最高裁判例・裁判例から見る事業所得と雑所得の判断基準とは?【税理士が解説】




最高裁判例・裁判例から見る事業所得と雑所得の判断基準とは?

今回は個人の所得区分で、問題となる

事業所得と雑所得の判断基準について

解説していきます!

 

実務上、雑と事業の判断は税理士でも迷う

ところがあります。

 

私の場合には、給料収入がある時点で、

基本的には雑所得として申告することを

促しています。

 

今回は、なぜそういった判断となるのか

ということを最高裁判例(以下、判例)と

裁判例(最高裁判例以外の判決)に分けて

解説していきます。

 

それでは、スタートです!!

 

事業所得と雑所得の区分問題

所得税の確定申告では、所得区分の問題点が

度々問題となる場合があります。

 

特に、事業所得と雑所得の区分問題は、

ずっと続いているところだと思います。

 

この点、実務上で税理士が判断するところでは、

給料収入があれば、雑所得になるという判断で

来ていることが多いかと思います。

 

近年、副業を推進する高まりの中で、

勤務している人たちが別の仕事をすることも

増えてきていると思います。

 

そんなときに個人の申告で問題となるのが

事業所得か雑所得かということですね。

 

では、事業と雑の判断を納税者ができるのか

というと・・・

 

それは非常に難しいです。

 

一応法令は次のようになっています。

(事業所得)
第27条 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。

(事業の範囲)
第63条 法第27条第1項(事業所得)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(不動産の貸付業又は船舶若しくは航空機の貸付業に該当するものを除く。)とする。
一 農業
二 林業及び狩猟業
三 漁業及び水産養殖業
四 鉱業(土石採取業を含む。)
五 建設業
六 製造業
七 卸売業及び小売業(飲食店及び料理店業を含む。)
八 金融業及び保険業
九 不動産業
十 運輸通信業(倉庫業を含む。)
十一 医療保険業、著述業その他のサービス業
十二 前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行う事業

 

上記のようになっていますね。

さて、あなたの事業は該当しますか?

 

判例や裁判例はどう判断しているのか?

それでは、判例や裁判例を基に解説していきます。

 

前提としては、判例は法的な拘束力がありますので、

法律と同様となります。

 

ですから、判例=法律なので、法的な適用が求められる

判断基準となります。

 

対して裁判例は、法的な拘束力はありません。

ただ、裁判になると過去の裁判例を基に

裁判官が判断する材料とはなりますので、

注意したい判断基準となります。

 

また、これから行う解説は、ブログという

性質上、2019年8月27日時点の解説となります。

 

もし、現在係争中の裁判で、今後最高裁まで争って

最高裁判例として確定した判決が出た場合には、

その時の判例になりますので、ご注意ください。

 

このような前提を基に、解説します。

 

 

 

 

まずは、判例を見ていきます。

事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい
(最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決・民集35巻3号672頁)

 

判例の事業所得となる判断をまとめると・・・

 

・独立して営まれること
・反復継続の意思と社会的地位が客観的であること

この2つが大まかな判断基準として必要となります。

 

特に、反復継続の意思と社会的地位が

客観的であることは厳しい判断だと思います。

 

要するに、自分で○○をやっています!

その〇〇を生業としています!

 

と自称したとしても、それは主観的に認めている

ということになりますので、事業所得の判断では、

事業所得となりません。

 

あくまでも、第三者から認められるという

客観性が必要となるわけです。

 

まあ、このように考えると、

客観性の要件で多くの事業所得と雑所得の問題は

解決できるのではないかと思います。

 

民泊は、基本的には雑所得になるといった

論法もあながち間違ってはいないように思います。

 

それでは、ここまでは事業所得の判断基準を

見てきました。

 

ここからは、事業所得とされる収入の判断基準を

見てきたいと思います。

一定の経済的行為が右に該当するか否かは、当該経済的行為の営利性、有償性の有無、継続性、反復性の有無のほか、自己の危険と計算による企画遂行性の有無、当該経済的行為に費した精神的、肉体的労力の程度、人的、物的設備の有無、当該経済的行為をなす資金の調達方法、その者の職業、経歴及び社会的地位、生活状況及び当該経済的行為をなすことにより相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性が存するか否か等の諸要素を総合的に検討して社会通念に照らしてこれを判断すべきものと解される。
(名古屋地裁昭和60年4月26日判決・行集36巻4号589頁)

上記で、ゴシックにした箇所がありますが、

この判決で重要な部分です。

 

つまり、事業所得となる収入とするには、

相当程度の期間継続して安定した収入を得られる

可能性がないといけません。

 

従って、赤字ではダメ!ということです。

 

この裁判例は、地裁の判決なので、

法的な拘束力はありません。

 

実際に私が裁判で争うなら、

では、相当期間ってどのくらいの期間なのか不明!

ということで争うとは思います。

 

また、収益とは、日本語では、

利益を収め取ること、収め取る利益となります。

 

従って、黒字であれば、利益の程度は

問われないのか?ということになります。

 

色々ツッコミどころ満載なのですが、

それでも、昭和56年判例を基に判決している

ということだけあって、実務上は、

裁判まで行くことを前提にしないなら、

ご紹介した裁判例を基に判断せざるを得ないです。

 

本質は損益通算を許さないということ

さて、ここまで来て、事業所得とならない

本質的な解説をしたいと思います。

 

結論から申し上げると、

損益通算を許さないということです。

 

事業所得と雑所得の最大の違いは、

 

事業所得は赤字の場合には、他の総合所得の

所得と損益通算できます。

 

雑所得は、赤字であっても、他の総合所得の所得とは

損益通算はできません。

 

損益通算とは、たとえば、事業所得が赤字、

給与所得があるといった場合には、

 

事業所得の赤字を給与所得から控除できる

といった仕組みのことを言います。

 

ですから、事業所得の判断基準で客観的な判断が

要求されているのだと思います。

 

要するに、勤務しながら兼業や副業をしていて、

わざと事業で赤字を出して、給与所得と損益通算する

というスキームを許さないということです。

 

法律上は、事業所得の赤字を給与所得と通算できない

という法律にはなっていません。

 

むしろ、損益通算できます。

 

しかしながら、事業所得の判断である客観性を

考えるに、勤務している方が事業をやっていて、

その事業の客観性を説明することは非常に

困難だと思います。

 

 

 


編集後記

今日は朝にWEBで面談を行いまして、

顧問先の今期の決算の方針を固めました。

 

なかなか思うような経営はできなものだなあと

思いますね。

 

話は変わって、LINEpayから

キャッシュレス・消費者還元事業の案内が届きました。

やっぱり、事業化を推進したいんですね。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US

創業・起業支援、税務調査に特化した新宿区の税理士です! 今までは、海外から日本へ進出する会社様の創業・起業支援を行ってきました!また、外国法人や外国法人の子会社の税務調査に対応してきた知見(国税局・特別国税調査官・通常の調査官への対応経験)を生かして税務調査対応も支援しています! ブログの運営方針は、0to1になるような情報発信をしていきます!