中小企業における内部監査の導入とその運用方法を解説!




中小企業における内部監査の導入とその運用方法を解説!

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

中小企業における内部監査の導入とその運用方法を解説する

記事となります。

 

中小企業では内部監査を導入しているところは

めったにありません。

 

理由はオーナー社長さんが会計を税金計算のため

と割り切っているからだと思います。

 

しかしある程度規模が大きくなってくると

社内不正が起こる可能性があります。

 

社内不正が起こる理由は

不正をさせないけん制機能が自社にないからです。

 

今回は、私の経験から中小企業でも導入しやすい

内部監査を提案する記事です。

 

それでは、スタートです!!

 

内部監査とは?

内部監査について解説します。

監査というと公認会計士さんが上場企業に行う

というイメージがあります。

 

しかし、中小企業にそのような監査を行っても

意味はありません。

 

私が考えている内部監査とは

とどつまり、社内不正へのけん制機能のことです。

 

基本的には次のようなことを行っていきます。

・通帳と帳簿の整合性

・債権債務とその実態の整合性

・棚卸資産と実棚との整合性

・固定資産台帳と実際の設備との整合性

・社内のコンプライアンスの確認

・社内での報連相の確認

といったことになります。

 

中小企業では内部のことは内部で処理する

といったことが普通になっています。

 

この点、本当に内部で処理されているのか

不明な業務が出てくる可能性があります。

 

このブログで何度かしてきている

一人の従業員で経理、総務、人事、財務を

長年やっている場合が不正の温床になりやすいです。

 

では、その一人で長年やっている人の業務が

自社に関わっている誰かに確認されているのかというと

そういったことがないのが現実です。

 

法人だと多くは顧問税理士さんがいらっしゃると思いますが

税理士さんの業務は社内不正を暴くことではありません。

 

原則的に、税理士さんの業務は申告書の作成と提出で

その観点から帳簿を確認することになります。

 

ですから経費の内容、消費税の処理といったことは

確認されると思いますが

 

例えば、外注先への振込が本当に外注先に振り込まれている

ある外注先からの請求書が本当に存在してお仕事をやってもらった

というような確認をすることはありません。

 

理由は、会社が提出してきた帳簿に関しては

性善説に立ってそれが真正のものだとして

税務のアドバイスを行うからです。

 

 

運用方法を解説!

社内のどこに内部監査を実行するのか?

内部監査の内容が理解できたところで

自社での運用方法を解説していきます。

 

企業内で不正が行われる可能性が最も高いのは

経理となります。

 

理由は、一人で長期間やっている従業員の業務になりがちで

その業務を監督する人がいないからです。

 

単なる人手不足ということではなく

その業務について自社に知見がないからです。

 

結果として、分かっている人に全部任せておけば

問題はないという結論になると思います。

 

ですからまずは経理業務への内部監査を実行することが

今回のゴールとなります。

 

内部監査を実行する場合には簿記の知識が

あった方が良いわけですがなくても行うことができます。

 

というのは整合性の確認を行うからです。

 

以下ではその整合性の確認方法を解説していきます。

 

 

 

内部監査の実行

内部監査を行う期間について考えます。

会社の規模によって異なるわけですが

基本的には半年に1回を目安いに行ってください。

 

この半年というのは最も長い期間と考えます。

1年に一回だと確認する量が多いでしょうし

1ヵ月に一度だとちょっと面倒です。

 

基本的には半年に一度の内部監査を行うことになります。

 

まずは流れを解説します。

1.半年の期間の試算表を入手します。

2.帳簿の現金と実際の現金が合っているか確認

3.預金の出金が請求書の通りに実行されているか確認

4.帳簿の棚卸資産の金額と実際の在庫を確認

5.固定資産台帳と実際の固定資産を確認

6.請求された請求書の会社が存在しているか確認

7.請求された請求書がどの売上と紐づくのか確認

8.社内での報連相ができているのか確認

という流れになります。

 

試算表を入手する理由は、内部監査後に金額をいじることが

できなくするために必要です。

 

人間は何か不正をする場合には必ず隠します。

経理で不正を隠す場合には帳簿に記帳しなければ良いわけです。

そして監査が終わった後に計上すればチェックされずに済みます。

 

隠すスキさえも与えないことが重要です。

ですから、試算表は必ず後半の半年後に訪れる

自社の決算まで持っておきます。

 

現金は帳簿と手許の現金が合っていない可能性があります。

不正を行いやすいのは現金取引です。

ですから、必ず確認することになります。

 

預金も不正をする場合には処理しやすいです。

帳簿には外注費として架空の会社を計上しておきながら

通帳では全く異なる相手に出金している場合があります。

 

棚卸資産の確認は実際の在庫と帳簿が合っているのかを

確認する作業となります。

 

在庫を従業員が勝手に持ち出して売る可能性がありますので

確認することになります。

 

固定資産台帳と実際の固定資産の確認も同じで

勝手に持ち出して売る可能性がありますし

 

自社に全く必要のない固定資産を購入している

といった可能性が存在します。

 

外部から請求された請求書は必ず存在している

会社なのかを確認しましょう。

 

また、社外から請求されているということは

売上と紐づく社外からの請求書です。

 

こうすることで外部からの請求書が適切なものである

ということが分かります。

 

よくある不正は、架空の外注費の請求書を会社に回し

会社からお金を引き出す手法や外注費を水増しして

その水増し分をキックバックする手法があります。

 

水増しした場合には売上との原価率の整合性が取れません。

ですから売上との紐づけは大切なのです。

 

社内での報連相を確認することは

社内での決済ルールを決めている場合には有効です。

 

基本的には社長さんが最終判断をすることになると思いますが

キチンと社長さんへ報連相できているのかを確認します。

 

以上のように内部監査を行うことで

社内不正防止となります。

 

まるで人を疑ってみるようで納得いかないかもしれませんが

不正は起こした人が最も悪いのは確かなのですが

不正は起こるべくして起こります。

 

冒頭でも申し上げたように業務を監督する人が

中小企業におらず、一人で長期間、同一業務を行って

業務がブラックボックス化しているのが原因です。

 

そこにメスを入れるのが内部監査となります。

 

 

内部監査と税務監査の違い

内部監査と税務監査の違いも解説しておきます。

冒頭でもちょっと申し上げましたが・・・

 

内部監査と税務監査は全く異なる監査となります。

 

中小企業の多く現場では税理士さんご本人又は

税理士事務所の職員さんが会社に伺って行うのが

税務監査ということになります。

 

税務監査での関与は色々とあります。

 

証憑といって原始資料まで確認しながら

帳簿も確認を行ってくれ、さらに債権債務の残高を

合わせるところまで指南してくれるようなフルパッケージで

行う税務監査があります。

 

それとは別に帳簿の確認だけを行って

残高などについては会社で合わせてもらうといった

税務監査もありますね。

 

結果として不正を発見するというよりは

税法上の問題が発生しないように会社に関与するのが

税務監査ということになります。

 

ですから、証憑の確認においても

その証憑が真正であるかどうかは問題にはなりません。

 

逆に内部監査はすべてにおいて整合性が取れているのか

ということが問題となります。

 

ですから、証憑の確認、例えば請求書の確認においても

請求先が本当に存在している会社なのかという確認や

金額が水増し請求されていないかという確認になるのです。

 

考え方が根本的に異なるわけですね。

 

私が同業者の税理士さんから聞いたことがありますが

社内不正があった会社さんが顧問税理士さんへ文句を言った

ということがあったようです。

 

しかしながら、税理士さんは会社の従業員さんが

不正を行うことを止めるような存在ではありません。

 

税務における問題解決のために契約を受任して

お仕事を遂行するだけの存在です。

 

社内不正は社内での監督、管理体制で防止するしか

ないわけですね。

 

 


編集後記

家賃支援給付金の概要が出てきましたね。

昨日、ホームページの方に内容をアップしてみました。

建設業・フォワーダーのための家賃支援給付金を解説!

 

調べながら記事にしたわけですが

結構問題があるように思いますね。

 

家賃支援給付金の給付が決定したら

貸主や仲介会社へ報告がされるそうです。

 

そもそも家賃支援給付金については過去の支払実績を基に

金額を計算するのに将来の家賃補助のための給付金という

考え方で国は事業をやっている点に矛盾があると思います。

 

コロナの影響で家賃の支払が厳しいけれども

そういった事業者を助けるための給付措置だと思うのに

どうやら家賃支援給付金は将来の家賃支払いのための

給付金になるようです。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。