【インボイス制度】こんな経理をしていると2割特例が使えなくなることがある

インボイス 2割特例




【インボイス制度】こんな経理をしていると2割特例が使えなくなることがある

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

インボイス制度で始まった2割特例

にてやってはいけない経理方法を

解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

2割特例でやってはいけない経理方法

・売上の処理を入金ベースで処理すること

・売上の金額を純額で処理すること

 

売上の会計処理は請求書を

取引先へ発行した月で計上する

ことになります。

 

これが会計処理の原則です。

 

あなたが請求書を発行している

ということは取引先から依頼された

お仕事の完了があったからです。

 

お仕事を完了して納品したとか

サービスを提供したときに

請求書を発行します。

 

実務上、請求書の発行は2つの

タイミングが考えられます。

①お仕事の完了の都度、請求書を発行するケース

②月末締めなどである月のすべてのものを一括で請求するケース

になります。

 

もし入金ベースで売上を処理すると

お仕事が完了した日以後に売上計上され

 

個人であれば、12月中に請求した

売上は翌年の1月中に入金される

ことが多いと想定されます。

 

すると、請求時点で売上計上する

はずの売上が翌年に売上計上され

売上の計上漏れを税務調査で

指摘されることがあります。

 

こうなると1月に入金された

売上は12月の売上になるため

消費税の追加納付になります。

 

建設業などでは請求した金額から

現場で取引先が立替えた経費を控除

されて入金されるケースがあります。

 

こうしたケースで売上として

計上する金額は当初の請求金額

で処理を行うのか

 

それとも立替経費が控除された後の

純額で売上金額として処理を行うのか

という疑問が生じます。

 

正しい処理は当初に請求した金額で

売上を処理することです。

 

では、控除された立替経費は

どうするのかというと

 

あなたの経費になるため

経費項目で内容に沿った処理を

行います。

 

純額で売上処理していることが

税務調査で明らかになると

 

総額に修正された金額が

売上になり

 

2割特例は売上を基準として

消費税の計算を行うため

 

追加の消費税の納付が発生する

ということになります。

 

 

経理方法を間違えると2割特例が使えなくなるかも

上記で申し上げてきたのは

比較的軽微な金額の修正で

 

2割特例が使える範囲内に

おさまっているケースです。

 

金額が大きくなると2割特例が

使えなくなるケースも出てきます。

 

まずは前提の知識として

2割特例が使える要件を確認します。

①免税事業者であるがインボイス発行事業者の登録を受けている

②基準期間の売上が1千万円以下になっている

③②以外で課税事業者になる要件に該当していない
→③は話が複雑になるため、今回の記事では省略します。

 

一般的に2割特例が使える

事業者としては

 

個人は2年前の課税売上が

1千万円以下であること

 

法人は前々事業年度の課税売上が

1千万円以下であることになります。

 

要するに免税事業者である

というわけです。

 

免税事業者がインボイス

発行事業者になったための措置

として2割特例を使うことができます。

 

 

 

やってはいけない経理方法では

・売上の処理を入金ベースで処理すること

・売上の金額を純額で処理すること

でした。

 

これらが税務調査で発見されて

もし、基準期間の売上が1千万円

を超えたとしたらどうなるのか?

 

2割特例は使うことができなくなります!

 

なぜなら、基準期間の売上が1千万円

を超えた場合は課税事業者になるためです。

 

もし、2割特例を使っている基準期間

で課税事業者になった場合には

 

原則課税のみで計算することを

要求されるため実額計算となります。

 

実額計算とは

売上の消費税ー支払った消費税

で計算することです。

 

さらに支払った消費税とする

場合にはインボイス制度が

導入された期間中の取引です。

 

支払った消費税とするには

別途次の要件があります。

①インボイスを保存していること

②帳簿等を保存していること

 

このように突然、インボイスの保存を

求められることになります。

 

一般的に実額計算では

支払った消費税が売上の80%

になることはまれなため

 

予想しているよりも大きな

消費税の追加納付になる

可能性があります。

 

 

実額計算に移行しないようにするための方法

このようにいきなり実額計算に

なってしまうと困ったことに

なってしまうと思います。

 

なぜなら、追加納付の消費税は

一括現金で納付をすることが

必要だからです。

 

しかし、実額計算にならない方法は

あります!

 

それは、簡易課税の届出書を事前に

提出しておくことです。

 

こうすることで実額計算ではなく

簡易課税で計算するになります。

 

簡易課税の良いところは

2割特例と同じように

売上に対する消費税の〇割分が納付額になる

という計算だからです。

 

2割特例の実際の計算では

売上の消費税ー(売上の消費税×80%)=納付額

という計算になっています。

 

売上の消費税×80%は支払った消費税

として計算される仕組みです。

 

簡易課税もこれと同様になっており

「×○○%」の部分が業種によって

設定されています。

 

以下、大分類として割合を示すと

①卸売業:90%

②小売業:80%

③建設業など:70%

④飲食業など:60%

⑤サービス業など:50%

⑥不動産業:40%

になります。

 

卸売業で簡易課税を計算すると

売上の消費税ー(売上の消費税×90%)=納付額

になります。

 

納付額が売上の消費税の1割

になるわけです。

 

個人事業では売上に比して

経費は限定されていることから

 

実額計算よりも簡易課税のほうが

消費税の追加納付は抑えられる

と考えられます。

 

1つ不安な点では2割特例を

使っている期間中に簡易課税で

計算することを求められるのか?

になります。

 

法令上、2割特例と簡易課税では

どちらか納付額が少なくなる計算で

申告して差し支えないことになります。

 

経理方法を間違っている状況の

保険として簡易課税を選択して

おくとよいかもしれません。

 

 


編集後記

売上の経理方法は個人では今回

ご紹介したようなやってはいけない

方法で行われているケースが多いのでは?

と考えています。

 

というのは個人事業では帳簿を

つけることが青色申告の要件に

なっているから帳簿をつけている

という考えになりがちです。

 

どうしても消費税はおろそかになり

所得税対応として考えてしまっている

ことが多いと思っています。

 

2割特例は売上の消費税を基に

計算するため売上の処理を

間違ってしまうと

ダイレクトに納付額に影響します。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。