【国民年金】第3号被保険者の段階的廃止の提言について社労士が解説

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【国民年金】第3号被保険者の段階的廃止の提言について社労士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

令和6年11月2日に経済同友会の

第三号被保険者の段階的廃止の

提言について解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

第3号被保険者ができた経緯

時は遡り昭和60年改正にて

国民皆年金制度ができました。

 

国民皆年金制度とはすべての

国民が国民年金に加入する

という仕組みで

 

国民年金をすべての国民へ支給する

ことと保険料の負担を合わせた制度

になります。

 

しかし、当時の日本では専業主婦

が主流となっており

 

いきなり専業主婦にも国民年金

への強制加入をして保険料の

負担を求めることが政治的に無理

と判断されました。

 

そして専業主婦であり夫の扶養者

になることを前提にして

 

保険料の支払いを行わないで

老後に国民年金が支給される

 

第3号被保険者が創設されて

現在に至っています。

 

というのが表面上で

 

実は、当時の日本においては

将来、少子高齢化社会になり

 

年金の保険料収入が減って

国民年金の維持が困難である

という試算があり

 

改正当時は第3号被保険者はなく

国民皆年金制度のみ創設する

といった議論だったようです。

 

これに待ったをかけたのが

政治家になり、選挙で負けると

政治家になれないため

 

第3号被保険者を無理くり導入

現状の制度になっています。

 

 

第3号被保険者の段階的廃止と廃止後に起こること

ここからは余計なお世話に

なるわけなのですが

 

なぜか突如、令和6年11月2日に

経済同友会が第3号被保険者の

段階的廃止の提言をしました。

 

提言では

年金制度の信頼性、持続性に懸念がある、対処するための抜本的な改革案を出した

としています。

 

先だって、106万円の壁をなくして

パート従業員で週20時間以上の勤務で

 

厚生年金に強制加入されるように

改正を行うことが報道されましたが

 

これと歩調を合わせる形で

国民皆年金制度なので

 

みな等しく国民年金保険料を負担し

平等に国民年金を受給したらよい

というものだと考えます。

 

また、今後の国民年金の財源として

厚生年金を充てる財源の組み換えも

あることから

 

こちらのガス抜き施策とも

考えられます。

 

 

提言では第2号被保険者である

厚生年金の被保険者へ5年の

猶予をもって移行し

 

その後は第3号被保険者への

新たな加入をしないこととする

ようです。

 

第3号被保険者の廃止に伴い

想定されることを考えると

 

介護・育児や障害を持っているとか

など働くことができない層について

 

国民年金保険料を支払うことが

できない人が発生して

 

老後に無年金になりどうしようも

ない状況になる可能性があります。

 

障害年金はありますが一定の

障害年金の対象疾病ではない層では

障害年金も受給できません。

 

こういった人たちに対して

どうやって対応するのかが

抜け落ちています。

 

第3号被保険者をやめて異なる年金支給の制度を考える

第3号被保険者の見直しについては

厚生労働省が平成13年12月に検討を

行っており6つの案が上がっていました。

 

①妻が夫の賃金の一部を分割してその分割に対応する保険料を負担する方法

②妻が国民年金保険料と同額を負担する方法

③夫が国民年金保険料を負担する方法

④第3号被保険者がいる世帯の夫全体で定率負担する方法

⑤高所得の夫全体で定率負担する方法

⑥第3号被保険者の対象を育児・介護に限定する方法

女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書より抜粋
筆者一部加筆

 

現行法令では上記を基に

①の案では離婚時の年金分割制度

の創設になっており

 

④の方法では第3号被保険者の

縮小について令和6年10月から

従業員が51人以上の事業所で

 

パート従業員が厚生年金に

加入することになっています。

 

上記の見直し案においての

検討会においては個人単位での

負担をするように進めるとか

 

第3号被保険者を縮小して個人へ

見直しをするといった意見が

ありました。

 

おそらく今後問題が発生する

可能性があるのは介護や心身の

影響で働くことができない常況の人

にどう対応するのかになります。

 

私の考えでは健康で働くことが

できるのに働くことを選択しない

層に関しては

 

国民年金保険料の負担を求める

ということで問題ないと考えます。

 

しかし、何かしらの状況があり

働くことができない常況にある

人に対しては措置が必要と思います。

 

こういった人に対しては

生活保護に応じた年金給付をする

ということになると考えます。

 

生活保護では内容が複数ありますが

中でも生活扶助、住宅扶助、医療扶助

で構成した年金制度を新たに設ける

必要があると思います。

 

取りこぼしがないような

年金制度にする必要がある

わけですね。

 

 


編集後記

年金制度改革は第3号被保険者

だけが問題ではないです。

 

例えば、国民年金は自営業向けの

年金制度として発足しました。

 

現行法令での国民年金の受給額は

約80万円/年になっています。

 

80万円では到底暮らしていく

ことは難しいです。

 

一応、国民年金基金とか付加年金

とかなどの国民年金の上位の年金は

あるのですが

 

稼いでいなければ支払うことが

できないような制度です。

 

基本的には国民年金の受給額は

今後も上がっていく可能性が

あるので持続的な年金支給の

財源が問題になります。

 

今回は厚生年金の保険料を充てる

ということで対応するのでしょうが

 

時間稼ぎにしかならず財源問題は

今後も発生する可能性が高いです。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。