【インボイス制度】期間をまたぐ取引の解説第2回
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
インボイス制度で期間をまたぐ
取引に関する解説の第2回です。
2回目は買手側にスポットを
当てて解説します。
全2回の最後の解説になります。
それでは、スタートです!!
課税期間をまたぐ適格請求書による仕入税額控除
課税期間をまたぐとは要するに事業年度をまたぐ経費の消費税はどのように計算したらよいのか?
という問題になります。
期間としては
決算日:3月決算
請求された期間:2024年3月21日~4月20日
適格請求書等で請求された
期間は3月21日~4月21日まで
というわけです。
疑問はこのように事業年度をまたぐ経費の消費税はどうやって仕入税額控除を受けたらよいのか
になります。
対応は2つあります。
①請求書の金額で積み上げて消費税を認識する積み上げ計算(請求書積み上げ方式)
②帳簿上の金額を積み上げて消費税を認識する積み上げ計算(帳簿積み上げ方式)
一般的にどちらを使っているのか
は統計を取ったことがないため
わかりませんが
私が使っている方法は
請求書の金額を積み上げて
消費税を認識する方法を
採用しています。
理由は、後で見返しても
わかりやすいためです。
上記以外の方法として
税務署で認められている
方法は
法人税法基本通達2-6-1(決算締切日)
法人が、商慣習その他相当の理由により、各事業年度に係る収入及び支出の計算の基礎となる決算締切日を継続してその事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合には、これを認める。
これを使うことになると
3月21日以降の分は翌事業年度
に持ち越しして経費の計上と
仕入税額控除を受けることになります。
ただ、こちらを使うのは
事業規模が小さく
請求された金額も少ない場合に
使うのかなと思います。
さて、念のため積み上げ計算
の方法を最後にご紹介しておきます。
①請求書の金額で積み上げる方法
請求書の決算日までの期間の金額を集計(消費税率10%と軽減税率は分けて集計)して、消費税を計算する方法で、消費税額も10%と軽減税率分はそれぞれ分けて計算する方法②帳簿積み上げ方式
課税仕入に係る支払対価の額に110分の10(軽減税率は108分8)を乗じて計算した金額(1円未満の端数が生じたときは、端数を切捨て又は四捨五入)を仮払消費税等などとし、帳簿に記載(計上)している場合は、その金額の合計額に100分の78を掛けて計算する方法
こちらを読んで帳簿積み上げ方式
はよくわからない場合には
請求書積み上げ方式の方が
簡単なので、請求書積み上げ
方式で計算したほうが無難です。
短期前払費用はインボイス制度ではどう対応するのか?
結論としては今まで同様の
取扱で問題はありません。
しかし、10月1日をまたぐ場合に
注意点が必要になります。
短期前払費用とは?
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち支出した事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。以下同じです。)の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、当該前払費用を損金の額に算入することが認められています(法人税基本通達2-2-14)(所得税についても同様です。)。
国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問96より抜粋
消費税についても同様に
支払った日の属する課税期間
つまり事業年度にて仕入税額
控除を受けて問題ありません。
このことはインボイス制度後
であっても変更はありません。
しかし、2023年10月を含む
取引であった場合にどうなるのか
ということになります。
10月からはインボイス制度が
始まるため請求書を9月中に
交付されたとしても
適格請求書等の記載要件を
満たしていないと
仕入税額控除ができなくなります。
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短期前払費用を適用する場合には
法人税基本通達の要件は満たして
いることが前提になりますが
適格請求書等の交付を受けている
のかを確認する必要があります。
もし今までの請求書の交付を
受けている場合には
適格請求書等の交付を依頼して
事後に適格請求書等を保存する
ことで短期前払費用の適用を
受けても問題ありません。
所有権移転外ファイナンスリースの賃借人の取扱
原則は資産計上して消費税は
一括で仕入税額控除を受ける
ことになります。
例外処理として賃貸借取引にて
処理を行うことも可能になっています。
この取扱はインボイス制度でも
変化はありませんが
適格請求書等の確認ポイントが
あります。
適格請求書等に書かれた消費税額が
リース資産に対応した消費税額
になっているかどうかです。
これがないとそもそも適格請求書等
の記載要件を満たしていないことに
なります。
さらに深堀をしていきます。
2023年10月1日前に行われた所有権移転外リース取引を賃貸借で処理していた場合には2023年10月1日以降の消費税の仕入税額控除はどうなるでしょうか?
具体的には
リース期間:2022年4月~2027年3月まで
となっているような場合です。
これを2022年4月から賃貸借取引で
処理を行っている場合を考えます。
所有権移転外リース取引は消費税率
10%の取引になります。
ではインボイス制度後もこれが
ずっと続くのかというと
国税庁の考えたかは80%又は50%
控除にするべきという考え方のようです。
要するに、原則、資産計上で
一括処理すべきであるところ
リース料のように賃貸借で
分割控除をしている場合には
2023年10月以降は適格請求書等
の発行が行われない取引なので
区分記載請求書等になり
免税事業者との取引と同様
経過措置の仕入税額控除を
適用するべきとの考えです。
実務の落とし穴になるような
取引になるため注意です。
編集後記
今回は期間をまたぐ取引の2回目
の記事になりました。
実務上、起こりえる類の取引で
絞った割には論点がありましたね。
税理士と言えども請求書1枚
1枚すべてを確認することは
難しいため
起こりえる落とし穴になると
思っています。
今後は、リース取引については
基本的に資産計上して一括控除
を受けておいた方が無難ですね。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
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