【時間外労働の上限規制】基礎から学ぶ時間外労働のルール




【時間外労働の上限規制】基礎から学ぶ時間外労働のルール

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

時間外労働のルールを解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

時間外労働と上限規制とは?

時間外労働を考える前に

労働基準法での労働時間と

休日を確認しておきます。

 

①労働時間
1日8時間まで及び1週間で40時間まで

②休日
毎週少なくとも1回

 

労働時間は1日8時間労働

を前提にすると1週間で5日

働くと40時間になります。

 

ですから、1日8時間以上

働いたら1分であっても

時間外労働になります。

 

1週間で40時間以上働いたら

1分であっても時間外労働に

なるわけです。

 

例えば、労働基準法上1日8時間

を守り、休日が日曜日だけにすると

 

1週の勤務日は月曜日から土曜日まで

になり、1日8時間になりますので

8時間×6日=48時間が労働時間。

 

40時間を上回っているため

8時間が時間外労働になります。

 

この状態は違法状態です。

 

しかし、現実の働く環境を考えると

1日8時間で1週40時間では

 

会社がうまくいかないよという

ことがあるため

 

時間外労働に対応するために

労働基準法36条に基づく労使協定

の締結をすることで

 

違法状態から解放されることが

可能になっています。

 

これが、36協定といわれるもので

労働基準監督署に提出します。

こちらは後述します。

 

さて、時間外労働が可能になる

36協定をすればいつまでも従業員を

働かせてよいわけではありません。

 

時間外労働の上限を規制する

ようになっており、次の通りです。

①時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則、月45時間以内・年間360時間以内

②臨時的な特別の事情がある場合は
・時間外労働は年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満、2~6か月平均80時間以内→臨時的な場合以外にも適用される

 

実務上のポイントは

①原則の月45時間を超えることができるのは、年6か月までです。

②法令違反の有無は法定外労働時間の超過時間で判断される

③中小企業は、2020年4月から適用されている

 

イメージ図

時間外労働上限規制

厚生労働省 時間外労働の上限規制
わかりやすい解説より

 

時間外労働の上限規制については

2024年4月以降から適用された

業種も存在します。

①建設事業

②自動車運転の業務

③医師

④鹿児島県及び沖縄県にける砂糖製造業

 

昨今の2024年問題として

物流や病院関係の労働時間

について報道されていたものです。

 

間違えると大変!所定労働時間と法定労働時間の違いとは?

時間外労働の超過判断は

法定労働時間によって判断される

ことになっています。

 

ここでは、所定労働時間と

法定労働時間を解説します。

 

「所定」と「法定」の違いを

理解しておかないと残業の法的な

扱い方がわからなくなるだけでなく

 

違法就労させてしまう

可能性があるためです。

 

所定労働時間とは

事業者が定めた労働時間のこと

になります。

 

例えば、次のような感じです。

始業時間:9時、終業時間:17時30分、休憩時間は12時から13時

このような労働時間を会社が

定めて従業員が働いていた

とします。

 

あるとき、従業員が18時まで

労働したとします。

 

一般的な感覚では17時30分まで

働けばよいところ30分超過して

働いたので残業したことになります。

 

では、労働基準法上の時間外労働にも

なるのではないかというと

結論は、時間外労働に・・・

なりません!!

 

なぜか?

 

 

先ほど申し上げたように

労働基準法上の1日の労働時間は

8時間までと決まっています。

 

先ほどの労働時間を考えてみます。

拘束時間は9時から18時までになりますが、昼休憩が1時間あります。

つまり、拘束時間は9時間になりますが、休憩時間の1時間を差し引くと・・・

18時まで残業したとしても8時間です。

結果、労働基準法が定める「法定労働時間」の8時間と一致するため、時間外労働にならない

 

時間外労働になりませんから

時間外手当の発生もありません。

 

こういった考え方は休日労働

でも起こりえます。

 

会社が休日を毎週土曜日と日曜日(日曜日は法定休日として定めていた。)にしていたとします。

あなたは、ある土曜日に労働したのです。

さて、土曜日の労働は休日労働

になりますか?

 

答えは・・・

なりません!

 

労働基準法上の休日とは

1週間で1日の休日になります。

 

今回の会社では日曜日が

法定休日になっているため

 

日曜日に働けば休日労働に

なりますが、土曜日は会社が

休みにしているだけの

所定休日

になります。

 

ただし、実務上のポイントは

休日労働かどうかではなくて

 

土曜日に働いたということは

すでに月曜日から金曜日までは

働いたわけです。

 

1週間の法定労働時間は40時間

になるため40時間を超えた

労働時間になっている可能性があります。

 

結果、40時間を超えた労働時間は

時間外労働になり時間外手当の

対象になります。

 

 

 

36協定の締結でのポイント

36協定は締結してさらに

労働基準監督署への提出になります。

 

適正な36協定の作成をすることが

速やかに時間外労働の違法状態から

の解放になりますので

 

実務上のポイントを確認してみます。

 

時間外労働の限度を決める

上限規制が適用されることで、1日、1か月、1年のそれぞれの時間外労働の限度を定める必要があります。

 

実務上では原則の上限である

月45時間があり、年間の上限は

360時間ですが・・・

 

月100時間以上又は2~6か月

平均80時間超の時間外労働と

休日労働は違法にされています。

 

以上のことから違法にならない

労働時間の上限を定める必要がある

わけですね。

 

時間外労働になる時間を

計算して36協定を締結して提出

 

現実では事業者は労働時間を

把握して労務管理を行う

というところまでが

 

時間外労働の上限規制の

ポイントになります。

 

 


編集後記

上限規制で月100時間未満とか

2~6か月平均80時間とかといった

時間が定められています。

 

これ何かというと

過労死認定基準になります。

 

心疾患などの血管系に影響がある

とされている時間です。

 

例えば90時間までであれば大丈夫

ということではなく

 

労働時間が長くなればなるほど

過労死になる可能性があると

考えられています。

 

具体例を出すと電通の従業員

自殺事件とか言ったところが

記憶に新しいところです。

 

ここまでになってくると

会社は従業員の家族から民事訴訟

される可能性が高まります。

 

労働時間の管理は現代経営では

必須の課題になっているのです。

 

 

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

youtube始めました!
税理士さいとうゆきおチャンネル
現在活動中止しています。

 

税務顧問や執筆などのご依頼はこちら↓

Liens税理士事務所 齋藤 幸生ホームページ

 

この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。