【国際税務入門】国際税務はまずはこれに注意!難しいことは受任しなくてOK!




国際税務入門

国際税務入門として最も重要なのは、

源泉所得税の取扱いです。

 

源泉所得については、国内法と租税条約

2つの適用が存在して、租税条約が国内法よりも

優先されることになります。

 

ですから、租税条約だけの確認をする人が

多くなってしまうのも無理はないです。

 

しかし、国内法を調べないとそもそも源泉所得税の

対象かどうかはわからないのではないでしょうか?

 

ですから、国際税務入門としては源泉所得税が

最も重要であると申し上げたいです。

 

まずはこれに注意!

源泉所得税の適用関係

さて、国際税務入門ではまずこれに注意!ということで、

源泉所得税の適用の流れと適用関係です。

 

源泉所得税の考えは、各国によって異なりますが、

基本的には各国の国内法を確認することになります。

 

日本⇒支払⇒海外ということであれば、

まずは日本の国内法を確認することになるのです。

 

理由は、その海外への支払が国内法における

源泉所得税の対象となるのかどうなのか?を

判断する必要があるからです。

 

よくある実務上のケアレスミスとしては、

海外への支払=源泉所得税必要

∴租税条約だけを確認

といった流れをしてしまうことですね。

 

これだと、不要な源泉所得税を徴収させることに

なってしまう可能性があるわけです。

 

そうではなく、まずは源泉所得税の対象となるのか?

を判断することが重要なのです。

 

そのうえで、租税条約で減免又は減額の適用を行う

という流れが普通の流れとなります。

 

まとめると

①国内法で源泉所得税の課税の有無

②源泉所得税の対象であれば租税条約を確認

③減免又は減額の手続きを確認

④支払う前までに租税条約の届出と添付資料提出

以上のような流れになるわけです。

 

ですから、国内法を無視してしまうと、

いきなり②の作業から入ってしまうことになりますね。

消費税の適用関係

また、消費税関係も注意が必要な場合がありますね。

 

設立形態ごとに消費税の納税義務者の確認ポイントが

異なってしまう点です。

 

例えば、支店から子会社形態への移行となると、

期首資本金の確認はすると思いますが、

 

支店や本店の日本国内で基準期間における課税売上高は

確認されることは少ないのではないでしょうか?

 

何が言いたいのかというと、子会社形態へ移行すると

筆頭株主は親会社となり、50%超を直接保有すると思います。

 

こうなると、設立時の事業年度に対応する基準期間における

課税売上高が5億円を超えていないかを確認する必要があります。

 

実務上でミスする場面を考えると、支店形態で消費税の負担が重い

ということで子会社形態へ移行する場合がありますが、

特定新規設立法人の確認をする必要があると思います。

 

話を支店形態の設立にするとします。

 

支店では基本的には消費税の納税義務をどうやって

判断するのかというと原則の判断で問題ないです。

 

このうち、漏れやすいのは本店の設立時期の確認です。

 

何が言いたいのかというと・・・

 

本店における基準期間がない事業年度に支店を設立すると

基準期間がない法人の納税義務判定を行うことになります。

 

すなわち、期首資本金の確認をすることになる

ということなのです。

 

ですから、本店の期首資本金が1,000万円以上になると

支店は設立1年目から消費税の納税義務者となります。

 

言われてみればそんなに難しくないことでも、

海外が絡むだけでちょっと複雑になります。

 

以上の話は、税務をある程度やってらっしゃる方ですと

知っている人が多い論点だと思いますが、

 

実際に実務に入ると適用関係を忘れてしまう

なんてことがありますので、まずは注意点として

この場で申し上げておきました。

 

難しいことは受任しなくてOK!

さて、国際税務というと難しいことが起こると

勘違いしている人が多いです。

 

特に国際関係の法人税課税3兄弟?姉妹?の次の

税制が浮かぶかと思います。

 

・移転価格税制

・過少資本税制(+過大支払利子税制)

・タックスヘイブン税制

 

この辺りに気を付けなければならないと

思っている人が多いですね。

 

実際に中小、零細の税理士事務所へ来る案件としては、

タックスヘイブン税制適用会社が来てもわかりません。

 

そもそも、多国籍企業だと出資関係が日本子会社では

分からない場面がありますね。

 

タックスヘイブンに資金を流している人は、

基本的に秘匿をしている場合がほとんどです。

 

ですから、私の場合には原則聞きません。

良い悪いではなくて聞いても仕方ないと思っています。

 

 

 

問題は移転価格税制となると思います。

こちらは通常の法人でも対象となってしまいます。

 

私はどうやって対応しているのかというと

大体の利益率や調達率を知っているので、

その範囲に入っていれば問題ないとしています。

 

つまり、何もしていないということが

いえると思います。

 

後述しますが、移転価格税制の対象の会社への

税務調査は広がっています。

 

ですが、基本的には税務署所管法人であれば、

移転価格税制について深堀されることは少ないです。

 

まずは、利益率や調達率などをヒアリングして

対応することが重要です。

 

深堀してしまうと残念ながら通常の顧問報酬では

ペイしなくなってしまいます。

 

そういったことも相手企業へ説明しておくと

良いと思いますね。

 

それから過少資本税制と過大支払利子税制は適用となる

会社が多くなります。

 

こちらは積極的に関与すべき事柄であると

私は思っています。

 

あり得ないと思うかもしれませんが、

私が経験した会社の中で、非居住者の社長へ

借入金の利息を支払っている会社がありました。

 

当然過少資本税制の対象なる規模の借入金があり、

損金不算入の計算をしないといけない会社でした。

 

他の税理士事務所から移ってきた会社だったのですが、

前の税理士が過少資本税制に気が付かなったようでしたね。

 

実務をやっているとそういったこともあります。

前の事務所のやっていたことを検査することも

重要なことなのだと思います。

 

国際税務の税務調査って?

それでは、みんな大嫌い税務調査の話です。

(私は税務調査が大好きです!)

 

国際税務の税務調査については、国際課税部門の

担当者が必ず来ることになります。

 

まあ、調査官のレベルは人それぞれとなります。

 

どういった調査になるのかというと、

基本的には本社が日本に卸している場合の

販売原価率を説明する場合がありますね。

(当然逆の場合もあります)

 

それが、他の代理店などの原価率と比べて大幅に

乖離していなければそこまで突っ込まれることは

ないと思われます。

 

ただ、ご承知かと思いますが、国税局には移転価格の

専門部隊が存在します。

 

この辺りが攻めてくると厄介な事案に発展する場合が

多くあることはわかっておく必要がありますね。

 

7年くらい前までは移転価格の部門の照準は

年商100億円くらいで、そのあとが50億円くらいの

ところも照準に入ったようです。

 

だんだんと移転価格の照準とする年商が落ちてくると

考えられますので、対策を考えてくことは重要です。

 

現在税務調査で問題とされていない企業であっても

それは調査効率性から見逃されている場合がほとんどです。

 

所得税の本当は雑所得なのに事業所得で申告して

損益通算しても10年以上税務署が調査に来なかったと

自慢している個人のようなものです。

 

では一体どのように対応を練ればいいのかというと、

まずは対価性から始めてみましょう!

 

いきなり移転価格税制ということではなくて、

なぜその原価で仕入れることになったのか?

 

金額を構成する中身を精査することから

初めてみることです。

 

それから移転価格の適用に落とし込まないと

その会社に合った適用を導きだせません。

 

税法は原則的に個別具体的に適用すべきなのは

明らかですので、一律に適用することはできません。

 

現状では中小企業レベル(資本金1億円以下)で

年商が20億円くらいまでは私の経験では移転価格は

突っ込まれていませんが・・・

 

支店関係だと国税局の外国法人部門の調査官が来て

値段に踏み込まれそうになったことがあります。

 

年商規模は1億円以下のレベルでもやられるときはある

ということは知っておくと良いと思いますね。

 

国際税務をやると国内法の原則が分かる

さて、国際税務入門ということでそこまで

多くのことを語れたわけではありませんが、

 

私の感覚では国際税務をやることで、

国内法の原則が分かるようになると思います。

 

つまり、あまり意識していなかった税制の適用関係や

適用に至る流れを整理することで、より税制への理解が

深まるということが分かると思います。

 

内国法人だけだとどうしても、

こんな税制を適用する場面はないと思いがちなものでも

 

国際税務をやることで、クロスカウンターを受けたような

衝撃を受けることがありますね。

 

税理士の皆様におかれましては、ぜひとも国際税務の案件を

やることをお勧めいたします。

 

(ちょっとは国際税務の税理士っぽいことかけたなあ)

 

 

 


編集後記

今日も年末調整のお仕事をやろうかと思います。

20日支給の会社の給料データが来なくて

ちょっと困ってます(笑)

12月で年末調整を反映させるので、大丈夫かなあ?

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。