【令和2年分確定申告】配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除を税理士が超解説!




配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除を税理士が超解説!

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除を

税理士が超解説する記事です。

 

・配偶者(特別)控除とは?

・扶養控除とは?

・基礎控除とは?(令和2年分の税制改正後)

についてわかる記事です。

 

これさえ読めば適用を間違えることが

ないようになります。

 

それでは、スタートです!!

 

配偶者(特別)控除とは?

配偶者(特別)控除の対象者

配偶者(特別)控除の対象者は

控除対象配偶者という人です。

 

まず身分関係としては

婚姻関係のある夫又は妻です。

 

社会保険では内縁関係でも

被扶養者になりますが

所得税では必ず婚姻関係が必要です。

 

また生計を一にしている必要があります。

生計を一にしているとは

日常の生活の質を共にすることです。

 

つまり、一般的な夫婦生活を送っていれば

基本的には「生計を一にする」ことになります。

 

夫が単身赴任のような勤務の都合で

離れて暮らしているといった場合はどうでしょうか?

 

こちらも生活費などを送金している

といった日常の生活の質を共にする事実があれば

「生計を一にする」ということになります。

 

配偶者控除の対象者として除外される

配偶者がいます。

 

青色事業専従者になっている配偶者です。

 

青色事業専従者給与として給与を事業主から

支給されているので配偶者控除の控除対象

配偶者にはならないという考え方です。

 

同じような適用関係として

白色申告者の事業専従者が配偶者

といった場合も配偶者控除の対象者になりません。

 

フローチャートしては次のようになります。

①婚姻関係はあるか

②納税者と生計を一にしているか

③青色事業専従者又は白色事業専従者でないか

④一定の金額要件(配偶者(特別)控除の判断参照)

という流れになります。

 

 

 

配偶者(特別)控除の控除額

配偶者(特別)控除の控除額は

配偶者控除と配偶者特別控除で異なります。

 

配偶者控除の控除額

  控除を受ける納税者本人の   合計所得金額 一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者(注)
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

(注)老人控除対象配偶者とは
控除対象配偶者のうち、その年の12月31日現在の年齢が
70歳以上の人です。

 

 

配偶者特別控除の控除額

令和2年分以降は次のようになっています。

配偶者の合計所得金額
(表中の下の金額)
控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下
48万円超95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超133万円以下 3万円 2万円 1万円

 

 

配偶者(特別)控除の判定

配偶者(特別)控除の判定は

配偶者控除と配偶者特別控除で異なります。

判定が異なるのは合計所得金額です。

 

要するに、納税者ご本人の収入と

配偶者の収入の2つの金額で判断します。

 

配偶者控除の収入要件の金額

納税者ご本人の合計所得金額について

確認していきます。

 

上記表の

  控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下
900万円超950万円以下
950万円超1,000万円以下

についてです。

 

合計所得金額はその年の年間のでの

合計所得金額となります。

 

分かりやすくするため給与所得のみを前提にして

解説を行っていきます。

 

給与所得は次のように計算します。

総支給額ー給与所得控除=給与所得

 

給与所得のみの方は

給与所得=合計所得金額

です。

 

給与以外の収入がある方は次のところになります。

確定申告書Aで申告する場合

⑧の金額となります。

 

確定申告書Bで申告する場合

⑫の金額となります。

 

配偶者にも収入要件があり

年間の合計所得金額が48万円以下です。

給与のみの場合には総支給額が103万円以下です。

 

給与以外の収入がある場合には

上記と同様に⑧又は⑫で判断することになります。

 

配偶者特別控除の収入金額の要件

納税者本人の合計所得金額を確認します。

上記表の

控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下

についてです。

判定方法は配偶者控除と同じとなります。

 

配偶者の合計所得金額を確認します。

配偶者の合計所得金額
(表中の下の金額)
48万円超95万円以下
95万円超100万円以下
100万円超105万円以下
105万円超110万円以下
110万円超115万円以下
115万円超120万円以下
120万円超125万円以下
125万円超130万円以下
130万円超133万円以下

の部分です。

 

判定方法は納税者の合計所得金額と

同じになります。

 

まとめ

収入金額の要件はまとめると

納税者と配偶者でそれぞれの合計所得金を

判定することになります。

 

フローチャートとしては

①納税者ご本人の合計所得金額を確認

②配偶者の合計所得金額を確認

となります。

 

配偶者控除の適用がなければ

配偶者特別控除の可能性を判断する

という流れになります。

 

 

扶養控除とは?

扶養控除の扶養親族とは?

扶養控除の対象者は

控除対象扶養親族と言います。

 

控除対象扶養親族になるためには

要件があります。

 

判断時期

その年の12月31日の現況となります。

 

身分関係

配偶者以外の親族又は都道府県知事から養育を

委託された児童(里子)や市町村から養護を

委託された老人であることです。

 

注意点は配偶者は扶養親族にならないことです。

配偶者控除の対象なので、扶養親族にならない

という考え方です。

 

では親族の範囲はどこまでかというと

6親等以内の血族及び3親等以内の姻族です。

 

その他の要件

・納税者と生計を一にすること

・一定の金額要件

・青色事業専従者又は白色事業専従者でない

 

生計を一にするは配偶者控除と同じです。

 

例えば、お子様が地方から都市部の大学へ行って

一人暮らしをしている場合はいかがでしょうか?

 

こちらはやはり生活費や教育費を

送金しているといった生活を共にする

事実があれば「生計を一にする」という

判断となります。

 

青色事業専従者又は白色事業専従者に

扶養親族がなっていると扶養親族ではなくなり

扶養控除は適用できなくなるという考えです。

 

こちらも事業主から給与を支給されているので

扶養控除までは受けさせないという考えです。

 

一定の金額要件は、控除対象扶養親族の

年間の合計所得金額が48万円以下であることです。

判定方法は配偶者控除と同様となります。

 

給与所得のみだと

その年の総支給額が103万円以下です。

 

お子様がアルバイトをしている場合には

総支給額を103万円以下にすることで

扶養親族にすることができます。

 

 

 

扶養控除の控除額

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
特定の扶養親族 63万円
同居している老人扶養親族 48万円
同居していない老人扶養親族 58万円

ということになります。

 

上記の区分にはそれぞれ年齢要件があります。

 

一般の控除対象扶養親族

扶養親族のうち、その年の12月31日現在の

年齢が16歳以上の人です。

 

特定の扶養親族

一般の控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の

年齢が19歳以上23歳未満の人です。

 

イメージとしては大学生、専門学校生、短大生

といった人が対象となります。

 

老人扶養親族

一般の控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日

現在の年齢が70歳以上の人です。

 

同居の判断

老人扶養親族には同居していることで

控除額が変わります。

同居の判断は一緒に暮らしているということです。

 

例外として病気の治療のために入院が

必要といった場合にはどうなるでしょうか?

 

この場合には、同居していると判断します。

病気がなければ同居しているでしょう

という考え方です。

 

因みに、入院が1年以上に渡ってしまう

といった場合であっても同居として

取り扱うことになります。

 

同居として扱わない場合は

例えば、老人ホームへ入所している

という場合です。

 

この場合には老人ホームが居所になるので

同居には当たらないという考え方です。

 

同居の判断で最もシンプルな考え方があります。

 

どこを生活の拠点にしているのか

ということです。

 

判断のフローチャート

以上のことから判断フローチャートは

次のようになります。

 

①判断するのはその年の12月31日

②配偶者以外の親族に該当するか

③納税者と生計を一にしているか

④年間の合計所得金額が48万円以下か

⑤青色事業専従者又は白色事業専従者でない

 

 

基礎控除とは?(令和2年分の税制改正後)

令和2年では税制改正がありまして

基礎控除には改正がありました。

 

基礎控除とは

基礎控除とは憲法25条の生存権を

保証するためにできた控除制度です。

 

所得税法上では誰でも控除可能な

控除として制度化されてきました。

 

昨年、税負担のすそ野を広げるため

高所得者は基礎控除を受ける権利を廃止して

改正が行われました。

 

基礎控除の要件

令和2年に改正が行われて収入要件が

加わりました。

 

納税者本人の合計所得金額が

2,400万円超の場合には基礎控除の金額を

段階的に低減させて、2,500万円超の人は

基礎控除の適用がなくなりました。

 

合計所得金額の判断は

配偶者(特別)控除の収入要件と

同じになります。

 

基礎控除の控除額

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円超 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円(適用なし)

この様に令和2年分から基礎控除の控除金額は

変更されています。

 

実務上の注意点

国税庁の確定申告でありがちなミス事例として

基礎控除があります。

 

なぜかというと基礎控除は一部の高所得者で

なければ48万円の控除を受けることができます。

 

しかし、確定申告書の基礎控除の欄に

金額の記入を失念してしまうという

ミスが発生しているようです。

 

基礎控除は収入要件が追加されましたが

合計所得金額が2,400万円以下であれば

誰でも適用可能です。

 

必ず記入しておきましょう!!

 

因みに、給与所得者で2,400万円超とは

どれくらいの総支給額なのかというと

 

令和2年分の給与所得で計算すると

総支給額が2,595万円の人です。

なかなか探すことは難しいですね。

 

 

 


編集後記

今回は確定申告において相談件数が多くなる

配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除

について解説しました。

 

実務上、判断が難しくなるのは

配偶者(特別)控除だと思います。

理由は金額要件が難しいからです。

 

ここまで解説しておいて

今更感がありますが

 

国税庁の確定申告書作成コーナーで

源泉徴収票を片手に入力すると

配偶者控除なのか配偶者特別控除なのか

すぐにわかりますし

 

配偶者特別控除の金額も自動計算されて

非常に便利です。

 

無理して判断するよりも

確定申告書作成コーナーで判断した方が

時短になるかと思います。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。