【納期の特例と年末調整の関係】納付はスポット報酬に注意すべし!




納期の特例と年末調整の関係

納期の特例は半年に一度、源泉所得税を納付する

という納付方法です。

 

年末調整との関係では、年末調整をすることで、

従業員へ還付する源泉所得税は国へ納付する分から

控除することになります。

 

ですから、年末調整後でないと納期の特例では

納付をすることができませんね。

 

また、納期の特例の最初の納付日は毎年1/20となっており、

年末調整のリミットは当然1/20までに何とかしないと

いけないということになります。

 

これも納期の特例の難しいところです。

それでは、納期の特例と年末調整の関係を深堀して

見て行くことにしましょう!

 

納期の特例とは?

納期の特例って?

納期の特例とは何ぞや?

 

ここから始めないといけません。

 

源泉所得税を半年ごとに支払う納付制度ということに

なっています。

 

納期時期は、毎年1/20と7/10の年2回だけとなります。

 

もちろん要件がありまして、以下の通りです。

・給与を支払う人数が常時10人未満

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出

 

上記の2つによって、申請書を提出した月の翌月から

適用されることになります。

 

もし2019年1月中に提出した場合には、2019年2月から

適用となります。

 

ですから、1月分の源泉所得税は2月10日が納期限となります。

ここは注意すべきポイントだと思います。

 

また、すべての源泉所得税が納期の特例となるのか?

というとそうではありません。

納期の特例の対象は?

次の給与や報酬に限定された措置になりますので、

こちらも知っておくと不要な罰金を払うわずに済みます。

 

対象となる給与や報酬

・毎月の給料
・従業員への賞与
・日雇い労働者への賃金
・士業などへの報酬
・退職金
・役員の賞与

 

上記以外の源泉所得税は、納期の特例を適用している状態でも

原則の通り、報酬を支払った月の翌月10日までに納付します。

 

例えば、2019年1月中に原稿料を個人へ支払ったときは、

1月中の支払分から源泉所得税を控除の上、

 

2019年2月10日までに納付をしなければなりません。

 

また、納付書も異なることになりますので、

注意が必要ですね。以下3つを例示しておきます。

 

☆給与所得・退職書職等の所得税徴収高計算書(一般用)

☆給与所得・退職書職等の所得税徴収高計算書(納期の特例用)

☆報酬・料金等の所得税徴収高計算書

 

上記以外もありますが、この辺りを知っているだけで

実務上は大丈夫です。

 

因みに、実務上の呼び名としては、

給与所得・退職所得の納付書総称で〇給(マルキュウ)と

呼ぶことが多いと思います。

 

報酬・料金等の納付書は、〇報(マルホウ)と呼ぶことが

多いかと思いますね。

 

なぜこのように呼ぶのかというと、納付書の真ん中上の方に、

〇給、〇報となっていますので、こちらから来ています。

 

まあ、完全に余談なんですけどね。

 

 

年末調整との関係を考える

さて、それでは、年末調整との関係を考えます。

 

冒頭でも申し上げた通り、納期の特例の納付期限は、

1/20に設定されています。

 

ですから、年末調整は原則的に1/20までに終了しないと

いけないことになるわけです。

 

まずは、原則通りに年末調整が完了したとして、

そのあとの納付実務がよくわからない場合が多いです。

 

つまり、納付書にどうやって書くの?ということです。

 

こんな場合の納付書の書き方はわかりますかね?

・年末調整徴収額3,200円

・年末調整還付額248,000円

 

このように、年末調整したところ、さらに徴収する従業員と

還付する従業員が出てしまった場合です。

 

まあ、書き方は税務署から送付されてくる年末調整のしかた

という冊子に書いてあるのですが、

そんなこと言うと話が終わってしまうので、

 

ここでも実際に考えてみましょう!

次の画像をご覧ください。

画像を見てわかる通り、黄色の部分にそれぞれ書きます。

 

ここが答えということになりますね。

 

つまり、さらに徴収する場合には、

年末調整による不足税額に金額を記載します。

 

還付となった場合には、

年末調整による超課税額に金額を記載します。

 

そうすることで、後は上から順に差し引きしていくと

納付金額が出る仕組みになっています。

 

注意点は、超課税額は必ず金額を引くということです。

そのためにわざわざ▲が付いています。

 

 

 

 

さて、納付書を作成して、本税と合計額に金額が残った

正の値になった場合には、銀行等で納付することになります。

 

ですが、上から足していって、マイナスの値になったら、

マイナスとは書きません。

 

この場合には0(ゼロ)と書いて、税務署へ郵送します。

つまり、ゼロであることを税務署へ伝えるのです。

 

この場合には、82円切手を貼った返信用の封筒を同封しないと

納付書の控えが返ってきませんので、注意です。

 

また、マイナスが出たということは引ききれない

金額が出たということなので、引ききれない金額は、

納付書の左下摘要に控除不足税額○○円と書きます。

一応、これは私のやり方なので、国税庁の記載のしかたには

書いていません。

 

どうして書くのかというと、7/10に納付するときに、

1/20で引ききれなかった金額を反映ささせるために書いています。

 

また再計算することが面倒だと思っているからです。

 

納付で注意すべきはスポット報酬

さて、納期の特例の納付で忘れてしまうものがあります。

それは、士業へのスポット報酬です。

 

私も恥ずかしながら、顧問先の納付書を作成するときに

忘れてしまうことがありますね。

 

士業のスポット報酬は、弁護士、社労士のものが多いですが、

まれに司法書士報酬もあります。

 

この辺りは納付期間について一度確認してから

納付書を作成するようにしたいものです。

 

一応念のために納期の特例の納付期間を申し上げると、

・7/10分

同年中の1月~6月まで

 

・1/20分

前年の7月~12月まで

 

以上のようになってきますので、会社の経理の方は、

1/20までに12月分を締めておかないと源泉所得税の

集計作業ができないことになりますね。

 

または別途、報酬だけをexcelで集計しておいて、

チェックするようにするかということです。

 

では、スポット報酬が漏れて納付してしまった場合には、

一体どうすれば良いのかというと・・・

 

新しい納付書にスポット報酬だけを記載して、

摘要欄に〇〇年1月20日納付追加分と書いて

納付をしてください。

 

当然、罰金の対象とはなりますが、加算税は5,000円未満であれば

切り捨てられるので、罰金がかかりません。

 

士業への報酬は、何か特別なことがないと大きな報酬とは

ならないと思います。

 

原則の通りに納付しておいた方が良いかと私は思います。

しかし、納付漏れに気が付いたら、できるだけ早く

追加分を納付することにした方が良いです。

 

 

納付書が分かりずらい

始めて年末調整実務に関わってもう10年くらいたちますが、

相変わらず納付書はわかりずらいと感じることがあります。

 

特に誰かに説明するときに説明しずらいということは、

様式そのものが変だからだと思いますね。

 

この場合はこう!、あの場合にはこれ!といった

柔軟なやり方は摘要でやることができるので、

実務家にとっては重宝するときもあるのですが。

 

私が年末調整実務をやって初めて悩んだのが

納付書の書き方でした。

 

最初の事務所では、ネットにつながっているパソコンは

所長室にあるパソコンだけで、パソコン自体も一人一台ではなく

入力用に何台かある程度でしたから。

 

スマートフォンもないので、調べようにも調べる手段もわからず

自分で工夫して書いていったものです。

 

それで、ミスして、怒られるという負のループになって、

周りにも聞けずじまいでした。

 

今考えるとあまり環境が良くなかった事務所で

最初の経験をしてしまったなあと思います。

 

ですが、自分で考えるということだけは身につきました。

それで今、こうしてブログで皆さんへ情報提供できてると

感じています。

 

過去に悩んだことがブログのネタになるとは

思ってもいませんでしたが、皆さんのお役に立てれば

幸いです!

 

 

 

 


編集後記

今日は午後から自分の派遣で顧問先へ訪問です。

そのあとは、顧問先の社長と新年会へGOしてきます。

 

どこのお店にしようかと考えないといけませんね。

昭和っぽいところが好きな社長なので、

立ち飲み新年会でも良いと思いますね。

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。