自宅を売却した場合の所得税の計算は?




今回はご自宅を売却した場合の所得税の計算について3,000万円控除を中心に紹介します。

★自宅を売却して譲渡益がある場合にはどうすればよい?

この場合には、①3,000万円の特別控除、②マイホームの買換え特例、③軽減税率の3つの中から適用を選択していくことになります。現実的には、売却された時の所得税を抑えるために①と③を適用して申告を行う場面が多いと思います。②については、課税の繰り延べになってしまうのであまり適用をお勧めできませんが、買換えで取得したご自宅の売却価格が将来下がるということであれば、適用の余地はあると考えます。

 

★3,000万円控除と軽減税率とはどんなもの?

3,000万円控除は、ご自宅を売却した時に譲渡益がある場合には、その譲渡益から3,000万円を控除できる仕組みです。

軽減税率は、(譲渡益-3,000万円の特別控除)に対する税率を6,000万円以下までは10%の所得税、6,000万円を超える場合には6,000万円を超えた部分に対してだけ15%の所得税と600万円の所得税を足した金額が納付額となる仕組みです。

例示:譲渡益9,500万円の場合

(9,500万円-3,000万円-6,000万円)×15%+600万円=675万円

 

★3,000万円控除の適用について

3,000万円控除を受けるためには、当然ながら条件があります。次の通りです。

①今住んでいる家屋と土地の譲渡

②住まなくなった家屋と土地の譲渡

③災害で家屋がなくなった土地の譲渡

上記の②③については、住まなくなった日又は災害があった日から3年目の年の12/31までの譲渡に限ることになっています。

例示:平成25年2月9日(住まなくなった日)、平成28年2月8日(3年目の日)

→平成28年12月31日までに譲渡をしなければならないということになります。

 

★軽減税率の適用について

軽減税率についても当然ながら条件があります。次の通りです。

①日本にある住んでいる家屋や土地の譲渡

②売った年の1/1ににおいて、売った家屋と土地の所有期間がともに10年超持っていること

③売った年の前年や前々年に軽減税率の適用を受けていないこと

④マイホームの買換え特例の適用を受けていないこと

⑤親族に対して売っていないこと

上記は、現状住んでいる物件に対しての適用要件になります。

(注)現在住んでいない家屋を取り壊した場合には、次の要件すべてに該当する必要がございます。

ⅰ家屋取り壊し後の土地が、家屋を取り壊した年の1/1において所有期間が10年を超えていること

ⅱその敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結、住まなくなった日から3年目の年の12/31までに売ること

ⅲ家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、何の用途にも使用していないこと

 

★住宅ローン控除との関係

ご自宅を売却した場合には、当然ながら、新しいご自宅をご購入されると思います。このときに考えるのが住宅ローン控除ではないでしょうか?では、3,000万円控除を受けている場合に住宅ローン控除の適用があるのか?というと、適用できません。ですから住宅ローン控除と3,000万円控除との選択適用となります。どちらが納税額として有利になるのかを検討しなけばなりません。ただ、現実問題としてご自宅の売却で譲渡益がなければ、住宅ローン控除一択になりますので、譲渡益があるのかないのかだけをまず確認いただければと思います。

 

★先に新居を購入して住宅ローン控除を受けている場合は?

現実的には、先に新居を購入して住宅ローン控除を受けて、その翌年に従前に住んでいたところを売るといった場合も考えられます。この場合に、もし、3,000万円控除のほうが有利だということで3,000万円控除を受けることができるのか?という問題が生じます。

この場合には、3,000万円控除の適用を受けることができます。ただし、前年に受けた住宅ローン控除は適用できなくなりますので、前年分を修正申告することになります。その後も住宅ローン控除は全期間について適用できないこととなります。

 

 




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齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。