【勤務で事業所得】通説は事業所得にはならない!




勤務で事業所得

近年、副業の解禁ということで、

一部の勤務パーソンが副業を行っています。

 

この時に問題となるのが、副業の収入を

所得税のどの所得で分類するのかです。

 

結論を申し上げると、

雑所得になります。

 

なぜなら、副業だからです。

 

では、事業でやっていたらどうなのか

ということになります。

 

つまり、営利目的で反復継続している場合

ということです。

 

これでも、勤務とやってる事業とで、

どちらで生活の糧を営んでいるのか

ということが判断基準と私はしています。

 

つまり、給料で生活を賄っている

ということであれば、雑所得です。

 

逆に、アルバイトで稼いで、事業を持たせている

ということであれば事業所得になります。

 

また、金額、規模といった形式的なものを

判断の基準にしても良いかと思いますね。

 

さて、今回は、給料と事業の両方の収入を持っている

人たちはどうやったら良いのか、

まずい申告はどういったことなのかを解説します。

 

通説は成り立たない

まずは、税理士界隈の通説を解説します。

結論は、給料がある時点で、事業所得はあり得ない

ということになります。

 

理由は、給料は生計を支えるものだからです。

事業所得もそれを生業となるものです。

 

ですから、生業とする収入が2つあることは

あり得ないということが通説です。

 

所得税は、時代の流れを汲んで、改正されてきた

歴史があります。

 

現在の大まかな法体系は、昭和に改正されたものが

そのまま引き継いできていますね。

 

こうした歴史の観点から申し上げると、

給与所得と事業所得が同時に成り立たない

ということになります。

 

収入が複数あることが問題なのではなく、

収入の分類としては、勤めていて事業をやっている

そういった場合には、雑所得になるという考えです。

 

もっと根底の話をするのであれば、

給料があるのにどうして事業をするのか?

こんな問題提起もあると思われます。

 

つまり、勤務パーソンは、勤務だけの仕事をする

選択肢しか持ち合わせていないという考えです。

 

勤務なので、事業は初めからやらないだろう

そういった考えがあるわけです。

 

これに対するアンチテーゼとして、

私が問題提起したいのは、士業の勤務です。

 

例えば、独立した士業が生活の維持のために

働いたアルバイト収入があり、

士業収入はわずかといった場合には、

 

果たして雑所得なのでしょうか?

はたまた、事業所得なのでしょうか?

 

こういった問題がありますね。

 

また、芸能関係者で、委託契約の場合には、

仕事がない期間は、アルバイトをしないと

生計を維持できません。

 

その場合の委託契約の報酬は雑?事業?

どっちなのでしょうか?

 

もっと突っ込むと、

ある事業をやりながら、正社員として勤務して

その事業の赤字補填と生計の維持をしている場合は

事業になるのでしょうか?

 

さて、どうなるのか?

こういった根本的な問題から目を

そらすことがそろそろ税法もできなく

なってきていると思います。

 

 

無理やりひねり出してませんか?

さて、世の中にはいろいろな人がいるもので、

その説明は無理やりひねりだしてませんか?

ということがあります。

 

何十年も無税で生きている人が世の中には

存在しているようで、本も出版しています。

 

その方の説明では、

自分はデザイナーなどをやりながら、

年商100万円の売上があって、赤字となっている。

 

その補填のために、正社員として働いて、

その赤字を補填しながら、生活をしているとのこと。

 

所得税の申告上は、給与所得と事業所得で、

事業所得の赤字は、給料と損益通算できるので、

給料で天引きされた源泉所得税が還付となる。

 

このような申告を何十年もしていて、

全く問題がないという内容の本です。

 

 

 

 

 

さて、税理士であれば、いや、税理士でなくても

ツッコミ入れたいと思うことがあると思います。

 

まず、年商ですよね。

年商100万円が事業と言えるのか?

こういった問題があります。

 

年十年もやっていて、

年商100万円が続いている状態が、

事業となりえるのか?

 

確かに営利目的で、反復継続という事業の

外観は保たれているように思われます。

 

しかし、実質的に(税法はこの言葉が好き)

生活を維持できているのは、給料があるから

というのは誰の目でも明らかです。

 

また、赤字のために正社員をやっている

主張なのですが、

 

では、赤字とするのが前提の事業って

なんなん?

ということにもなってきてしまいます。

 

事業は、営利目的という前提が存在しますね。

その部分が欠けているように思えます。

 

では、このような申告が大丈夫なのか?

ということを考えてみましょう!

 

赤字の事業と給料の通算はやばいかも

さて、税務調査段階だったとして、

先ほどの給与所得と事業所得の赤字を通算して、

還付申告した事業者に税務調査があったとします。

 

私が、税務調査官だったとしたら、

まずは、次のような質問を納税者に行います。

 

・ご家族は、何人でしたっけ?

・お子さんの受験は大変そうですね?

・配偶者様はパートですか?

・お子さんは塾に通っていますか?

・学費も結構かかりそうですね?

・家のローンもあるようですね、月の返済額は?

 

なぜ、税務調査でこのようなことを聞いてきたり

するのでしょうか?

 

あ、因みに、私が税務調査官だったら、

上記の質問を納税者との初めのヒアリングで

行いますね。

 

何を聞いているのかというと、

可処分所得(生活費)を聞いています。

 

つまり、事業が万年赤字ということは、

事業の収入の漏れや経費が過大でないか?

 

給料は特定できているので、

自由に生活に使えるお金と収入との差額を

聞いたりして、お金の流れをつかみます。

 

事業所得の妥当性を判断して、

本当は雑所得なのではないかという検討も

同時に行います。

 

つまり、給料で得た収入の多くを生活に

使っている実態があれば、事業を副収入と

することができることになりますので、

 

事業所得を否認の上、雑所得として修正申告の

勧奨を行い、応じなければ、更正決定を打ちます。

 

この場合には、事業の赤字は雑所得の赤字となり、

給与所得と事業の赤字は通算できなくなります。

 

よって、還付された所得税の納付みならず、

過少申告、延滞といった罰金の対象となりますね。

 

生活費という概念から逆算して、

副収入という持って行き方をすることもできます。

 

こういった、税務調査に耐えられる申告の内容に

しなければならないと思っているのが、

私の考え方なのです。

 

税法もちょっと工夫を

近年働き方改革ということで、

様々な働き方ができるように促している

国の政策があります。

 

ですが、税法自体は、全く改正の流れが

時代に沿っていません。

 

昨年からようやく配偶者控除の所得上限の引き上げが

なされたわけですが、

 

それでも、社会保険の上限や住民税の上限があって、

そこまで、働き方を促進申するわけでもないです。

 

むしろ、社会保険は加入要件が厳しくなっている

傾向があると思います。

(加入させようとする意味で)

 

こうしたことから、事業所得と雑所得だけでは、

ちょっと不都合なことが起こりつつあります。

 

複数の職業を持つ人が増えそうだからです。

 

要するに、時短で働く人、リモートワークで働く人など、

働き方に個別性が出てきます。

 

良いか悪いかはさておき、勤務時間中に自分の事業も

やってしまうという場合の収入はどうなるのか?

 

また、給料と事業の課税所得が同じくらいの場合、

どうやって事業でないと言えるのか、

雑ということになるのかという問題があります。

 

また、ニューエコノミー的はサブスクリプション

事業も流れで登場してきました。

 

例えば、衣服の預り、駐車場スペースの貸付など、

人が介在するような事業モデルが出てきています。

 

つまり、一件、雑所得に見えるけれども、

事業所得に該当するのでは?

ということもあり得るわけです。

 

当然、判断をする場合には、規模、金額に

拠ることろがあると思いますが、

ちょっと判断が難しいことも出てきています。

 

今後の検討課題として、パラレルワーカーへの

課税手続きの簡素化なども必要ななると思います。

 

 

 


編集後記

今日は、ようやく月次決算をすることができます。

昨日で、とりあえず、引っ越し作業は完了して、

後は荷ほどきとなります。

 

事務所は今までの通り稼働できているので、

問題なく仕事ができるのが良かったです。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。