【インボイス制度】令和7年6月10日更新のインボイスの取扱いに関するご質問3つを税理士が解説
こんにちは!
税理士・行政書士・社会保険労務
の齋藤幸生です!
今回は・・・
国税庁が令和7年6月10日に
更新したインボイスの取扱い
について解説します。
それでは、スタートです!!
適格請求書の交付に当たっての金銭的負担
当社は、適格請求書の交付に当たっては、当該適格請求書の記載事項を電子データにより提供することとしており、書面での適格請求書の交付を求められた場合には、印刷代などに係る実費相当分の手数料として 110 円(税込み)の負担を求めることとしています。このように、適格請求書の交付に当たって金銭的負担を求めることは問題ないでしょうか。
国税庁 インボイスの取扱いに関するご質問 問Ⅴより
質問内容をまとめると
①インボイスはデータで提供することを原則としている
②インボイスを書面で交付を求められた場合には実費相当の手数料を負担を求めている
③交付手数料としてお金を取引先へ要求することは問題ないかどうか
国税庁の回答
電磁的記録による提供ではなく書面による交付を求めてきた事業者に対して印刷代に係る実費相当分の手数料等一定の金銭的負担を求めることとしても、当該手数料等が書面の発行などの事務負担等に係る費用として社会通念上相当と認められるものである場合には、直ちに問題となるものではないと考えられます。
国税庁 インボイスの取扱いに関するご質問 問Ⅴより
こちらにはただし書きがあり
取引の相手方にとって貴社との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため、貴社が取引の相手方にとって著しく不利益な要請等を行っても、取引の相手方がこれを受け入れざるを得ないような場合(貴社が取引の相手方に対し、取引上の地位が優越している場合)に、貴社が取引の相手方に対して著しく高額な手数料等の負担を求めることは、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるおそれがありますのでご留意ください。
国税庁 インボイスの取扱いに関するご質問 問Ⅴより
国税庁の見解は
印刷代のような実費相当分等の一定の金銭的負担を求めることは、手数料が事務負担等の費用として社会通念上相当を認められる場合には、直ちに問題にはならない。
要するに、お金として要求する
金額が実費相当や事務負担等で
一般的におかしな金額でない
のであれば請求してOKというものです。
ここでただし書きがあって
当社と取引先との関係性で
当社が取引先よりも有利な状況で
当社が取引先へ著しく高額な手数料等
の負担を求めると
優越的地位の乱用として
独占禁止法違反になる恐れがある
としています。
社会通念上相当と認められる
という金額として考えられる
金額では
コンビニプリント代、郵送代
郵送に関わった人件費といった
ものを積上げて積算するのが
妥当かと考えられます。
最後に、書面交付に伴う手数料は
消費税法上で課税売上になるため
インボイスの交付も必要になる
というのが実務上のポイントです。
適格請求書の交付に当たっての期間制限
当社は、小売業を営んでおります。適格簡易請求書をレジにて代金を収受する際にレシートの形式で交付していますが、後日、レシートを亡失したとして、顧客から再交付を求められることがあります。当社のレジシステムでは90日間しかレシートの再発行ができないのですが、その期間を過ぎた場合にはどうしたらよいでしょうか。
国税庁 インボイスの取扱いに関するご質問 問Ⅵより
質問をまとめると
①簡易インボイスをレジで交付している
②当社のレジシステムでは90日までしかレシートの再発行ができない仕組み
③後日、レシートが再発行できない期間にレシートの再交付を依頼された場合、どうすればよいか。
国税庁の見解
交付義務については、適格請求書発行事業者が行った課税資産の譲渡等につき、課税事業者からの求めに応じて生じるものであり、商品の販売時に適格簡易請求書を交付しているのであれば、一義的にはその時点で交付義務を果たしていることになりますので、後日交付を求められた際に、改めて交付する義務が生じることはありません。
したがって、貴社のように適格簡易請求書を交付のうえ一定期間後にレジシステムによる再交付ができなくなったとしても、消費税法上、何らかの対応が求められるものではありません。
国税庁 インボイスの取扱いに関するご質問 問Ⅵより
見解をわかりやすくすると
インボイス制度では
インボイスの交付義務があります。
交付義務が満たされたかどうかは
販売したときにインボイスを交付する
という意味になる。
したがって、販売時にインボイスを
交付していれば
その後の再発行に応じないことを
もって交付義務違反になることはない
ということを明確にした
見解になります。
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実務上のポイントでは
インボイスを交付したが
相手方が受け取らずに物理的な
交付をできなかったらどうなるのか
というと
国税庁の見解では交付したことと
して差し支えないとしています。
一方で取引したときに簡易インボイス
を交付せずに、後日、交付を依頼され
レジシステムから簡易インボイスの
出力ができない場合には
取引時点で交付義務を満たしていない
ため手書きの領収書などで対応をする
ことになります。
プラットフォーム課税の対象となる取引に係る適格請求書等
当社では、プラットフォームを介して海外から消費者向け電気通信利用役務の提供に該当するアプリの配信を受けています。この仕入れについて仕入税額控除の適用を受ける場合、国外事業者であるアプリの配信者から適格請求書の交付を受ける(又は電磁的記録の提供を受ける)こととなるのでしょうか。
国税庁 インボイスの取扱いに関するご質問 問Ⅶより
質問をまとめると
①国外事業者から配信されてるアプリを使っている
②アプリは消費者向け電気通信利用役務の提供である
③国外事業者からインボイスの交付を受けるのかどうか
国税庁の見解
貴社が受けたアプリの配信がプラットフォーム課税の対象とならない取引であれば国外事業者であるアプリの配信者が適格請求書を交付することとなりますが、プラットフォーム課税の対象となる取引であれば特定プラットフォーム事業者が適格請求書を交付することとなりますので、貴社は、これらの適格請求書を保存することにより仕入税額控除を行うことができます。
今回はインボイスに特化した
記事のため詳しい説明は省略
しますが
現行法令上では
プラットフォーム課税と
プラットフォーム課税以外の
取引が存在します。
このうちプラットフォーム課税
に該当するのであれば
国外事業者との取引が
日本で指定されたプラットフォーマー
との取引とみなされるため
インボイスの交付は
日本で指定されたプラットフォーマー
から受けることになります。
プラットフォーム課税以外であれば
国外事業者との直接の取引なので
国外事業者からインボイスの交付を
受けることになります。
実務上のポイントでは
特定プラットフォーム事業者
名簿を確認して
プラットフォーム課税の対象に
なっているのかを確認します。
これで誰がインボイスの交付を
行うのかを明確にできます。
編集後記
特定プラットフォーム事業者に
なる事業者はいるのかなと
考えていたところ
名簿を確認したらいました(笑)
令和7年6月17日現在では
アップルストア、AWSマーケット
グーグルプレイ、ニンテンドー
イーショップの4社になります。
うち3社は国内の関係会社が
指定事業者になっており
Googleのみシンガポールにある
Youtubeの広告収入を支払う法人を
指定事業者にしているようです。
では税理士・行政書士・社会保険労務士
の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
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