【その取引本当に大丈夫?】親族間の取引、親子会社間の取引では第三者と同様に!




その取引本当に大丈夫?

税理士をやっていると、

突然、親族と取引をしたり、

子会社を作って取引したりする場合があります。

 

本当は、税理士に事前の相談をしてから、

やってほしいのですが、

そうならない場合もあります。

 

私は、過去に一度、これをやられたことがあり、

理由があるのか、ないのか

ちょっとよくわからない状態で関与をしないと

いけない状態となりました。

 

税理士が最初から関与して子会社や親族との

取引を主導していく場合には、

税務上の問題を取り払って行う場合がほとんどです。

 

しかし、関与税理士がいながら、

会社が個人的にやってしまう場合には、

あれがない、これがない、となりがちです。

 

今回は、これくらいはあった方が良い

ということを念頭にして、

最低限あってほしいものをまとめてみます。

 

経済合理性を考える

親族間、親子会社間の取引の問題点は、

その取引に経済的な合理性があるのか?

という点だけです。

 

要するに、租税回避のために、取引をしても

経済的な合理性があれば、それは認められるのです。

 

逆に、経済的な合理性が無い場合には、

税務調査官の証拠収集能力に依存しますが、

否認される可能性が高くなります。

 

その経済的な合理性をどのように説明するのか

ということを考えていくことが必要です。

 

私が、税理士として主導した子会社スキームを

ご紹介したいと思います。

 

ある関与先で、かなり利益が大きくなってきました。

通常の節税方法はすべてやっており、

ドラスティックな方法は子会社を作ることだけ

というところまで来ました。

 

ですから、経済的な合理性が求められます。

 

色々聞いていったところで、

会社と相談の上で、現場管理代行ということで

経済合理性を説明しようということになりました。

 

例えば、社会保険加入、現場への人の登録、

現場との相談などの業務ということです。

 

それを子会社へやらせようということに

なるととともに、

 

親会社が引き受けた仕事で、人工(にんく)での仕事も

子会社へ移して、運営資金に充てようということになりました。

 

要するに、

親会社⇒子会社への利益移転

という可能性が残りますので、

 

あくまで、運営資金としての仕事を与えて、

やっていくということになりました。

 

ですから、ただ仕事を右左に流している

ということではなくて、

運営するための仕事を流すという

経済合理性を含めたのです。

 

このようにして、2つの売上を子会社で構成して、

結果としての、親会社への節税対策となる

という道筋となりました。

 

何を経済合理性の説明するのかは、

業種、業態、取引形態によって異なります。

 

個別具体的になりますので、

その会社を知っている人でなければ、

できない提案や考えとなりますね。

 

 

第三者と同様の書類を用意

さて、経済合理性が説明できる状態になったとして、

まだ、手を抜いてはいけません。

 

第三者と同様の書類を作成することも

大切なことになります。

 

第三者と同様ということは、

まず、契約書、請求書は最低限作成して、

やり取りを行っておくということです。

 

当然、包括的な委任契約となりますので、

印紙税では、7号文書になり、4,000円の印紙を貼付して

作成しておくことがベストです。

 

余談ですが、税務調査の通知ができてから、

契約書の印紙を貼付することをしても、

そんなに問題はないと思われます。

(ただ、脱法行為ですので、自己責任で!)

 

よくあるのが、請求書を作成しないパターンです。

これだと、どういった名目の資金の授受なのかを

税務調査の場面で説明できません。

 

ですから、いくら経済合理性があったとしても、

それを補強するであろう請求書がなければ、

ただ、取引を説明しているだけとなってしまいます。

 

 

 

 

 

近年の税務調査は、調査官によりますが、

税務調査に来た時点で出される書類の

証拠能力を高めようとしています。

 

要するに、後で作成して提出ということは、

その場ではないと判断してくる場合もあります。

 

当然、調査官も人ですから、ないのか、

出したくないのかなど探りは入れてきます。

 

サービス取引だと、上記の2つで完了しますが、

モノの取引だとそうはいきません。

 

つまり、モノの流れとしては、現実的には、

注文、発注、仕入、検収、発送、納品

ざっくりでも5工程はかかると思います。

 

例えば、親会社が仕入、販売という状態で、

販売をする子会社を設立すると、次のような

資料が必要となります。

 

子会社がユーザーに売るような場合には、

子会社は注文書を親会社へ送付して、

親会社は請求書・納品書を子会社へ送付する

という一連の流れが存在することになります。

 

商品自体は、親会社の取引先から子会社が直接売る

ユーザーに直送してると思いますが、

中間地点の、親子会社間の取引では、資料のやり取りは

証拠資料となりますね。

 

親子会社間の取引をするにしても、

通常の第三者との同様の資料を作成することが、

税務調査対策になるわけです。

 

金額の根拠を説明できるように

では、資料までそろえて、これでできる!!

と思ったあなたは、まだまだです!

 

最後に、金額の根拠を考えないといけません。

 

金額の根拠は、税務上では非常に大切なことです。

 

経済合理性は、取引の合理性があるかどうかの説明、

資料は、取引実態の説明です。

 

では、金額はどうやって決めたのか?

値付けについて説明がないとやはりただの租税回避

ということになりますね。

 

言い方を変えましょう。

 

対価性があるのか?

ということですね。

 

対価性は、何をやってその金額となったのか

ということを説明することです。

 

例えば、ソフトウエア販売を挙げると、

開発会社(親会社)⇒販売代理店(第三者の会社)

ここの利益率を60%として卸したとします。

 

上記の取引を、

開発会社(親会社)⇒販売代理店(子会社)

ここの利益率を50%として卸したとします。

 

そうすると、親会社から見ると、子会社への販売は、

10%の利益を放棄することで成り立つことになりますね。

 

この10%は何なのかというと、

子会社である販売代理店が、他の販売代理店よりも

価格競争力を持つことになります。

 

それによって、販売をしていって、

子会社の運営費にしてほしいという取引スキームを

考えるということになりますね。

 

このように考えると、金額に妥当性が生まれてくる

ということになると思います。

 

10%が適正なのかどうのかは、わかりませんが、

少なくとも、他の代理店よりも子会社が安く仕入れている

ということへの説明にはあるわけです。

 

これが、海外の親会社、日本の子会社(逆も同様に)

という形だと移転価格税制の対象取引となりますが、

それは、この記事の内容とは異なりますので、

今回は割愛します。

 

このように、どうやって、金額の根拠を説明するのか、

値付けに妥当性があるのか、対価性があるのか

といったことを検証することも大切なのです。

 

税理士に相談しないと損する

最後に、親族との取引、親子会社間の取引は

税理士に相談しないと損をするという話です。

 

なぜ損をするのか?

 

答えは簡単です。

会社が行うやり方が非常に稚拙だからです。

 

例えば、ある売上と仕入の差額を親族に

支払って経費計上したとしましょう。

 

相手の親族もそれを売上として計上して、

事業所得として処理したとします。

 

上記のような、経済合理性がない、資料がない、

金額の根拠がない、といった場合には、

一体どのように処理されるのか?

 

通常は、支払った親族への給料となると思われます。

なぜなら、ただたんに支払っているからです。

 

また、親族という特別な属人を考えると、

法人であれば特殊関係使用人、個人であれば親族

という結論になると思われます。

 

どちらも、届出有無や、他の従業員と同様な基準で

支払っていないとちょっと大変な否認事項になる

可能性があるわけです。

 

色々知らない言葉ができてくて、

戸惑うことになりかねませんので、

まずは、関与税理士にひとかみしてもらって、

 

取引の税務コンサルを料を支払っても、

相談をした方が良いかと思います。

 

 


編集後記

今日は、昨日受任した個人事業主の帳簿確認、

資料の依頼までをやりたいと思います。

加えて、3月に申告がずれ込んだ、12月決算の

申告準備も行います。

 

まあ、申告期限の延長をしているので、

問題はありません。

ただ、利子税が付いてしまうので、

それは会社に持ってもらう必要がありますね。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。