【税理士事務所での退職トラブル】顧客を連れての独立や職員の退職はダメなのか?




退職時に顧客を連れて行ってはダメですか?

なぜ顧客を持って行ったのか?

このようなトラブルは日常茶飯事です。

退職時に顧客を連れていくのはダメなのか?

どういった法律に抵触する可能性があるのかを

見ていきたいと思います。

 

また税理士事務所、会計事務所側の

対応策はないのでしょうか?

こちらも建設的なことに時間を使いましょう!

税理士事務所での退職トラブル

税理士事務所での退職トラブルは、

私が知っている限りは多くないです。

 

たまに、税理士となるための職業期間証明に

署名、押印をしてくれないことは聞きます。

 

また、今回の表題となっているように、

顧客を連れて退職となりトラブルとなる

というケースも存在します。

 

このような退職トラブルは多くはないと

思いたいですが、表に出てこないだけ

ということでもあると思います。

 

また、労務管理が不十分な税理士事務所、

会計事務所が元職員から未払残業代を

請求されることもあります。

 

逆恨みでしょうが、

加えて、元職員が国税にタレコミを

行うということも一定数存在します。

 

このように、トラブルとなるとその時だけでなく、

その後にも影響するような問題となります。

 

まずは、税理士事務所と退職者で

話し合って妥協点を見いだせるかどうか

ということが建設的なんだろうと思います。

 

顧客を連れての独立や退職はダメなの?

それでは、一番のトラブル原因となる

顧客流出についてを確認したいと思います。

 

こちらは、3つに分けられると思います。

 

職員が退職する場合

まず、職員が職員のまま退職して、

その職員に顧客がついていった場合です。

 

こちらは、違法行為となる可能性が高い

ということが言えると思います。

 

なぜかというと、税理士法の問題があります。

税理士でなければ税理士業務はできません。

 

従って、税理士法違反になる可能性が

高いと思われます。

 

もう一つ懸念なのが、不正競争防止法です。

要するに税理士法違反をして顧客を職員が

 

連れて行ったということが立証されれば、

不法行為によるものと認定される可能性があります。

 

こういったことで税理士事務所が損害賠償を

求めてくるケースはあるかもしれません。

 

想定できることはもう一つあり、

職員が転職した先の税理士事務所に

損害賠償請求をすることも考えらます。

 

転職した職員から住所などの職業上知り得た

秘密を聞き出して不法な営業を行ったという

ストーリで訴訟をするケースです。

 

職員が税理士となって独立

さて、次は職員が税理士となって独立する

というケースです。

 

この場合は独立するときに契約変更となることが

お客様から提示されていれば、問題ないのです。

 

というか、これもやろうと思えば不正競争防止法で

損害賠償を請求することはできます。

 

しかし、不法行為があったことを立証する

手段が通常存在しません。従って無理です。

 

 

問題は独立時ではなくて、独立後です。

独立後に営業機密を使って営業するのは、

不法行為に当たる可能性があります。

 

ですから、独立後に自分が担当だった

顧客へ手紙を出すときには文面に

気を付ける必要があるのです。

 

社員税理士の退職

3つ目、最後は、社員税理士が独立して

顧客を連れて行った場合です。

 

実はこれについて、裁判例があります。

結果は控訴審で和解となっているので、

その内容まではわかりません。

 

しかし、地裁での判断は重要な示唆を

税理士事務所、会計事務所へ与えています。

 

争点となったのは、元社員税理士が

所属していた税理士法人脱退後に行っていた

競業避止義務違反などの不法行為があるか

否かということでした。

 

地裁の判断は、社会通念上自由競争の範囲を

逸脱した違法な態様で顧客を奪取したと

認められる場合に限って不法行為に当たると

指摘をしています。

 

独立開業をするといった積極的な

働きかけをもって競業行為が実現したことは

否定できないとしつつも、

 

それは、元社員税理士と顧客との信頼関係が

深まっているものが多数いたことなどを踏まえれば、

 

多数の顧客が自由な意思により、元社員税理士と

新たな顧問契約を締結したとみることも可能と

判断しています。

 

これは恐らく、元社員税理士側の弁護士が

上記のように裁判で判断されるように

反論を行った結果だと思います。

 

結果としては、税理士法人を脱退後に

元社員税理士が行った競業行為は

違法不当な働きかけによることではないとして

損害賠償請求を退けました。

 

ここから読み取れるのは、独立開業することを

顧客に伝えても問題ないという点です。

 

また、顧客が自由意思で選択可能な状態で

独立するものとの顧問契約をしたとしても、

 

独立するものが独立した後に行う税理士業務は

競業避止義務違反とならないという点です。

 

税理士事務所は不透明としない

上記のことが起こりやすい最大の理由は

税理士事務所や会計事務所が不透明さを持っている

からなのではないかと思います。

 

税理士事務所は不透明

要するに、就業規則がない、給料体形が不明瞭

人事評価が未発達、社内ルールを所長が守らない。

 

このようなケースがあるのではないかと

私は思うのです。

 

申し訳ないですが、身から出た錆なのでは?

ということを私は申し上げたいです。

 

このブログでも何度か私の独立時の

エピソードを紹介していますが、

 

所長が顧客に会いにいかない

これは所長税理士が思っている以上に

所長税理士の評判を落とす行為です。

 

所長税理士が顧客を訪問しない

大企業が沢山の契約を行い、その大企業の社長が

たくさんある顧客と会えない状態ではないですよね?

 

せいぜい、年商5,000万円くらいの規模の

事務所でも120契約くらいだと思います。

 

そこに決算時、半年に一度などの

周期で訪問することがなぜできないのか?

これが不思議でなりません。

 

実際所長税理士はそんなに忙しくない

場合が多いです。

 

これは税理士事務所に勤めている

職員であればみんな知っている事実だと

思いますよ。

 

給料安く設定している

また、税理士事務所特有のこととして、

職員の給料を安く設定して差額を抜く

というスタイルが浸透しています。

 

職員だってバカではありません。

そうやって抜いていて、よくわからない

給料体系で働いているわけです。

 

自分の担当先くらい全部連れて行っても

いいじゃあないかと思うに決まってます。

 

人事評価がないにもかかわらず、

とりあえず所長命令で管理職なのか

そうでもないのかよくわからない

ポストを作ってやっていくことも

いいわけがないです。

 

公平、平等にする時代

結論をもう一度申し上げると

全部所長税理士の頭のなかで完結する

という時代は終わったのです。

 

全部文章でまとめて、公表して

公平、平等にしなくてはなりません。

 

それができないとこういった顧客流出の

トラブルはなくならないと思います。

 

税理士事務所の立場からできること

顧客流出に合った事務所は、

何とかして取り返そうと躍起に

なる場合が多いと思います。

 

建設的な対応を取ろう

しかし、そんなことに時間を使うことは

建設的ではないと思います。

 

なぜかというと、職員の独立後にさらに

顧客流出が起こる可能性があるからです。

 

顧客流出に歯止めをかけることが、

最も重要な策となります。

そちらに時間を使った方が良いのです。

 

顧客流出した事務所の特徴

恐らく、顧客流出した事務所の特徴として、

担当者の配置換えは起こっていません。

 

なぜかというと、人の流動性が高く、

結果としてベテランが残ることになり、

顧客への影響からベテランに単価の高い

顧客が集中していると思います。

 

また、所長税理士はベテランにまかせっきりで、

そういった顧客には目もくれずに顧客対応を

まったくしていないと思います。

 

これでは、どうやっても顧客流出に歯止めを

かけることはできません。

 

顧客本位と新担当者へのフォローを

まずは、担当者が辞めた段階で、

顧客本位に戻ることです。

 

所長があいさつに訪れることはもちろん、

経過を観測したり、新しい担当者への

フォローもしないといけません。

 

その結果として、顧客がいなくなっても

しょうがないと思います。

 

もうそういった顧客は心が離れていて

それを取り返すことはできないからです。

 

所長税理士が関与することでより流出する

ことに歯止めがかかるように動くことが

最善の策となるはずです。

 

 


編集後記

今日は完全オフとなります。

ブルース・ウィリスのデス・ウィッシュが

昨日から公開されていますので

できれば今日見てきたいと思います。

 

やっぱりアクションは大好物なので、

見たいのですよ。

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。