【運転資金を考える】普通預金、売掛金、買掛金、販管費で説明する!




運転資金を考える

事業を行う上で知っておいて損はない運転資金。

 

なぜ、運転資金が大切なのかというと、

短期的に事業に必要となるからです。

 

また、事業では下限として、運転資金までは稼がないと

事業を継続することが難しいです。

 

加えて、通常、事業で借入をするような場合には、

運転資金が足りなくて借りることが多いです。

 

それにも関わらず、長期間の返済を要する借入で賄おうと

してしまう現実があります。

 

運転資金の実態が分かることで、

関与している士業はアドバイスが変わり、

事業主(個人、社長)は見方、もの考え方が変わってきます。

 

それでは、運転資金について考えてみたいと思います。

 

運転資金の構成要素は?

まずは、運転資金の構成要素は一体何なのかが

分かりませんと運転資金の一体がつかめません。

 

開業当初から順繰り考えてみましょう!

 

開業当初は、売上が無いことから、小さく始めたとすると

想定できる経費は次のようなものだと思います。

 

・給料(法人であれば社長自身)
・社会保険料(法人の場合)
・家賃(自宅兼事務所ではかからない)
・広告宣伝費
・消耗品費
・水道光熱費
・車両費
・福利厚生費
・通信費

これ以外もあるでしょうが、イメージとしては、

上記のものだけで大丈夫です。

 

さて、このような勘定科目が会計上、表示される場所は、

損益計算書の販売費及び一般管理費(略して、販管費)

という部分です。

 

ですから、運転資金の構成要素の1つとして、販管費がある!

ということが分かったと思います。

 

次に、もし売上がでてきたとすると・・・

売掛金、買掛金という勘定科目が登場することになります。

 

分かりやすく、商品販売をイメージして解説すると、

仕入先⇒当社⇒売り先

という流れがありますので、

 

お金の流れは逆になりますね!

仕入先⇐①当社⇐②売り先

 

始めに①の仕入先へお金を支払います。

そのあとに売り先からお金を回収します。

 

ところが、現代社会は、即払いで事業は成り立たない

システムになっていて、掛けという、ツケ払い、ツケ回収を

基本原則としています。

 

20日締め翌月末払い、末締め末払いといったことですね!

 

今回であれば例えば、仕入先が20日締め翌月15日支払

ということであれば、毎月、前月の21日~当月の20日までの

仕入が当月の買掛金(未払金)となります。

 

逆に売掛金は当社で決めますので、月末締め翌月末という

ことにしておきます。

この場合には、当月だけで締めることで、当月の売掛金となります。

 

ですから、買掛金と売掛金は運転資金の構成要素となります。

なぜなら、営業でもらったり、払ったりするお金だからです。

 

上記にプラスして、最後の構成要素となるのが、

普通預金や現金です。

 

ここでは、簡略化して普通預金としています。

 

普通預金が運転資金の構成要素となる理由は、

現実には銀行間振込で、営業資金が動いているからです。

 

販管費の支払、売掛金の回収、買掛金の支払は

普通預金を仲介してお金が流れていきます。

ですから、運転資金の構成要素となるのです。

 

ここまでをまとめると運転資金の構成要素は4つです。

・販管費

・売掛金

・買掛金

・普通預金

ということになります。

 

 

確認しておきたいこと

さて、経理をやっているやっていないに関わらず、

確認しておきたいことを解説します。

毎月の運転資金を確認する

結論を申し上げると、先ほどの運転資金の構成要素を

確認することなのですが、毎月の運転資金を確認するには

ちょっと工夫が必要です。

 

まずは毎月一体いくらかかるのかを考えてみましょう!

毎月の運転資金の計算は次のようになります。

 

当月の買掛金+当月の販管費=毎月の運転資金

 

なぜこのような計算式なのかというと、

運転資金を突き詰めると、毎月いくら支払うのか?

ということになります。

 

つまり、毎月お金がいくらかかるのかと言い換える

ことができると思うのです。

 

ですから、買掛金の締め日(請求日)と決済日(支払日)が

異なったとしても、請求日で経理を行って、

毎月の買掛金と販管費を合わせた金額を計算します。

 

 

 

 

 

経理を毎月やっていない人はどうすれば

では、経理を毎月やっていない人はどうすれば

と思ってしまうと思います。

 

その場合には、次の順番で足していくと、

毎月の運転資金を確認することができます。

 

①普通預金で経費で支払ったものをお支払い蘭から

金額の集計をします。

 

②毎月の仕入や経費の請求書を整理して、

すでに普通預金で支払った請求書は除外して

金額を集計します。

 

③①+②をすると、毎月の運転資金が分かります。

 

上記で運転資金が分かる理由は、当月で支払ったものを

集計することで当月使った金額が分かりますね?

 

また、支払は来月なんだけど、当月請求された請求書のうち、

当月支払った金額を除くことで、当月に発生した請求が

分かります。

 

つまり、イメージなのですが、①が販管費で、

②が買掛金というイメージです。

 

現実には、販管費であっても翌月支払のものもあるとは

思いますが、上記の計算をすればそちらも網羅的に

集計することができると思います。

 

 

 

損益計算と残るお金の関係は?

経理をやっていると不思議に思うこと、

利益がお金として残っていない問題について

を考えましょう!

 

損益計算って?

まずは、損益計算って何?ということを解説します!

 

損益計算は、損益計算書という表で事業の利益を

計算することです。

 

ただ、損益計算書を作成するためには経理が必要です。

ざっくり運転資金で必要な3つに絞って解説します。

 

まずは、販管費については、普通預金で支払っていることを

前提に説明しますと、

 

普通預金のお金の流れを経理していけば販管費として

処理することができます。

 

売掛金は、売上の請求書を締めた月に売上の計上を行う

経理を行います。

買掛金は、当月に届いた請求書で仕入の計上を行う経理をします。

 

このような処理を行うことで、まずは損益計算書を作成しますと、

売上の計上、仕入(原価)の計上、販管費の計上の3つができます。

 

後は、会計ソフトが自動的に損益計算書を作成してくれるので、

次の利益が表示されます。

 

①売上ー仕入(売上原価)=売上総利益(粗利)

②粗利ー販管費=営業利益又は営業損失

 

ここまでがざっくりではありますが、損益計算です。

 

お金はいくら余ったのか問題

では、上記の計算式で営業利益(黒字)になったとします。

では、営業利益の金額がそのまま普通預金に残っているのか?と

確認してみると残っていません。

 

なぜでしょうか?

 

これにはからくりがあります。

損益計算書は未来の数字を表している部分と、

今の数字を合わして作られているからです。

 

つまり・・・

 

販管費の多くが普通預金から支払っている場合には、

当月のお金で販管費は処理していることになります。

 

対して売掛金や買掛金は、当月に請求した請求書、

当月に請求された請求書で処理を行います。

 

したがって、回収や支払は翌月となり、

まだお金のやり取りは行っていないことになります。

 

このように損益計算は未来と今を合わせて計算される

フォームということなのです。

 

ですから、いくら計算しても合いません。

 

では、お金はいくら余るのか、つまり、

余剰の運転資金はいくらなのかと思うと思います。

 

これには、さらに工夫が必要です。

 

普通預金では前月の売掛金の回収と前月の買掛金の支払を

当月に行っていると思います。

 

まずは、その処理をしてみましょう!

 

つまり、普通預金に振り込まれた前月の売掛金を

前月の売掛金で消し込むことをしましょう。

 

買掛金も同様に、普通預金で支払った前月の買掛金を

前月の買掛金で消し込むことをしましょう。

 

上記の後に、次の計算を行います。

普通預金+当月の売掛金ー当月の買掛金ー当月の販管費

=余剰運転資金

 

大体ではありますが、これで余剰の運転資金を計算できます。

つまり、損益計算でいう、営業利益に相当するお金を

計算することができますね。

 

 

経理と会計は手段であって目的にあらず

経営という側面から申し上げると、

経理と会計は手段であって目的ではないです。

 

例えば、会社や個人事業主の多くは、税金のために

経理や会計が存在している思っている人が大半です。

 

これまでの私の解説を読んでいただいて、

税金の計算の目的のためだけですか?

 

経理と会計は経営のためのツール、

つまり、経営の手段の一つではないかと思います。

 

運転資金という切り口であっても、

経理をすることで損益計算という会計を通じて、

 

運転資金と利益の関係が分かりますし、

税金のためだけではない、事業に役立てることは

イメージできると思います。

 

この記事を通して、自社の運転資金を計算するツールとして

経理と会計を使って頂けると幸いです。

 

 

 


編集後記

昨日と今日は寒波?来ているようで、寒い日が続いています。

ですが、パジャマだけで過ごせているので、

体を鍛えた意味は少しはあったのかなあと思います。

 

ようやく、仕事がひと段落しそうなので、

スポーツクラブへまた行けるようにしたいと思います。

私が自分の筋肉を裏切ってしまっているので(笑)

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。