費税が合わないのは必然で

あったというわけです。

 

弥生会計以外のソフトの

消費税設定は確認してませんが

 

今後は会計ソフトの消費税設定

を確認したうえで税務ソフトで

消費税の申告書を作成しないと

 

同じような事象が出る可能性は

あると考えています。

 

 

積上げ計算と割戻し計算の違い

ここからは積上げ計算と

割戻し計算について確認を

してみたいと思います。

 

積上げ計算は2つあります。

請求書積上げ計算

帳簿積上げ計算

原則は請求書積上げ計算になります。

 

請求書積上げ計算は

仕入税額=①×78/100

①請求書等に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額

 

帳簿積上げ計算は

(1)以外の方法として、課税仕入れの都度(注1)、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出した金額(1円未満の端数が生じたときは、端数を切捨てまたは四捨五入します。)を仮払消費税額等(注2)などとし、帳簿に記載(計上)している場合は、その金額の合計額に100分の78を掛けて算出する方法も認められます。

 (注1) 例えば、課税仕入れに係る適格請求書の交付を受けた際に、当該適格請求書を単位として帳簿に仮払消費税額等として計上している場合のほか、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて交付を受けた適格請求書を単位として帳簿に仮払消費税額等として計上している場合が含まれます。
なお、帳簿積上げ計算において計上する仮払消費税額等については、受領した適格請求書ではない納品書または請求書を単位として計上することや継続的に買手の支払基準といった合理的な基準による単位により計上することでも差し支えありません。

 (注2) 課税仕入れに係る支払対価の額には消費税額等を含みますので、帳簿に記載する仮払消費税額等は、一般的に、適格請求書等に記載された課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出するものと考えられますが、例えば、課税仕入れに係る税抜対価の額が記載された納品書を基礎として帳簿に仮払消費税額等を記載する場合において、当該税抜対価の額に100分の10(軽減税率の対象となる場合は100分の8)を乗じて算出する方法も認められます。

国税庁 No.6391 課税仕入れに係る消費税額の計算

 

 

割戻し計算は

仕入税額=①+②

①標準税率の対象となる税込仕入額×7.8/110

②軽減税率の対象となる税込仕入額×6.24/108

 

積上げ計算と割戻し計算の

違いは

積上げ計算は消費税抜きの金額で仕入税額を計算します

割戻し計算は税込金額から仕入税額を計算します。

税抜きか、税込かという違いが

あるわけですね。

 

会計ソフトを使っている場合は

帳簿積上げ計算又は割戻し計算

のいずれかになるのではないかと

考えています。

 

因みに仕入税額で割戻し計算

を適用する場合には

 

売上税額の計算で割戻し計算を

使っていることが前提になります。

 

積上げ計算と割戻し計算はどちらを使うべき?

積上げ計算と割戻し計算の

2つがある以上どちらを使うべき

なのかという疑問が生じます。

 

前提の考え方として

売上税額の原則は割戻し計算である

という点です。

 

この点は仕入税額とは逆転します

ので注意が必要です。

 

実務上では売上税額の計算で

割戻し計算を使っていないと

 

積上げ計算と割戻し計算の

いずれかを選択できないです。

 

もう一つ実務上の検討として

請求書積上げ計算では

消費税法施行令46条第1項と2項において定めらているように

請求書の税抜き金額×78/100で計算できます。

 

そうすると、あれ?軽減税率部分は

考慮しないの??となります。

 

文理解釈を適用すると軽減税率が

あろうがなかろうが全部、標準税率

だけで計算するようになるみたいです。

 

軽減税率の部分が施行令に

書いておらず文言では

すべて標準税率とみなして計算

することになると考えられます。

 

しかし、私が解釈の間違いをしている

可能性があるのではないかと

現状では疑っているところです。

 

一応、国税庁のインボイスFAQの

問118にて請求書積上げ方式は

 

軽減税率を考慮せずに計算する

方式として解説されています。

 

こうすると軽減税率の仕入税額が

多い業種だとしたら

 

積上げ計算で計算した方が

消費税の納付額は少なくなると

考えられますし

 

軽減税率の仕入税額がそうでもない

という場合には割戻し計算の方が

消費税の納付額が減るかもしれないです。

 

今回、私が計算した事業所では

課税売上割合が95%未満で

計算したところですが

 

割戻し計算の方が消費税は

減ることを確認しました。

 

ただ、消費税差額が雑損失で

計上されたため

 

課税売上割合が95%以上の

事業所だと仕入税額は積上げ

計算の方が消費税を減らす

効果がある可能性があります。

 

 


編集後記

消費税の計算結果を会計ソフトと

税務ソフトで合わせることは

今後すぐに対応できると思います。

 

しかし、積上げ計算と割戻し計算

の論点はインボイス制度前では

 

あまり検討されてこなかった

点ではないかと思います。

 

今後は売上税額は割戻し

仕入税額は積上げといった

計算をする必要があるかも

しれませんね。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。