相続時精算課税には落とし穴があることはご存知ですか?




今回は相続時精算課税について紹介します。

★相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度の仕組みは、次の通りです。

1.贈与時

贈与時に2,500万円までの特別控除が認められるので、贈与税は以下の計算になります。

(贈与時の財産の金額-2,500万円)×20%=贈与税額

したがって、時価2,500万円までの財産を贈与する場合には贈与税が非課税になります。一般的な贈与の110万円の基礎控除は適用できません。

2.相続時

相続が発生した場合には、贈与時点の金額を相続財産に加えて相続税の計算を行います。

例:相続財産1億円、相続時精算課税財産2,500万円のときは、1億2,500万円を相続財産として相続税の計算を行っていきます。

 

★相続時精算課税の落とし穴とは?

上記の通り、最終的には贈与財産が相続財産へ取り込まれます。

ということは、贈与時点から相続時点までの間に値上がりが確実と認められる財産を相続時精算課税制度によって贈与を行わないと損になるということになります。というのは、相続では、相続時点の時価で財産の評価を行うので、贈与時点よりも相続時点で値下がりしている財産であれば、贈与時点のときの金額が高いということになるからです。

この点が相続時精算課税制度の落とし穴になります。一般の方ですと2,500万円まで非課税となるので金額の高い財産を早めに移転することができるので相続時精算課税制度を適用したいと考える方がいるようですが、相続時点までの金額の上昇があるかどうかについて検討をしない場合もありますので、注意が必要です。

 

★相続時精算課税制度に適した贈与とは?

これは、非常に難しい点ではありますが、一般的に非上場株式や価格上昇が見込まれやすい土地があげられると思います。非上場株式は平成29年から評価方法が見直されるとはいえ、過去の累積黒字がつもりに積もっていると時価で1億円くらいの評価にすぐになります。

土地に関しては、判断が難しいところではありますが、新幹線の建設計画等ができた時の沿線の土地、周りに3階建て以上の建物が建ち始めた立地にある土地は将来的に路線価が上昇すると見込まれます。

また、このような使い方もできます。それは、お子様が2人いて相続財産が土地・家屋と預金などの金融資産だけといった場合には、将来的に相続でもめることが予想されます。要するに土地家屋も相続財産になるので共有や代償分割(現金で土地家屋分を支払うこと)しないと相続の分割が円満に進まない場合があります。ですから、家を継がない人には、相続時精算課税制度を適用して現金を贈与して相続権の放棄をしてもらうことで、家を受け継ぐお子様だけに土地家屋を相続できるようにしておくといったことにも応用がきくと思います。




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齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。