ドラゴン桜の完全外注化から見る士業の完全外注の世界




士業の完全外注化は可能なのか?

令和元年5月24日の日経新聞にて、

ドラゴン桜の作家先生が完全外注をして

働き方改革をしているという趣旨の

記事がありました。

 

さて、今回は、士業において完全外注の正解と

完全外注化を考えてみたいと思います。

 

働き方改革になるのかどうなのか

それはわかりませんが、

 

検討してみても面白いことだと

私は思っています。

 

それでは、スタートです!!

 

士業の完全外注化を考える

それでは、士業の完全外注化を考えて、

外注となる世界を見ていきます。

 

まずは、各士業の法律は置いておいて、

外注化は可能なのか?

ということを考えてみます。

 

外注化は可能なのか

各士業の法律を考えなければ、可能だと

私は思っています。

 

特に、対面ではない手続き関係の資料の作成は、

資料の作成方法さえ分かっていればできます。

 

税理士であれば、法人税、所得税、消費税、相続税の

各種確定申告書、届出書、申請書の作成です。

 

現状でも、税理士事務所では、税理士ではない

職員さんが担当者として作成しています。

 

これと同様のことを他の士業の仕事でも

できることになるわけです。

 

社労士の業務であれば、給与計算、年度更新、

行政書士であれば各種申請書類の作成です。

 

 

外注できなものも考える

外注できないものは、人との面談でしょう。

自分自身が契約主体となっているので、

 

関与先とのミーティングは、

先生自身が出て、説明することになります。

 

この人に関する部分が、

外注化できない部分だと思います。

 

まさか、外注の同業者を向かわせて、

ミーティングさせることはできないでしょう(笑)

 

 

外注化の世界

このように、外注化の世界を考えてみると、

書類の作成業務と仕事を取ってくる人に

分かれてくるのではないかと思います。

 

2極化すると言っても良いのかも

知れないと思うわけです。

 

現状としては、士業資格を持っていても、

独立して自分で稼いでということは、

やはりハードルが高いですし、

うまくいかないリスクも当然あります。

 

そうすると、資格は持っているものの、

実務に携わることができない先生もいるはずで、

 

その人たちの受け皿的なお仕事として、

外注化を検討できないかなあと思います。

 

税理士界隈では、特に、確定申告時期に、

独立間もない先生を一時的に外注として受入れ、

仕事を手伝ってもらって、報酬を支払う

ということがありますね。

 

このように、手伝ってもらうことで、

事務所の繁忙期を乗り切るような

働き方もありなのかなあと思います。

 

分業で得意なことだけをする

外注化が成功するとなると、

2極化が起こると申し上げました。

 

2極化だと、あまり良いイメージがないかも

知れないのですが、

 

私は肯定的に受け取っています!

外注先になる先生

特に、営業が得意、不得意ということは

個人の属人性に現れることがあります。

 

ですから、無理して関与先を探して、

独立してやることが、みんなの幸せなのか?

というと、必ずしも幸せとは限りません。

 

実際に、税理士登録をしたのだけれども、

人と話すことが苦手で、申告書などの

書類作成の方に秀でている先生もいます。

 

この先生は、雇われていますが、

もし外注先として独立することができれば、

その人は、自分で仕事を取る必要なく、

 

自分が一番向いていることを

仕事にして、お金を稼ぐことができますね。

 

 

 

 

外注元になる先生

逆に、外注をする先生からすれば、

次のようなメリットがあります。

 

経営と営業に専念できるので、

営業して顧問先の獲得をしていきます。

 

その顧問先の業務で、記帳代行から

申告書の作成は外注化できますので、

ご自身の業務量は増えません。

 

また、給料から、外注になりますので、

もし社会保険の適用を受けているのであれば、

外注にした分だけ社会保険の負担がなくなり、

 

消費税の課税事業者であれば、

消費税の仕入税額控除を受けることができますね。

 

このように、双方にメリットがあるので、

分業という2極化は肯定的な意味があると思います。

 

 

雇用と外注の違いは税務と社会保険問題へ

ただ、労働雇用契約と外注契約でのメリットは、

社会保険にあると申し上げました。

 

しかし、実際には社会保険問題へと

形を変えて問題が浮上することになります。

 

理由は、雇用契約から外注契約になりますので、

社会保険は本人負担となってしまいます。

 

外注化になった先生がどれくらいの所得に

なるのかは分かりませんが、

 

雇用契約の時よりも、健康保険料の負担は

大きくなることが言えますね。

 

この点は、外注化が本人の意思によらずに、

雇用主の思惑で契約が決まるような

乱用が行われる可能性はありますね。

 

まあ、士業間の外注化だけの問題ではないですが、

本人の意思なき外注化という問題ですね。

 

税務へも影響することになりますね。

 

特に消費税の問題です。

 

外注化するに当たっては、消費税の仕入税額控除を

受けることが可能となる業務委託契約を結び、

 

過去の判例に沿った外注としないと、

税務上、給与認定されて、消費税の仕入税額控除の

否認という問題が出てきます。

 

そうなると、この消費税をどちらが負担するのか?

という訳の分からない主張を外注元からされる

可能性がありますね。

 

従って、外注先と外注元とのパワーバランスで、

税務、社会保険問題が起こる可能性があるわけです。

 

この点は、現在のクラウドワーカーと

外注元の会社との間の関係に似ています。

 

対等、平等となる法改正は、

各士業の法律のみならず、必要な立法となってくると

考えることができます。

 

 

外注化でハッピーになれるかも

とまあ、色々申し上げたわけですが、

うまくいけば、外注化でみんなハッピーに

なることが可能だと思います。

 

外注先、外注元ともに、協力関係を

築くことができますし、得意なことに

経営資源の配分を行うことができますね。

 

元々、士業資格は独立できる資格として、

経済的な側面では存在しています。

 

扱うのは、法律であり、人からの依頼がきますので、

依頼者からの受任を受けて仕事になります。

 

ですから、本来の士業のお仕事とは、

一から十まで自分でやることを求められる

ことになってしまうのです。

 

しかしながら、過去の行政改革において、

報酬規程の廃止などが起こり、

市場経済が士業業界に持ち込まれると、

 

食えない士業ということも言われ始めて、

昨今だと、AIで駆逐される仕事と言われるように

なってしまいました。

 

非常に厳しい周りの状況も残念ながら

存在することになります。

 

ですから、みんながみんな独立するわけではなく、

勤務を継続しながら、資格を補助的にやっている先生も

少なからずいるはずなのです。

 

私は、そうした先生たちを独立した先生方が

救えば良いということは申していません。

 

ただ、営業をもっと頑張れる、もっと色々やれる

といった先生のパートナーとして、

 

独立していない先生に協力してもらう時に

外注化という選択はありなのではないか?

ということを言いたいのです!

 

また、外注であれば、外注先の先生は、

勤務継続しながらでもできるかもしれませんし、

 

もし、外注の数が多くなってくれば、

それだけで独立することも可能かもしれません。

 

士業業界は、何かと叩かれることがありますが、

同業者間、他士業間でも協力してやれることがあれば、

その選択肢として、外注化はありなのではないか?

ということを考えています。

 

 


編集後記

今日は、午後から顧問先へ訪問です。

3月に訪問できなかったので、2か月分ですね。

2社分なので、一気に説明することになります。

 

最近、メモアプリをOnenoteに変更しだしました。

今までevernoteを使っていたのですが、

office365に課金している都合上、evernoteに

課金するのはもったいなく感じたのです。

 

今までのデータをどうやって移行するのか

検討中です。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

youtube始めました!
税理士さいとうゆきおチャンネル

 

税務顧問や執筆などのご依頼はこちら↓

Liens税理士事務所ホームページ

 

この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。