【税金と資料保存とペーパレス】税金ではペーパレスはお勧めできない!




紙での保存を何とかしたいです!

クラウド経費精算でペーパーレス化したいなあ

ペーパレスの需要は近年高まっていますが、

その法律は現実に追い付いていません。

 

また、税務調査をやりやすくる法律に

なっていると私は思います。

税金と資料、ペーパーレス化について

一緒に考えてみましょう!

税金と資料保存について

税金の法律では、資料の保存が義務と

なっていることはご存知でしょうか?

 

税金が要請する保存期間がある

所得税や消費税だと7年、法人税だと10年

税金の種類によってまちまちです。

 

税金では、このように資料の保存期間が

定められていて、事業をやっている人は

 

期限まで資料を保存する義務があり、

資料をなくしてしまうと大変です。

 

また、保管する場所も必要だったりして

固定費がかかる場合もあります。

 

資料の保存はどこまでか?

さて、それでは、どの程度まで資料を

保存する必要があるのでしょうか?

 

税金の法律では、帳簿書類等の保存となっていて

まず、帳簿を備え付けて取引を記録することが

要件となっています。

 

またその帳簿と資料等に関して作成または受領した

書類を7年間保存することになります。

 

ここで帳簿等とは、帳簿+資料等+作成受領した書類

この3つを言うものとされています。

要するに、全部保存してということです。

 

上記では、資料等と作成した書類と受領した書類を

帳簿書類等になっていますが、作成した書類や

受領した書類がどこまでかを明示していません。

 

基本的には税務調査で問題となるので、

税務調査で出す、出さない理論はあります。

 

しかし、すべからく取っておいて、

関与税理士とよく相談することも必要です。

 

消費税の問題へ飛び火することも!?

こんな最高裁判例があります。

消費税についてです。

 

税務調査において資料を提示しなかったそうで、

それを理由に消費税にいう帳簿書類の保存義務を

満たしていないとして、仕入税額控除を

否認したという事例です。

 

何を言っているのかというと、

要するに資料を見せられない(不掲示)ので

消費税の計算では支払った消費税は

ないものとみなすよ!ということです。

 

こうなると、消費税の納付額が増えることになり

本税の追徴と罰金もかかってしまいます。

 

この最高裁判例は、保存には税務調査時の

掲示も含まれるという認識を示しています。

 

所得税や法人税で言い換えると、

資料を提示できてませんね。

 

では、その経費は架空ですので、

経費を認めません。

 

所得税、法人税を払ってください!と

調査官に言われているのと同じです。

 

まあ、上記の判例はあくまで消費税の判例で

所得税、法人税にまで拡大解釈して

応用することは想定できません。

 

しかしながら、税務調査時の不掲示は

思わぬトラブルに発展することが

容易に想像できると思います。

 

まず、資料の保存には十分に注意が

必要だということなのです。

 

 

税金とペーパレスについて

さて、税金とペーパレスについてです。

 

ペーパレス化にも法律がある

近年、紙での保存がコスト負担がある

ということでペーパレス化を進める

会社も出てきています。

 

ペーパレス自体は、PDFにしたり

といった方法にて簡単にできる世の中です。

 

しかし、実はペーパレスにも法律があります。

電子帳簿保存法という法律です。

 

こちらの法律は、2つからなっていて、

帳簿のデータでの保存と資料や証憑の

データでの保存です。

 

この法律にそって紙資料をデータ化すれば

いいのでしょう?と感じると思いますが、

 

恐らく、この法律を知っている税理士は

電子帳簿保存法を勧めないと思いますが。

 

 

電子帳簿保存法を確認してみる

それでは、手続きについてみたいと思います。

手続き自体は、データ化する月の3か月前までに

申請書を税務署へ提出します。

 

問題はこの後の実際の経理関係の

業務フローが大変なのです。

 

まずは、領収書や請求書をスキャンしたら、

スキャンした3日以内にタイムスタンプを

そのデータに押さないといけません。

 

スキャンするにも要件があり、

解像度が200dpi相当以上であることです。

 

また、色彩にも要件があり、24ビットカラー

であることが必要です。

 

入力方式(経理方式)に2つの方法があります。

早期入力方式だと資料を受領後1週間以内、

 

業務処理サイクル方式だと月次を締めた後

1週間以内に入力することになっています。

 

つまり、資料をもらってから1週間で

入力を完了させる方法と

 

月次の資料締めをして、翌月の7日以内に

入力する方法の2つがあるのです。

 

また、入力者やその人を監督する情報も

確認できるようにしておくことが必要です。

 

適正事務処理要件として次の3つがあります。

・相互牽制
・敵的な検査
・再発防止

これらの規定を整備する必要があります。

 

加えて、データ処理に使った機器の説明書を

備え付けることが必要ですし、検索機能も必要です。

 

いかがでしょうか?

紙媒体で保存した方が楽ではないですか?

私は紙での保存をお勧めします。

 

税務調査におけるペーパレスだと・・・

税務調査においては、

電子帳簿保存法による要件の確認が

行われることになります。

 

電子帳簿の要件が問題になる?

つまり、上記のことができているか?を

いちいち確認されるということです。

 

ここで、先ほどの消費税の要件となりますが、

資料の不掲示は一発で否認となります。

 

もし、電子帳簿保存法に沿っていない

保存をしたことでどうなるのか?

という問題がありますね。

 

これは、額が大きさによってと、

調査官によって対応が異なると思いますね。

 

最近の調査官の傾向を考えると、

何も考えずに一発否認とすると思います。

 

また、税務調査を円滑にしてしまうことが

電子帳簿保存法にはあります。

 

税務調査を助ける検索機能要件

それが検索機能です。

こちらは3つの検索機能が要求されています。

 

・取引年月日その他の日付、取引金額その他
主要な記録項目での検索

・日付又は金額に係る記録項目について
範囲を指定しての検索

・2以上の任意の記録項目を組合わせての検索

 

どれも、税務調査が楽に、かつ、円滑になるように

検索できるようにしているとしか思えません。

 

税務調査は協力することが必要ですが、

余計なものを発見させることは避けたい

と思うのが人間です。

 

税務調査は紙媒体でも円滑に進めますし、

何事もなく調査を終了させることもできます。

 

税務署へ協力したからといって、

何かいいことは待っていません。

 

 

資料保存とペーパレスは相性がいい

最後に資料保存とペーパレスは非常に

相性がいいと私も思っています。

 

ペーパレス化と引き換えに・・・

なんといっても紙がなくなるわけです。

その分管理コストが低くすることができます。

 

ですが、それと引き換えに税金では、

過剰な要件をクリアーする必要があります。

 

つまり、経理関係の人員を増やさないと

どうしようもないわけです。

 

最低、入力者と監督者の2人は必要です。

ですが、中小企業だと経理総務で1人

というのが現実ではないでしょうか?

 

監督することを税理士がやったとしても

その分の報酬の上積みが必要です。

 

つまり、いくら処理が電子化されて

AIで処理できたとしても、人の介在なしに

法律は運用できないわけです。

 

確かに、データ化したり、ペーパーレス化する

ということで楽になる部分はあります。

 

しかし、法律に対応する人員の確保が

できないと税金問題が出てきてしまうのです。

 

 


編集後記

今日は税理士業務はお休みです。

今日から公開のヴェノムを見てきたいと

思っています。

 

楽しみにしていました!!

早く見たいです!

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。