新型コロナウィルス感染症による無利子融資制度の現状について
こんにちは!
税理士の齋藤幸生です!
今回は・・・
無利子融資制度と借入の考え方を解説していきます。
現在、私の関与先の皆様へ無利子融資制度を
説明していて社長さんが思っている不安を
どのように解消するのかを考えてます。
それでは、スタートです!!
無利子融資制度について
無利子融資制度について解説していきます。
セーフティネット(以下、SNとします。)4号融資
とSN5号融資が経済産業省より発表されています。
基本的にはSN4号融資が使いやすいです。
理由は全国一律であること、全業種が対象
だからです。
ここではSN4号融資について解説します。
まずは無利子・無担保融資の適用要件は
次のようになっています。
①最近1ヵ月の売上高が前年又は前前年の同期と比較して5%以上減少
又は
②業歴3か月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1か月の売上高が、次のいずれかと比較して
5%以上減少しているときa 過去3か月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高
b 令和元年12月の売上高
c 令和元年10月~12月の売上高平均
①の例で申し上げると
2020年3月の売上高が2019年3月又は2018年3月の売上高と
比較して5%以上減少しているといった比較をします。
②の例で申し上げると
2020年3月の売上高が以下のa,b,cと比べて
5%以上減少している場合
a 2019年12月~2020年2月の平均売上高
b 2019年12月の売上高
c 2019年10月~12月の売上高平均額
融資の概要としては
①運転資金、設備資金
②無担保でOK
③貸付期間:設備が20年以内、運転が15年以内
④据え置き期間:最長5年以内
⑤融資限度額:中小事業3億円
⑥金利:当初3年間は基準金利0.9%引き下げる
以上のようになっています。
注目すべきは、据え置き期間が最長5年である
ということになります。
つまり、据え置き期間が5年となった場合には
5年経過する月までは利息のみの支払となります。
金利も注意が必要です。
当初3年間のみ0.9%引き下げるので
4年目以降は通常の金利となります。
要するに3年経過するまでに何とかする
ということになりますね。
さらに特別利子補給制度の要件は次のとおりです。
①適用対象
新型コロナウィルス感染症特別融資、危機対応融資で借入をした中小企業者②対象者
個人事業主:要件なし
小規模事業者:売上高が15%減少
上記以外の中小企業者:売上高が20%減少③利子補給
・期間:借入当初3年間
・補給上限:中小事業は1億円
新型コロナウィルス感染症の融資制度は
2段階となっているのです。
無担保融資と特別利子補給による実質無利子
ということです。
無利子となるのは借入後3年間だけとなります。
実質無利子というのは
利息は会社が支払、その支払った利息を
特別利子補給として国から援助するからです。
いくら借りれば良いのか考える
いくら借りるのか
次にいくら借りれば良いのかを考えて行きます。
今般の状況を考えると設備資金で借りることは
ちょっと考えることができません。
ここでは運転資金として考えて行きます。
運転資金となりますが
いくら必要でしょうか?
運転資金は計算方法がありまして
売上債権(売掛金)+棚卸資産ー仕入債務(買掛金)
ということになります。
しかし実際には上記以外に給料の支払、家賃、
光熱費が必要となりますね。
実際に即して考えたい場合には
仕入金額と販売費及び一般管理費の合計が
毎月いくら必要となるのかを計算します。
現状ですと、業種によりますが売上はゼロとなり
お金だけが出ていくことになると思います。
そう考えると必要なお金=借入の金額
となりますので
必要なお金×(例えば3年であれば)36
という計算で借入の総額を計算することができます。
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返済計画も立てる
因みに、返済が最長5年延びるとして
5年経過後には返済をしつつ金利も支払うことに
なりますので返済計画も考えて行きます。
返済計画の標準的な考え方は
税引後当期純利益+減価償却費で
返済原資を考えていきます。
上記はフリーキャッシュフロー(以下、FCFとします。)
と呼ばれる概念で自由に使えるお金という意味です。
返済はできればFCFの80%で返済できるような
返済計画を立てたいものです。
もしFCFを全額返済に充てることになると
会社の現金は一向に増えることはありません。
法人税を納付した後に利益は残るものの
その残った利益で返済しているからです。
返済しながらお金を残すにはどうしたらよいのか
いくら稼ぐ必要があるのかを考えることが
返済計画となります。
経営の見直しと借入の問題点
上記で触れたように借入金の総額と返済計画を
立てることで経営の見直しをする契機となります。
事業とは言ってしまうといくら稼ぐことができて
いくらお金が余ったのかということです。
この点を踏まえると借入の問題点が出てきます。
問題点は運転資金という短期の資金需要を満たすために
長期の借入で対応する現実です。
運転資金はその時だけ必要で長期の返済を
考慮に入れることは通常あり得ません。
また運転資金はお金を回すことなので
通常運転資金から返済をすることはできません。
従って税引後当期純利益+減価償却費で計算した
FCFにて返済を行っていくのです。
とどのつまりFCFを超えるような返済を行えば
運転資金が毀損することになるのです。
理由は収支計算すれば一目瞭然です。
売上金の回収ー仕入や経費の支払=利益に対応する現金
利益から返済するわけですが
利益に対する現金<借入の返済
という状態だと一体どこから返済するのか
ということになってしまいます。
現実としては仕入や経費の支払が起こった後に
売上金の回収が行われるので
あとで行われた売上金の回収の現金で
返済をしながら仕入などの経費の支払もしている
という状態になるわけです。
そうなるといつまでたっても資金繰りが厳しい状況が
改善されるといったことがありません。
このような経営課題に向き合うことが
今回できるのではないかと思います。
編集後記
今日は月次締めの日となります。
明日から新年度となりますが結構厳しい経済状況で
今後どうなるのかなあと思います。
厳しい時にどうやってご支援できるのかが
問われているのが顧問業であると思いますね。
今回の新型コロナウィルス感染症の特別融資ですが
5年後くらいに経営の大きな重しとなってしまうのでは?
と思っています。
では税理士の齋藤幸生でした~
それではまた👍
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
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