【国税庁公表資料】令和4年度会社標本調査結果をもとに解説

統計 調査




【国税庁公表資料】令和4年度会社標本調査結果をもとに解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

会社標本調査を解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

会社標本調査とは?

国税庁は令和6年6月に

令和4年分会社標本調査結果

を公表しました。

 

会社標本調査とは

本調査は、我が国の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正、税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的として実施しているサンプル調査。昭和26年分以降、毎年実施しており、今回が第73回目となる。

令和4年度分調査結果は、活動中の内国普通法人について、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に終了した各事業年度について、令和5年7月31日までに申告のあった事績を対象として、令和5年8月末現在で取りまとめたものである。

令和4年度分調査におけるサンプルサイズは約225万社となっている(母集団サイズ約291万社) 。

令和4年分会社標本調査結果についてから抜粋

です。

 

要するに一定の期間の法人税の

申告について資本金別、業種別に

まとめた調査結果です。

 

資料は報道発表資料の概要

としてまとめられたものと

 

全187ページからなる詳細な

資料の2つがあります。

 

詳細な資料では資本金別の

会社構成や業種別の利益や

欠損(赤字)のデータを確認

することができます。

 

報道発表資料は詳細のデータが

まとめられたデータになっています。

 

一般的には報道発表資料のほうで

内容を確認して

 

気になった個所を詳細資料で

確認したほうが効率的です。

 

 

調査結果のポイント(資本金別構成・利益と欠損の傾向)

令和4年分の法人数は約291万社

になっています。

 

このうち資本金が1千万円以下で

87.1%を構成していて

 

1千万円超1億円以下で12.2%

を構成しています。

 

言い換えると標本調査での

会社のうち99.3%は

 

資本金が1億円以下の会社で

構成されていると考えられます。

 

業種別における資本金の構成要素

を確認してみます。

 

最も法人数が多いサービス業では

資本金が1千万以下が31.4%

になっています。

 

続いて、建設業で資本金が1千万円

以下の構成比は15.8%になり

 

不動産業で12.9%、小売業で11.4%

と続きます。

 

資本金が1千万円以下の法人の

うち上記だけで71.5%を占めて

いることがわかります。

 

先ほど資本金が1千万円以下で

構成される全体の割合が87.1%

だったので

 

サービス業、建設業、不動産業

小売業が占めているわけです。

 

日本の市場では資本金1千万円

以下の中小企業が中心になって

 

経済活動が行われている

傾向があるとわかります。

 

 

 

次に利益が出ている法人と

欠損になっている法人の割合を

確認します。

 

利益が出ている法人数は

約113万社になっており

 

欠損になっている法人数は

約177万社です。

 

割合は利益が出ている法人が

全体の38.9%で

 

欠損になっている法人が

全体の61.1%です。

 

以前から30%が黒字で

70%が欠損といわれて

いるのですが

 

令和4年分で見ると黒字会社が

増えている傾向があります。

 

利益法人は前年度比で4.2万社

増えておりますが

 

欠損法人も前年度比で2万社

増えています。

 

現状では法人数も前年度比で

6.1万社増えているため

いずれも増加傾向にあります。

 

事業承継で後継者不足といわれて

久しいのですが

 

法人数が増えているということは

後継者になりえる可能性がある人が

 

自分で法人を設立して事業を

していると考えることもできます。

 

調査結果のポイント(業種別の傾向)

業種別の法人所得(黒字)の

金額傾向を確認してみます。

 

ここでは、増加額・増加率と

減少額・減少率に焦点を当てて

上位の業種を確認します。

 

増加額が最も大きいのは

卸売業になります。

 

令和3年から8,358億円増えて

69,886億円になっています。

 

次いでサービス業は4,665億円

増えていて

 

運輸通信公益事業で4,056億円

が増えています。

 

増加率が最も高いのは鉱業で

令和3年度比で33.7%が令和4年で

増えています。

 

次いで料理飲食旅館業が30.2%増加

農林水産業が22.4%増加です。

 

この辺りはコロナから脱した

ことに影響があるのかもしれません。

 

人が集約して事業を展開するので

人が動くことができればおのずと

業績も上向くと考えられます。

 

逆に減少額が最も大きいのは

金融保険業で4,949億円になり

 

次いで科学工業が958億円減少

建設業が次に大きく766億円の

減少になっています。

 

減少率が最も高いのは出版印刷業で

13%の減少になり

 

次いで繊維工業が10.1%の減少

金融保険業で9%の減少です。

 

金融保険業は減少額では大きく

なっているのですが

 

減少率ではそこまで大きな

減少にはなっていません。

 

調べてみると令和4年には

能登半島地震や台風による災害が

あったので保険請求も大きく

 

保険料支払いが減少額に影響

したのかなと考えられます。

 

交際費では全体的な傾向を

確認しておきます。

 

令和4年分の交際費等の支出額は

35,820億円になっており

 

平成30年度以来4年ぶりに増加

したようです。

 

これもコロナからの脱したことが

影響しているのかなと考えます。

 

因みに令和6年4月からは

社外飲食費を会議費扱いに

できる支出額が一人当たり

 

1万円以下になったので

今後も交際費等の支出額が

増える傾向になるのでは?

と考えられます。

 

 


編集後記

標本調査結果と税務調査の

関連性を検討してみると

 

公表できるだけで上記の

データが国税庁にはそろっている

ことがわかるので

 

ちょっとでもおかしな数字だと

すぐに調査対象法人に選定される

ことになるとわかってきます。

 

調査対象法人はKSKという

システムが効果を発揮しており

 

法人税の確定申告書に添付する

事業概況書を読み取って

 

レーダーチャート分析により

調査対象法人の最初の選定が

行われているようです。

 

申告を請け負っている税理士

としては業種別の平均値というは

公表されていないので

 

会社ごとに会計処理を行い

申告するため

 

税務調査になったときに

なぜ調査になったのかなと

考えることが多いです。

 

会社標本調査結果の詳細を

確認すると業種別・資本金別で

利益とか申告所得の金額が

統計資料になっています。

 

これをみると相当詳細なデータを

国税庁は持っており

 

かなりの精度で分析をして

非違事項を事前にある程度

絞り込むことができると

想像します。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。