個人事業主が事業所得で赤字だとおかしい理由を税理士が解説!




個人事業主が事業所得で赤字だとおかしい理由を税理士が解説!

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

個人事業主が事業所得で赤字だとおかしい理由を

税理士が解説する記事です。

 

・個人事業主が赤字だとおかしい理由

・事業1年目だと赤字になっても不思議ではない

・事業所得で連続して赤字が起こると問題になる可能性がある

についてわかる記事です。

 

それでは、スタートです!!

 

 

個人事業主が赤字だとおかしい理由

個人事業主は赤字ではおかしいという

考え方があります。

 

その理由は次のようになります。

 

事業所得の事業とは要するに商いをする

ということです。

 

前提としてその事業に専業している

というイメージがあります。

 

結果として

事業の収入で事業経費と生活費を

賄うのだから事業所得で赤字だと

どうやって生活をしているのでしょうか?

という考えになります。

 

論理的な説明としては妥当性がありますね。

 

では、セカンドビジネスとして

やっている場合のセカンドビジネスの収入は

どうなるでしょうか?

 

このときに税理士が通常考えることは

事業所得と雑所得のどちらになるか?

ということです。

 

行きつく先は法律とその解釈になります。

法令ベースでは次のようになります。

 

(事業所得)
第二十七条 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
(雑所得)
第三十五条 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。

こちらを見ただけで判断できることは

事業所得は事業で生じる所得なのだ

ということだけです。

 

雑所得に至ってはどれにも該当しないときに

初めて該当する所得になります。

 

では、事業所得の政令で定めるものを

確認してみますと次のようになります。

(事業の範囲)
第六十三条 法第二十七条第一項(事業所得)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(不動産の貸付業又は船舶若しくは航空機の貸付業に該当するものを除く。)とする。

一 農業
二 林業及び狩猟業
三 漁業及び水産養殖業
四 鉱業(土石採取業を含む。)
五 建設業
六 製造業
七 卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)
八 金融業及び保険業
九 不動産業
十 運輸通信業(倉庫業を含む。)
十一 医療保健業、著述業その他のサービス業
十二 前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業

事業の範囲で最も注目すべきものは

一二の対価を得て継続的に行なう事業です。

 

対価を得て継続的に行なう事業だけで

事業所得になるのかという判断になりそうです。

 

この点、そういった単一的な判断は

行わないのが一般的です。

 

実務上では事業所得と雑所得の問題になり

事業所得になるためには学説上では

規模・設備・組織性で事業性を考える

ということになっています。

 

結局、法律ベースでは明らかに

これが事業所得でこれが雑所得

という簡単な話ではないのです。

 

ただ事業所得というのであれば

一般的に考えて黒字を前提とした

営利を目的にした商売という認識は

持っておいた方が良いかと思います。

 

結論として赤字はおかしいのではないか?

という理屈はそこまでおかしい話ではない

ということになります。

 

 

 

事業1年目だと赤字になっても不思議ではない

赤字でもおかしくないときがあります。

事業1年目です。

 

私もご多分に漏れず赤字申告でした。

 

赤字になるか否かは事業によるわけですが

人、金、もののうちお金が出ていくことが

多いのが事業1年目です。

 

事業を自分でやってみて分かったことですが

事業は継続していって売上がちょっとずつ

増加していくのが普通です。

 

事業が軌道に乗らないと

専業の場合には事業を止めることになります。

 

事業1年目は今後の事業の準備として

赤字になる可能性が高いと思います。

 

 

 

事業1年目が赤字になっても不思議ではない

ということをもう少し掘り下げます。

 

まず売上という収入に比べて

かかる経費が多いのが特徴です。

 

業種によって経費の金額は変わりますが

以下のように最初にお金がかかります。

 

①事務所の家賃、礼金
(敷金は資産に計上なので経費になりません。)

②設備への投資
(青色申告であれば取得価額30万円未満の資産は
消耗品費などで経費計上可能です。)

③通信関係の整備

などなどで開業に関する初期費用がかかります。

 

これと事業1年目での収入を比べると

経費が上回るということは不思議ではない

というのが一般的に考えられます。

 

 

 

事業所得で赤字が連続して起こると問題になる可能性がある

事業所得では赤字が連続して起こると

問題になる可能性があります。

 

次のような節税目的でわざと赤字を出す

というスキームができてしまうからです。

 

セカンドビジネスが継続した赤字であり

別に給与所得があり

確定申告にて損益通算を適用して

総合所得の圧縮を図る節税があります。

 

国税庁としてはこうした節税効果目的での

事業所得の継続的な赤字が問題であると

考えている可能性が高いです。

 

結果として上記のような赤字の事業所得では

営利を目的としていながらも赤字事業を

やっているとみなして事業所得を雑所得に

引き直して損益通算を否認するといった

 

申告の修正が行わなれる可能性が

あるわけですね。

 

セカンドビジネスといっても

毎回赤字は普通に考えておかしい

という理由が課税上で存在する

理由になります。

 

ただ、次のような場合にはどうでしょうか?

芸能人などで売れないときに

アルバイトをしている場合です。

 

例えば、ミュージシャンとして活動して

活動資金を得るためにアルバイトする場合です。

 

このときにはミュージシャンについては

事業所得は赤字に決まってます。

理由はミュージシャンの収入で事業を

黒字にすることができないからです。

 

その赤字分の補填としてアルバイトで

給与所得を得ている場合にも問題となるのか

ということになります。

 

私の私見ですがこの場合には

事業所得の赤字が連続していても

あまり問題とはならないと思います。

 

理由はアルバイトは副業で

ミュージシャンが本業という説明が可能

ということです。

 

逆に、正社員として働いていて

ミュージシャン活動をしている

という場合にはどうでしょうか?

 

これだと正社員が本業で

ミュージシャンは副業や趣味ではないのか

ということになる可能性があります。

 

こちらで事業所得として赤字を継続し

給与所得と損益通算するという申告だと

税務当局からの指導が入る可能性があります。

 

私の考えは説明として論理的で

一般社会常識的に考えておかしくないか

ということで判断が分かれるということです。

 

 

 


編集後記

以前と異なり個人が尊重される

世の中になりつつあります。

 

事業所得の赤字の問題は要するに

事業所得になるのか

雑所得になるのか

という論争に行きつきます。

 

理由は事業所得の赤字が

他の所得と損益通算を通じて

節税効果があるからです。

 

逆に雑所得だと損益通算できません。

 

また同じ仕事をしていても

人によって申告内容が異なる可能性が

出てくる可能性があります。

 

例えば、ウーバーイーツの配達員収入は

正社員でやっていれば副業ですから

雑所得になるものと考えます。

 

逆にウーバーイーツのみ専業していれば

事業所得として申告していても不思議ではないです。

経費が収入を上回れば赤字になる可能性だって

あり得るわけです。

 

この様に個人ごとに申告内容が異なり

納税者によって問題点が異なる

ということになります。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。