IT(情報通信業)における税務調査とは?お仕事別に税理士が解説!!




IT(情報通信業)における税務調査とは?お仕事別に税理士が解説!!

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

IT(情報通信業)における税務調査について

お仕事別に解説を行っていきます。

 

一口にIT業といっても色々ありますので

その中から主なお仕事を中心にして

税務調査の勘所をお伝えします。

 

それでは、スタートです!!

 

税務調査の流れと税務調査官

税務調査の流れ

税務調査は次の様な流れとなります。

①実地の税務調査を行うという通知

②日程調整

③税務調査官が会社に来て資料の確認

④質疑応答

⑤非違事項があった場合の修正申告の勧奨

⑥修正申告と納付

⑦延滞税等の罰金の納付と税務調査終了の通知

 

実地の税務調査とは、税務調査官が会社に来て

資料を確認することです。

こちらの通知が顧問税理士さんへ行われます。

 

日程調整は税理士さんと会社さんが話合って

日程調整を行います。

 

実地の税務調査は、通常調査の場合には

最長で3日になります。

 

税務調査官が会社さんに来て

法定されている帳簿などを確認します。

その中で質疑応答を行います。

 

もし、非違事項といって税金が増える事項が

確認できたとすれば修正申告をして頂けませんか?

という勧奨が行われます。

 

修正申告に応じると修正申告と納付を行い

納付すると延滞税などの罰金が課税されるときは

その納付書が会社さんに送付されてきまして

会社さんは納付を行います。

 

税務署からは今回の税務調査の内容を

通知する通知書が会社さん宛に来て

税務調査終了になります。

 

税務調査官の種類

税務調査官には種類があります。

基本的には事務官、調査官、上席調査官が

税務調査に臨場することになります。

 

ただ売上高が10億円を超えるなど

ちょっと規模が大きくなると

特別国税調査官という特殊な調査官が来ます。

 

税務調査官の種類が異なる理由は

決裁担当者の違いです。

 

事務官、調査官、上席調査官の上司は

統括官という部門を統括する人になります。

 

こちらが納得しないといつまでたっても

税務調査での確認事項が行われます。

 

税理士さんが立ち会う場合には税理士さんが

間に入って対応することになります。

 

内部のことを申し上げると

実は審理という担当者が居まして

 

審理担当者が統括官に対して

納得がいかない場合にも確認事項が出てきますね。

 

特別国税調査官は自分で決裁権限を持っている

特別な国税調査官です。

 

多くは定年間際で調査能力がある調査官が

任命されることが多いようです。

 

概ね事実を確認して非違事項を特定し

税務調査の期間で落としどころを見据えて

修正申告の内容が出てくることが多いです。

 

結果として確認資料の追加ということは

あまりないように思います。

 

 

お仕事別税務調査の勘所

IT業といっても様々なお仕事があります。

ここからは私が経験したことを中心に

IT業で問題となることを解説します。

 

WEB制作のお仕事

WEB制作で問題となるのは仕掛品です。

 

仕掛品とは決算時点でお仕事に着手していて

翌事業年度にお仕事が終わるお仕事について

そのお仕事にかかった経費を来期に持ち越す

会計上の処理です。

 

つまり、経費からまだ納品されていない部分の金額を

控除して資産に計上し来期に持ち越す処理となります。

 

結論としては経費から控除する金額について

確認をされることになります。

 

金額の算出方法は税法上で法定化された

明確な基準はありません。

 

ですが合理的な算定方法が必要となります。

合理的とは恣意的な金額の評価をしていない

という意味ととらえてください。

 

例えば、合理的な計算をすると仕掛品の金額が

100万円であるところ

 

社長さんの一存で50万円にしておけ!

という社内命令で50万円に何の根拠もなくすると

50万円の仕掛品の計上もれになってしまいます。

 

実務上を経験するに上記の様な事は

起こることはそうそうありませんが

 

中小企業はお仕事の把握として進捗管理を

行っていても、そのお仕事にどれくらいの

人件費や経費を使っているのかを把握しきれて

いないことが多いかと思います。

 

まずは案件別台帳を作成して

案件ごとにかかっている経費を経理上で

把握することが大切です。

 

ソフトの開発と保守運用

IT業ではソフト開発も行われることがあります。

ビジネスモデル上、ソフトの開発を行い

 

その保守の運用を行うことでサブスクリプション的な

売上を定期的に発生させようとするモデルです。

 

こ自社でソフトを制作した場合には

ソフトウエアとして無形固定資産に計上します。

そののち減価償却を行っていきます。

 

外注させた場合にもソフトウエアになりますので

同様のことが起こります。

 

結果として固定資産の計上もれが

問題となる可能性がありますね。

 

ソフトウエアの保守については

売上の計上時期が問題となります。

 

税法上の基本的な考え方は

履行義務が充足されていくそれぞれの日が役務の提供日に該当する

ということになります。

 

つまり厳密に解釈すれば保守契約の初日ではなく

保守を行う義務が充足された日が売上計上日です。

 

この点、細かく突っ込まれると

契約日の初日よりも前に保守売上の計上を

行うことになる可能性があります。

 

いつから保守を行うのかという事実を

会社さんが認識する必要があるわけですね。

 

 

SIのお仕事

IT業では単価が高く税務上でミスすると

高額な追徴になる可能性がありますね。

 

こちらは2つの点で勘所があります。

①仕掛品の評価

②売上との対応

 

仕掛品はWEB制作と同じです。

 

売上との対応とは納品したのがいつなのか

ということですね。

 

最終的に仕掛品に集約されるのですが

SIの売上は段階的に受注先からお金をもらい

そのお金を原資に案件へ経費を投入するのが

通常の流れだと思います。

 

ちょうど建設業の請負工事と似ています。

 

決算時点で納品していれば

売上と外注費などの経費は問題なく

その事業年度に計上されることになります。

 

しかし、実際には納品した日にちを

会社さんが把握していないことがありますね。

 

それと毎回売上を請求するので

それで税務上問題がないと考えている

社長さんもいたりします。

 

それは間違いです。

 

SIは納品した事実があった日の事業年度に

すべての売上とすべての経費を計上することになります。

 

結果として、決算日までに納品していない場合には

もらっていた売上は前受金として収益に計上しません。

 

納品していない案件への経費は

仕掛品に計上することになります。

 

問題になるのは、WEB制作でも同様ですが

仕掛品の対象となる案件への勘定科目と

その勘定科目の金額となります。

 

この点、案件について直接かかった経費と

間接的にかかった経費が存在する可能性があります。

 

直接かかった経費とは外注費や内部での人件費です。

間接費とは会社さんが受注した案件すべてに関わる

制作のためのコストになります。

 

製造原価科目の材料費、人件費、外注費以外

ということになります。

 

要するに共通経費ということになります。

SIで事業を行っている場合には製造原価報告書を

作成していることが前提ですが

 

現場での旅費交通費、交際費、会議費

福利厚生費、消耗品費などの共通経費です。

 

こちらを全て把握したうえで仕掛品の評価を

行うということになります。

 

 

人材派遣業やサーバーレンタル業

こちらに関しては税務調査ではあまり

問題となることはありません。

 

実務上、人材派遣業では二重派遣を

かいくぐった契約も存在しますが

そういったところを指摘されることはないです。

 

売上と外注費の計上についても

必ずいってこいの関係にありますので

毎月定額の請求や残業代などが請求され

派遣先に請求する関係にあります。

 

毎月しっかり経理を行っていれば

問題という問題は生じないのが普通です。

 

サーバーレンタルについても

人材派遣業と一緒で売上と外注費の計上は

同時に起こることが普通です。

 

自社で固定設備を構築する場合

ただし自社で構築したサーバーで

レンタル事業を行う場合には

構築したサーバーは固定資産になります。

 

この部分は税法上の固定資産の処理に

依存することになりますので留意が必要です。

 

同じく自社で自社のLAN工事を行うことがあります。

この場合にも税法上では固定資産の処理に依存します。

 

税務調査を見据えた普段からの対応とは?

以上を踏まえたうえで普段から税務調査へ

対応することが可能となります。

 

まずは仕掛品の計上根拠が最重要です。

キチンとした評価金額を算出できる計算を

会社さんが算出するべきだと思います。

 

そのためには案件別台帳を整備して

契約金額、売上高、直接費の管理を行います。

 

共通経費は全体の売上のうち仕掛品となった部分の割合で

案件ごとに配賦する方法が考えられますね。

 

そして仕掛品の金額を少なくするためには

案件の進捗度合いを計算に組み込まないと

仕掛品の金額が過大になる可能性があります。

 

次は売上の計上時期ですね。

現在は収益認識基準という会計の世界で

税法上も運用されています。

 

自社の売上が収益認識基準では

どのように扱って税法上どのように計上すれば

問題ないのかを顧問税理士さんと話し合う

必要があると思います。

 

最後に固定資産やソフトウエアの計上もれを

防ぐということになります。

 

自社が行っているお仕事ごとに

税務調査で問題ないようにするためには

どういったことをするべきなのかを

考えることになると思います。

 

 


編集後記

税務調査シリーズ3つ目となりました。

2020年度は税務調査が少なくなるのか不明です。

 

コロナがひと段落したら一気に税務調査が

行われるということも考えられます。

 

ただネガティブに考えることではなく

自社の経営にとって税法を上手く使うことを

考えるポジティブなものとして税務調査を

利用することもありだと思います。

 

その上で無駄な追徴を受けないように

普段から管理をしっかり行うことが

大切であると思います。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

youtube始めました!
税理士さいとうゆきおチャンネル

 

税務顧問や執筆などのご依頼はこちら↓

Liens税理士事務所 齋藤 幸生ホームページ

 

この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。