国際税務の勘所はどこか?ピンとくるための国際取引を解説!




国際税務の勘所はどこか?ピンとくるための国際取引を解説!

今回は、国際税務を約10年やってきた税理士が、

国際税務の勘所を解説します。

 

国際税務での規定と取引を基に、

国際税務のコツを解説していきます。

 

また、税理士事務所と会社との関係についても

注意点を解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

国際税務で注意する規定とは?

それでは、国際税務のコツをお伝えする前に、

国際税務で注意する規定を知らないといけません。

 

深堀すると大変なのですが、

どれも国際税務では基本的なものになります。

 

まずは、規定の名前と内容を知ることが

始めの第一歩となります。

 

移転価格税制

内容は、海外の関係会社と日本の会社との間の

取引価格に注目して課税される税制です。

 

取引価格が、第三者へ売る、第三者が買う場合の

価格と比べて高い又は低い場合に適用される

可能性が出てくる税制です。

 

要するに、関係会社という特別な地位を利用して、

税金対策をしていないか?ということです。

 

 

過少資本税制

内容は、関係会社からの借入の利息を日本の税制で、

損金不算入(経費を否認する)という税制です。

 

基本的には、資本金の3倍の関係会社からの

借入がある場合には適用される可能性が

出てくる税制となるわけです。

 

過大支払利子税制

内容は、法人税の対象となる利益に対して、

過大な利息を関係会社に支払うことで、

租税回避をすることを防止する規定です。

 

トリガーは、調整前所得という概念の50%超の

関係会社への利息を支払った場合には、

その50%を超える部分が損金不算入となります。

 

外国法人合算税制

内容は、外国にペーパーカンパニーを作った場合に、

実体のないペーパーカンパニーの利益を、

そのペーパーカンパニーを作った会社の利益にして、

法人税を課税する仕組みです。

 

税法上の要件がありますので、

それに従って判断していきます。

 

源泉所得税と外国税額控除

源泉所得税は、海外への支払時に源泉所得税の対象と

なるのかどうかということですね。

 

税率は20.42%が原則となり、

租税条約に該当するのであれば、

減免、免除の措置で税率が変わります。

 

外国税額控除は、海外で支払った税金を

日本で税額控除する制度です。

 

全世界の所得のうちに、海外の所得の占める割合で

外国の税金を日本の税金から控除することになります。

 

 

 

ピンとくるための国際取引を解説

それでは、ピンとくるための国際取引を

解説していきます。

 

関係会社取引

国際取引のうち、最も注意したいのは、

日本国内と海外の関係会社間の取引です。

 

上記を見て分かる通り、

・移転価格税制
・過少資本税制
・過大支払利子税制
・外国法人合算税制

の4つは海外との関係会社との取引が

対象となっているのです。

 

具体的な取引として

 

移転価格税制

こちらは、関係会社とのモノやサービスの

やり取りをした場合に、取引価格に着目して

適用される税制となります。

 

私の感覚では、中小企業であれば、

第三者との取引価格の5%~10%以内であれば、

許容される範囲内だと考えています。

 

まあ、関係会社との取引価格が大きくなれば、

5%と言えども大きな金額となりますので、

税務当局とのトラブルになることは否定できません。

 

基本的には、移転価格ポリシーは作成して、

どういった算定基準でやっているのかを

会社として明らかにしておくことが肝心です。

 

一番問題なのは、海外の関係会社との取引について

何も決めた形跡が無い場合です。

 

税務コンプライアンス上では、

非常にまずいと考えます。

 

 

過少資本税制と過大支払利子税制

こちらは、関係会社への利息支払です。

多くは、日本へのインバウンドで進出した

会社が対処する場合がある税制です。

 

親会社からお金を借りて、

その借金の利息を支払うという取引です。

 

また、外国人であるオーナー社長から

借入をして利息を支払う場合にも適用があります。

 

まずは、株主からの借金と利息に注目して

判断をすることになります。

 

外国法人合算税制(タックスヘイブン)

こちらも海外の関係会社へ支払った金額が

問題となる可能性があります。

 

多くは、ケイマン諸島、パナマに会社を設立して、

その会社へ支払を行うスキームですね。

 

タックスヘイブン地域に会社を設立したときに

まずは、判断しないとまずい税制です。

 

ただ、世界中で法人税などの税金の税率を

低くする地域がありますので、

海外に会社を設立した場合には、

まず、判断をした方が良いでしょう。

 

 

 

 

それでは、関係会社、関係会社以外のどちらでも

適用の対象となる税金の取引を解説します。

 

海外取引

源泉所得税

内容は、先ほど解説した通りです。

近年の主な取引としては、IT関連の

取引で国税当局ともめることがあります。

 

例えば、ソフトウエアです。

こちらが、複製、リバースエンジニアリングなどを

前提にしているなど一定の場合には、

 

税法上、ソフトウエアの売買とは考えずに、

著作物の譲渡に該当することがあります。

 

そうなると、ソフトウエアの代金を日本から

海外へ支払う場合に、源泉所得税を天引きして

支払うことになります。

 

また、海外の親会社へ支払う配当金も

同様に源泉所得税を天引きして支払う

ということになりますね。

 

大まかに、2つの取引を挙げましたが、

税法上では、国内源泉所得の対象となると

源泉所得税を天引きするシステムが

自動的に稼働します。

 

まずは、海外の取引が源泉所得税の対象となるのか?

これを調べることが肝要です。

 

外国税額控除

こちらも上記で申し上げた通りです。

 

勘違いしてほしくないのは、

外国で支払った税金がすべて

日本の税金から控除できるシステムに

なっていないことです。

 

また、外国税額控除を適用すると、

外国税額そのものは、税金計算上、

損金不算入となります。

 

ですから、適用に当たっては、次のことを

確認することになります。

 

・最低3年間は外国所得が発生するのか
⇒控除できなかった税金の繰越は3年のみ
翌期以降に繰り越しになるため

 

・最低3年間は黒字になり日本の税金が発生するのか?
⇒税額控除なので、日本の税金が発生しないと
控除するための税金がないです。
因みに、外国税額控除で還付はできません。

 

・地方税の納付額も含めて有利計算する
⇒外国税額控除の難しいところです。
国税では税額控除ですが、地方税では外国税額控除を
することができません。(一部例外がありますが)

基本的には、税金の納付額について、

全体的な納付額が一体いくらになるのか?を

計算してから適用したとしても大丈夫です。

 

あと、外国税額控除のためには、

添付資料が必要となります。

 

外国の政府の発行した税金の納税証明書です。

こちらが発行されないと外国税額控除は

できないことになります。

 

気を付けたい税理士事務所との関係

国際税務での税理士事務所との関係を

考えてみたいと思います。

 

まずは、国際税務を専門としている

税理士事務所に依頼することが無難です。

 

国際税務は、かなり異質なところになります。

 

今回取り上げたのは、国際税務で概ね

知っておかなければならないことです。

 

税理士事務所によっては、

上記に気が付かないで処理をしてしまっている

ということもざらにありますね。

 

その結果として、裁判にまでなってしまう

ということが少なからずあります。

 

また、通常の税理士のビジネスモデルが、

国内の法人に関与することになりますので、

外国取引に疎い場合がありますね。

 

例えば、海外の親会社から借入をしたのに

税理士事務所から全く確認をされない

ということがあります。

 

やらないというよりも、

税理士事務所の担当者が気が付いていない

ということが言えますね。

 

会社としては、取引をする税理士事務所には、

どんな国際税務に関わってきたのかを

確認してから依頼することが肝要だと思います。

 

 

 


編集後記

今日は引きこもりとなっています。

仕事が溜まっているので、それを片付けて

しまわないとえらいことになりますね。

 

明日、イベントがあるのですが、

終日外出できれば良いなあと思います。

できないようだったら諦めて、

仕事するしかないですね。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。