独立してから税務六法を購入していない税理士がどうやって調べているかを解説!




独立してから税務六法を購入していない税理士がどうやって調べているかを解説!

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

税務六法を購入しないでどうやって調べるのかを

解説した記事となります。

 

今回の記事の対象者としては

・税理士事務所職員になって日が浅い方

・どうやって税金関係を調べるのか分からない方

です。

 

記事の内容は

税務六法の中身、調べる方法、税務判例六法について

解説する記事となります。

 

それでは、スタートです!!

 

税務六法とは?

税務六法とは法令編と通達編から構成されています。

中身はその年に適用がある税務の法律と関係通達を

網羅した内容となっています。

 

値段は12,430円(税込)となっていて

対象者は税理士さんや税理士事務所職員さんです。

購入者の中には会社の法務部もあると思います。

 

どうやって作成されているのかというと

法令編はその年にe-GOVで確認できる法令で構成され

通達は国税庁が公表していることを編集して

確認がやりやすくしている書籍です。

 

通常、税理士事務所では毎年必ず購入して

一家に一台的な感じとなっていると思います。

 

私が税務六法を購入しない理由は

すでに公開されている情報が編集されたものなので

調べる方法さえ分かっていれば購入する意味がないからです。

 

特に税理士試験で主要な科目を受験していれば

法令は概ね頭に入っています。

 

税理士試験で受験していない科目については

実務書を読んで学習すれば事足ります。

 

税法は毎年変更がありますが

こちらは大綱で確認することで内容が分かりますね。

 

結論としては購入しても使わないことが

私の場合確定しているので購入はしていません。

 

 

どうやって調べているか?

調べる前の前提となる知識

税務六法を購入しないとなれば

調べる方法が必要です。

 

この点、前提となる知識が必要となります。

①問題となっている取引の税目

②一次情報はどこにあるのか

③解釈はどうするのか

ということになりますね。

 

税理士事務所に職員として勤務していたときに

後輩の職員さんから次のような質問を受けました。

 

調べ方が分からないんです。

税務六法があったとしてもこのような状態で

実務は誰でも始まることになります。

 

調べる税務知識が備わっていないとどうしようもないです。

まず税目の問題があります。

 

税法と称してしますが、税法という法律は存在しません。

色々な税金の法律を総称して税法と一般的に言われています。

 

ですから、税目ごとの法律の名前を知らないと

調べようにも知らべることができません。

 

税法は主要なものとして

所得税法、法人税法、相続税法、消費税法

上記にまたがる租税特別措置法があります。

 

概ね問題となる取引は上記のうちのどれかに

該当することが多いと思います。

 

税務六法がないことで一次情報がある場所を

知らないと大変なことになります。

 

税理士さんは実務書を参考に最終的に法令や

判例で判断するのです。

 

ですから法令や判例が分かる一次情報の場所を

知っておく必要があります。

 

法令についてはe-Gov法令検索で調べることになります。

最新の法令を確認できる一次情報のサイトです。

通達は国税庁の法令解釈通達で調べることになります。

 

法令や通達を読んでも判断できないことがあります。

つまり解釈の問題となりますね。

 

税法判例は裁判所では文理解釈といって

書いてあることをそのまま解釈することに

なっています。

 

最高裁判例でも上記のように判示されていて

意図的で個人的見解が入った解釈は認められません。

 

法律、通達で書いていることはできることで

逆に法律、通達にないことはできないのだ

という解釈になります。

 

本当にグレーな部分については

最終的には自分で判断せず

 

税理士事務所の職員さんであれば

所長先生に相談して確定する方が良いかと思います。

 

納税者の方であれば税理士会へ相談した方が

無難であると思います。

 

国税庁の電話相談もありますが

国税庁の場合には法令に詳しくない人が

対応している場合があります。

 

例え間違えて教えたとしても

法律を確認しない方が悪いとして

裁判上でも勝てませんのでリスクがあります。

 

 

具体的な調べる方法

調べる方法を解説します。

 

まずは税目を特定します。

例えば、法人を運営している場合には

法人税法と所得税法、消費税法が対象となります。

 

理由は法人税特有の問題なのかは最後に

分かるからです。

 

次のような取引があった場合を想定してみましょう!

建設業を営んでいる会社甲の代表者乙は乙の息子が入学した大学丙へ寄付を法人から行った。

なお、会社甲は大学丙から校内の建築物の建設を請け負っていて、消費税の課税事業者である。

 

さて、上記の場合にはどうするのか?ということです。

 

取引は会社から大学へ寄付を行ったということです。

ですから、法人税法の適用が考えられますね。

 

しかし、どうでしょうか?

この寄附は何のために寄付をしたのでしょうか?

 

寄付の目的が重要になりますね。

例えば、寄付した目的が乙の息子のためのであれば

個人的な費用を会社に肩代わりさせたので

役員報酬ということになりますね。

 

そうなると、所得税の問題が出そうです。

 

そして会社甲は消費税の課税事業者となりますので

寄付や役員報酬の取扱いが関連してきます。

 

このように、法人の取引だったとしても

税目ごとの法令を調べる必要が出てきます。

 

それに法令だけを確認しても実務上の取扱いが

そのまま分かることはありません。

 

例えば、消費税法では寄付は課税取引などどして

規定されていないからです。

 

このときに通達を調べてより具体的な処理方法が

ないかどうかを確認するのです。

 

順番としては、法令⇒通達という順番です。

理由は通達は納税者を拘束しません。

 

あまりにもおかしな通達はないのですが

実務上では通達の取扱いに従っていれば

特に問題となることはないと思います。

 

税目の法令や通達を調べていくうちに

次々と問題が出てくるはずなので

 

税目別の取扱いを確認して

一番納税が少なる方法を選択する

ということが税理士事務所のお仕事になります。

 

いち納税者がここまでできるのかというと

ちょっと難しいかもしれませんね。

 

最後に上記の取引について結論を申し上げます。

もやもやすると思いますので。

 

結論は個人的な支出を会社に肩代わりしてもらった

ということになります。

 

理由は建築物の請負契約を結んでいたとしても

通常は大学へ寄付することはありません。

 

従って、役員報酬ということになって

定期同額給与に該当しないですから法人税法では

損金不算入となります。

 

所得税法では源泉所得税を徴収することになりますし

消費税法では不課税取引となって対象外となります。

 

上記が普通に実務を処理する場合ですね。

後は税理士さんや税理士事務所の職員さんの

腕の見せ所となります。

 

税務判例六法が役に立つ

私が今年から購入する価値があると思う本は

税務判例六法となります。

こちらも税務六法と同様に毎年刊行されます。

 

価値があると思う部分は法令と判例が一緒になって

より実務に使える本である点です。

 

先ほど解釈をどうするかというところでも

申し上げましたが解釈は文理解釈となります。

 

しかし本当にそれで問題ないのか

他の解釈も合っても良いのではないかと

実務を通して感じることがあります。

 

このようなときには今の自分以上の考えは

出てこないことになります。

 

そこで過去の判例を確認することで

違った考え方を取り入れることができます。

 

例えば、実務上問題となる所得税法の必要経費

雑所得と事業所得の区分といったことです。

 

法令や通達ではちょっと判断が難しいテーマです。

このような判断が難しいテーマについては

納税者よりの解釈ができないかどうかを確認します。

 

このときに役に立つのが判例という訳です。

 

法令や通達は世の中のスピードとはかけ離れて

改正が行われてついて行けていません。

 

世の中では現行法令上では解釈が難しい取引が

日夜行われています。

 

そして日本は多民族国家になりつつあり

色々な文化圏の人が来日する中で

その文化と日本の法律が相いれないことがあります。

 

このようなときにどうにかなる方法や

考え方はないものかということで

過去の判例を確認することがあるわけですね。

 

税理士さんは差別化がちょっと難しい

サービス業の様なものです。

 

しかし、周りからの評判やお仕事を聞いていると

法令解釈ではもうちょっと柔軟でも良いのでは?

と思うことがあります。

 

つまり課税されないように税理士さんの個人的な

考え方で運用しているように感じる場面があります。

 

私としては法律の適用を読んだまま適用することで

前提条件をくっつけて判断しないようにして

納税者のためにできる方法を考えたいと思うので

税務判例六法に価値があると考えたわけです。

 

 


編集後記

2020年7月が今日で終わりますが

なぜか雨で夏といえそうにない気候ですね。

 

もうちょっと暑い夏を想定していたのですが

どうやら東京の梅雨明けは8月になりそうです。

 

コロナも夏には収束するのではと思われていましたが

そんなことはなく一年中流行しそうです。

 

ただコロナがあったことで行政手続きが電子化され

紙提出の手続きが今後オンライン化していきそうなので

そういった意味ではコロナ禍でも良いことの一つに

なったのだと思います。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。