国税庁の通達は国民を拘束しない!本当に使わなくて良いのか?




国税庁の通達は国民を拘束しない!本当に使わなくて良いのか?

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

国税庁の通達について解説する記事となります。

 

通達は国税庁が職員等を拘束するために発している

命令みたいなものです。

 

結論として、税務署の職員は通達を逸脱する課税を

行うことはできません。

 

このような理由から通達行政といわれることがあり

実務の税務調査では税理士と税務調査官で意見が割れて

度々問題となることがあります。

 

私の考えや経験を踏まえたうえで

実務上での通達に関する考えが今回の記事です。

 

それでは、スタートです!!

 

国税庁の通達とは?

国税庁の通達とは正式には

「法令解釈通達」という名称です。

 

ある法律について

国税庁が職員等に対して

この様に解釈しますよ

 

ということを述べている文書になります。

 

国税庁のホームページにも公表されていて

誰でも閲覧可能です。

 

主に次のようになっています。

・所得税関係
・相続税、贈与税関係
・法人税関係
・間接税関係
・徴収関係
・不服申立関係
・その他

 

実務上で相談される税理士さんも

通達を調べて関与先に処理を伝えているケースが

多いのではないかと思います。

 

ではなぜ通達があるにもかかわらず

税務調査で修正申告が行われて

追徴が出てくるのかということです。

 

追徴となる理由としては主に次のことです。

①経理処理のミス

②グレーゾーンの処理

③脱税

 

税務調査を経験している立場からすると

①と②が多いです。

 

①の経理処理のミスは売上の計上もれや

在庫の計上もれ、実質と異なる科目で処理していた

というようなことです。

 

②は法令、通達に書いていない処理が

実は課税の対象となったということです。

 

例えば、事業所得として確定申告していたところ

雑所得と認定されて損益通算ができなくなったので

課税されるといったことですね。

 

事業所得や雑所得の意義や例示はされているものの

例えば副業収入が事業所得である、雑所得である

ということは一切定義がありません。

 

あとは永遠のテーマとして事業経費の範囲

事業按分割合などもグレーです。

 

法人では福利厚生費、寄附金、交際費といった

隣接費用でグレーゾーンが発生します。

 

すべて事業ごとに個別具体的に処理が異なります。

そのすべてにおいて法令や通達で網羅することは

非常に難しいです。

 

こうした理由から通達は一般的な法令解釈として

実務上では使われることになります。

 

 

通達で使えることはとことん使う

通達は国民を拘束しません。

この意味は通達の通りに処理しなくても

差し支えないことです。

 

逆に、税務調査では通達に縛られていない処理について

納税者が説明をすることになると思います。

 

証明するという厳密なことではなくて

処理が正当であることを主張する意味です。

 

この点、何でもかんでも通達を使わないで

処理を行うことが本当に良いのかです。

 

私は通達を使うことが悪いことではないと思います。

税務調査でこのような通達の基に処理をしています

と申し上げれば課税を受けることがないからです。

 

依頼者である納税者が税理士に求めていることは

2つあるかと思います。

 

①税務調査で無駄な課税をされたくない

②節税の提案をして欲しい

 

通達で処理を行うことは①に対応する

お仕事になると思います。

 

節税でも通達にあることを使った処理は可能で

多くはないのですが使える通達はあります。

 

 

 

逆に通達だと納税者にはデメリットしかないこともあります。

こちらをどのように考えるかです。

 

申しあげたように通達は一般的な法令の解釈を

国税庁が公表している文書です。

 

従ってデメリットにならないように

取引を工夫するといったことも可能となります。

 

あとは法令では推し量ることが難しいことを

解説しているような通達があったりしますね。

 

こちらは主に消費税関係が多いように思います。

 

例えば、通勤手当は課税仕入になるのか

という問題があります。

 

通勤手当ですから通常は給料の一部ですから

給料が課税仕入にならない以上課税仕入に

ならないと判断できそうです。

 

しかし、実際には通勤手当は課税仕入にして良い

ということになっています。

 

このように実務上で判断に迷うことがある場合に

実務上の処理を手伝ってくれるものでもあります。

 

 

通達では解決しない問題はどうする?

現在の取引は経済取引が高度化していることにより

現状の法律や通達には書いていないことが起こり得ます。

 

こちらは現在の法律や通達に絡めて実質で判断する

ということになります。

 

例えば海外の会社が日本国内に支店を設置した場合の

消費税の課税期間開始の日です。

 

新たに設立された法人と一緒に考えてよいのか

ということが問題になります。

 

結論としては親会社の事業年度で考えることになります。

 

こうしたことは通達ではなく、法律で読み解いて

考えて実務に適用していくしかありません。

 

重箱の隅と考えられることが意外に実務上では

問題になることがあります。

 

多くは法律と通達で何とか解決することができますが

最終的には法律をどのように適用するのかという

根本的な問題に対しては根本的な解釈が必要です。

 

通達だけですべてが解決することではなく

法律の根本的な理解や解釈も重要になっています。

 

 


編集後記

法律の根本的な運用という話で言えば

国際税務に携わっていると法律論になることが

多いように思いますね。

 

輸入のDDPとDDUの違いによる消費税の申告義務や

電気通信利用役務の提供を行っている場合の消費税の申告義務

など実務上では隅っこなのですが

 

実際に相対すると、ちょっと身構えることが多いです。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。