貿易業の経理と税務申告を考える!消費税が最も重要!




貿易業の経理と税務申告を考える!消費税が最も重要!

今回は、私が税理士としてかかわっている

業態の1つ、貿易業を解説します。

 

経理方法、税務申告の考え方を中心に、

消費税の重要性についても触れていきます!

 

それでは、スタートです!!

 

貿易業の経理と税務申告

貿易業の経理について

初めに、貿易業の経理について解説します。

基本的には輸出入が貿易業の中心です。

 

損益計算で業績をきちんと把握したい観点から、

消費税は税抜経理方式を採用します。

 

税抜経理方式では、売上と仕入からそれぞれ、

消費税を抜いた本体金額のみが売上と仕入に計上され、

売上と仕入が消費税分だけ過大計上されることを

防止することができます。

 

税込経理方式では、消費税の納付額又は還付額にて、

費用又は収入の計上をしないといけなくなります。

 

現実には、納付額が租税公課という

販売費一般管理費項目の費用となりますので、

営業利益に影響が出ます。

 

逆に還付額は雑収入という営業外収益に計上されて、

経常利益に影響が出ます。

 

ですから、消費税の経理方法一つで、

業績の表し方が変わることになりますね。

 

以上の観点から、分かりやすい計上と表示方法を

考えると、税抜経理方式を採用します。

 

後は、売上の計上基準が問題となりますね。

こちらは、輸出だと輸出許可証の日にちで計上する

ということになりますね。

 

輸入だと、国内に一度入ってから、

国内事業者に売ることになりますので、

原則の通りに、出荷基準で問題ないです。

 

 

貿易業の税務申告について

貿易業の税務申告について注意したいのは、

やはり、消費税の申告についてです。

 

特に、輸出業では、国内消費税の還付を行う

還付申告となります。

 

還付申告は、現在に至っても不正還付申告が

多発していますので、税務当局からの厳しい目が

あることを知っておいてください。

 

具体的には、輸出業だと以下の資料がないと

税務署は還付をしません。

 

・科目別税区分表

・輸出許可証

・国内仕入の仕入請求書

 

最低限、上記3つは必要となります。

 

これ以外に、消費税の還付に関するお尋ね

ということで、取引の一切が分かる資料を

税務署から要求される可能性があります。

 

基本的に、消費税の還付申告に慣れている

税理士については、提出資料を知っていますから、

税理士から資料提出の提案があるはずです。

 

加えて、消費税の還付申告が前提だと、

キャッシュフローの観点から、

還付を早めに受けておきたいという

要望が社長からあります。

 

これも、還付額の金額によりますが、

消費税の申告は1ヵ月ごと、3か月ごとに

期間を短縮することができます。

 

ただ、中小企業で1ヵ月に短縮している

会社は見たことがないです。

 

中小企業だと3か月ごとに還付申告することが

限界だと思います。

 

なぜなら、税理士報酬が申告の都度かかる、

3か月ごとに決算を行う必要がある

といったハードルを越える必要があります。

 

基本的には、経理がいる会社が前提になります。

なぜなら、経理を3か月ごとに締めることが

ちょっと難しいからです。

 

消費税が最も重要なわけ

さて、貿易業では、消費税が最も重要です。

上記の経理と税務申告について確認しただけでも

その理由はわかって頂けると思います。

 

しかし、上記は外形上のことだけとなります。

 

現在、貿易業をやっている会社で

還付申告を前提とした取引をやっている

会社は数多くあると思います。

 

この時に、還付申告で消費税が返ってくるので、

仕入の本体価格で売ってくれ!

という交渉を外国企業から受けることがあります。

 

まあ、取引なのでやっても構わないですが、

こういった取引にしてしまうと

ちょっとした問題点が浮上します。

 

問題は、国内で支払った消費税がそのまま

全部帰ってくることがない場合もあるからです。

 

例えば、1,080万円で仕入を行い、1,000万円で輸出すると、

80万円の国内消費税が還付されてきます。

 

取引がこれだけであれば、問題ないですが、

輸入もやっている場合には、国内の売上があるので、

国内売上に係る消費税が相殺されるので、

還付額が減ります。

 

 

 

 

 

以下に問題点をわかってもらうために、

2つの取引を用意して消費税の計算をします。

 

①輸出 売上1,000万円、仕入1,080万円

②輸入 売上1,080万円を、仕入972万円

 

消費税をそれぞれ計算すると・・・

①輸出 0-80万円=̠△80万円(還付)

②輸入 80万円ー72万円=8万円(納付)

③①+②=72万円の還付となります。

 

実際の消費税の計算は、取引ごとにしませんが、

消費税の計算では、その事業年度のすべての取引を

対象として計算していきますので、

概ね上記のような計算となります。

 

ここでの問題点は、従前では80万円を減額して売って、

80万円が還付されてくるので、利益・損失が

全くないということですね。

 

ところが、①は8万円の消費税の還付がされないので、

減額した金額分、損をしていることになります。

 

その損を②の取引の利益で穴埋めしている

という構図となります。

 

上記のように、国内消費税を値引いて売る

という取引を行う場合には、国内で売る取引を

その法人ではしないことが重要です。

 

 

EMSで輸出入した場合は?

輸出入ではたびたびEMSが活用される

という事例がありますね。

 

両方の国での消費税回避のためなどに

使われる手法です。

 

それで、EMSで消費税の還付を受けることが

できるのか?という問題が浮上します。

 

消費税の輸出取引については、輸出許可証が

輸出をしたことの証明となりますが

EMSだとEMS伝票のみという場合も少なくないです。

 

この点、実際の取引金額が20万円以下であれば、

その事実を記載した帳簿又は郵便物受領証等を

保存することで解決できます。

 

しかしながら、実際の取引価格が20万円を

超えているにもかかわらず、

取引価格を20万円に抑えてEMSで発送した場合、

税関長が証明した書類の保存が必要となります。

 

つまり、EMSだと虚偽の取引を行って、

輸出した場合には、EMSに該当しないので、

輸出許可証などの資料が必要となります。

 

また、EMSは実際の取引価格が20万円以下でのみ

使えることになっていますので、

 

実際の価格との整合性のためにも、

EMSを多用した輸出で、取引価格を偽った場合には、

そのEMSの売上は国内取引に税務調査で認定され、

輸出免税の効果をなくなれてしまうことに注意です。

 

それと、EMSで輸入された場合には、

税関等で検査を受けるなどしない限り、

輸入消費税がかかることはありません。

 

ですから、国内仕入として計上した場合には、

国内消費税の過大計上で課税当局から仕入れを否認されるので

経理にも気を使う必要性があります。

 

貿易業は普通にやることに尽きる

私は税理士として貿易業に関わると、

輸出入では原始資料があるかどうかが争点となる

場合が多いことが分かります。

 

用意できていなければ、それでアウトですし、

用意できていれば問題はありません。

 

また、経理処理についても注意を払う必要が

あるものと思います。

 

例えば、国内消費税の対象とはならないのに、

国内消費税の対象して計上してしまうという

処理ミスもありますね。

 

かなり細かい話ですが、輸出入業者だと

国内と海外を行ったり来たりします。

 

それで、スマホの通信代を国内分と海外分に

分けていないことを問題視されることもありますね。

 

細かいところではありますし、

金額もそこまで大きくないので税務調査においては、

指導事項になることが多いです。

 

しかし、何回も同じことをやってしまうと、

その部分を否認してくる可能性がありますね。

 

税理士としては、細かいながらも

普通にやっていれば、問題がなく、

税務調査においても怖いところは何もない

ことになるんですけどね。

 

 

 


編集後記

今日も訪問はありませんので、昨日できなかった

申告書作成、ちょっとした記帳をします。

 

後は、動画の編集作業に取り掛かりたいと

思っています。

手を付けないといつまでたっても

何も始まらないので。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。