インボイス制度導入後の建設業における消費税転嫁の問題点を税理士・行政書士が解説

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インボイス制度導入後の建設業における消費税転嫁の問題点を税理士・行政書士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

インボイス制度導入後の建設業における

消費税転嫁の問題点を解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

法律上の問題点を整理してみる

整理する前に下請法と建設業法で

言葉の定義は同じでも表現が異なる

言葉が出てきます。

 

今回は、元請人(注文者)を親事業者

下請負人(請負人)を下請事業者として

定義を行います。

 

下請法の概要として整理をしていきます。

今回は公正取引委員会のガイドブックを

基礎として整理を行います。

 

下請法が建設業に当てはまるのか

を確認します。

 

下請法では

「物品の製造委託・修理委託」

「情報成果物作成委託・役務提供委託」
(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に係るもの)

「物品の製造委託・修理委託」の

親事業者と下請事業者の定義

親事業者 下請事業者
資本金3億円超 資本金3億円以下(個人を含む)
資本金1千万円超3億円以下 資本金1千万円以下(個人を含む)

 

「情報成果物作成委託・役務提供委託」の

親事業者と下請事業者の定義

親事業者 下請事業者
資本金5千円超 資本金5千円以下(個人を含む)
資本金1千万円超5千円以下 資本金1千万円以下(個人を含む)

 

ただし建設工事に関する請負契約は

下請法の適用を原則受けません。

適用除外になります。

 

ただし以下の場合には下請法の

適用を受けることになります。

・建設資材や部材を販売している建設業者が商品の製造を外部委託する場合
→「製造委託」になります。

・建設業者が設計図面の作成を委託する場合
→「情報成果物作成委託」になります。

 

つまり、建設の材料を外部委託する会社

建築士へ設計を委託する会社は

下請法の適用をうけることになります。

 

上記以外は建設業法の適用を受ける

ということになります。

 

具体的には国土交通省が公表している

建設業法遵守ガイドラインに沿って

法違反行為をしないことになります。

 

 

インボイス制度導入後の建設業における消費税転嫁の問題点

インボイス制度導入後の建設業に

おける消費税転嫁の問題点は

次のことです。

 

・インボイス制度導入後に免税事業者である下請事業者との取引の停止を親事業者が行う行為

・インボイス制度導入後に免税事業者である下請事業者に消費税相当額の減額を親会社が求める行為

上記が下請法と建設業法の不当行為や

禁止行為に該当するのかが問題点です。

 

下請法にて禁止されている行為として

上記が該当する可能性がある行為は

「下請代金の減額」です。

 

建設業法にて禁止されている行為として

上記が該当する可能性がある行為は

「不当に低い請負代金の禁止」

「自己の取引上の地位の不当利用」

となります。

 

下請金額の減額の例示に関しては

公正取引委員会のガイドブックでは

 

下請事業者に責任がないのに、発注時に決定した請負代金を発注後に減額することです。協賛金の徴収、原材料価格の下落など、名目や方法、金額にかかわらず、あらゆる減額行為が禁止されています。

とあります。

 

建設業法の禁止事項の例示としては

国土交通省のガイドブックでは

 

「不当に低い請負代金」建設業法上違反となる恐れがある行為事例として

①親事業者が、自らの予算額のみを基準として、下請事業者との協議を行うことなく、下請事業者による見積額を大幅に下回る額で下請け契約を締結した場合

②親事業者が、契約を締結しない場合には今後の取引において不利な取り扱いをする可能性がある旨を示唆して、下請事業者との従来の取引価格を大幅に下回る額で、下請け契約を締結した場合

③親事業者が、下請代金の増額に応じることなく、下請事業者に対し追加工事を施工させた場合

④親事業者が、契約後に、取り決めた代金を一方的に減額した場合

⑤親事業者が、下請事業者と合意することなく、端数処理として称して、一方的に減額して下請け契約を手結した場合

⑥下請事業者の見積書に法定福利費が明示されて又は含まれているにもかかわらず、親事業者がこれを尊重せず、法定福利費を一方的に削除したり、実質的に法定福利費を賄うことができない金額で下請け契約を締結した場合

⑦下請事業者に対して、発注者提出用に法定福利費を適正に見積もった見積書を作成させ、実際には法定福利費を削除した見積書に基づき契約を締結した場合

⑧親事業者が下請事業者に対して、契約単価を一方的に提示し、下請事業者と合意することなく、これにより積算した額で下請け契約を締結した場合

 

 

 

 

 

「自己の取引上地位の不当利用」に関する例示

取引上優越的な地位にある親事業者が、下請事業者を経済的に圧伏するように取引等を強いることとして次の2つを上げている。

①取引上の優越的な地位

②地位の不当利用

 

以上の禁止事項がありますので

禁止事項に抵触しないように

慎重な合意を取り付けることが

行動規範になるものと考えます。

 

問題点の根本としては

インボイス制度の仕入税額控除の

適用を受ける要件が

 

インボイスの発行事業者から発行された

インボイスを保存することになる点です。

 

上記の要件があるため

親会社が消費税の課税事業者を

前提とすると

 

下請事業者にも消費税の課税事業者に

なってもらいインボイスの発行事業者に

なっていただくことを望むことは

普通のことであると思います。

 

しかしながら、消費税法上では

インボイスの発行事業者になるか否かは

事業者の選択にゆだねられています。

 

 

対応策と今後の検討について

下請法の禁止事項と建設業法の

禁止事項の例示を考えるに

 

禁止のトリガーなる部分は

親事業者が一方的に行う不利益

行為で合意に基づかいないもの

と考えます。

 

対応策としては

下請事業者にはインボイスの

発行事業者になることを要請する

ことが初めにやることです。

 

もし下請事業者が免税事業者を

継続する場合には合意書を作成して

 

合理的、客観的、社会通念上で

抗弁ができるようにしておくことが

トラブル防止になります。

 

合理的、客観的、社会通念上としては

消費税の課税事業者にことは

事業者の選択になるわけですから

 

下請事業者が

・課税事業者を選択しないこと

・下請事業者の役務提供部分には消費税を付さないこと

・下請事業者が課税事業者との取引をした場合の立替金は立替えた金額を支払い証憑も提示又は提出すること

最低限、以上の項目は互いに

合意をしておく必要があると考えます。

 

上記を法律論に当てはめると

課税事業者を選択しないことは

下請事業者が課税事業者ならない

という表明を行ったことになります。

 

これで親会社の一方的な押し付けではない

という抗弁になる可能性があります。

 

下請事業者が行った役務提供部分には

消費税を付加しないという意味は

 

下請事業者が免税事業者を選択するので

取引金額に反映できないことを

お互いに了承することになります。

 

ただし下請事業者が課税事業者と

取引をして立替えた金額については

消費税が付加された金額になる

可能性が高くなります。

 

こちらまで消費税を付加しない

という取引では消費税の転嫁が

うまく働きません。

 

したがって、下請事業者が負担した

消費税相当額も含めて支払うことは

約束するという形をとります。

 

あくまでも消費税の課税事業者同士

だからこそ消費税を転嫁する必要が

あるということになります。

 

 

 


編集後記

インボイス制度後の消費税の転嫁

についての問題点をまとめました。

 

現行法令上で申し上げると

もし親事業者が下請事業者に

なんの合意も取らずに

 

課税事業者になることや

下請事業者が免税事業者を選択して

取引停止にすることをやると

 

恐らく優越的な地位による行為に

なる可能性があると思います。

 

重要なのは双方が意思を表明して

理解したうえで合意をすることです。

 

親会社からの一方的な押し付けは

トラブルになる行為になると

覚えておく必要があるわけですね。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US

齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。