【税理士法違反】税務代理、税務書類の作成、税務相談は無償独占業務!




税理士法を確認すべし

税理士業界にいると一定数ですが、

税理士法違反となって、免許停止などの

懲戒処分を受ける会員が出てきますね。

 

これは、税理士法をよくわかっていない原因が

あるのではないかと思っています。

 

私も恥ずかしながら、税理士となるまで税理士法について

よくわかっていませんでした。

 

何が税理士の業務となっているのかを知りませんでしたし、

どういったことになると税理士法として問題となるのか?

 

実際に税理士法を学習したとしても経営には影響しません!

しかし、税理士が最低限知っていないといけない法律です。

 

ここでは、税理士法の一般的なこととしての知識と

どうなると税理士法に抵触してしまうのかを

一緒に見ていきたいと思います!

 

特に税理士登録した人は必見です!

 

税理士は無償独占業務である

税理士は無償独占業務であることは知っていますか?

 

なぜ無償独占業務となっているのかというと、

税理士法2条において、次のようになっているからです。

 

税理士は、他人の求めに応じ、租税(中略)、法定外目的税
(中略)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。

一、税務代理、二、税務署類の作成、三、税務相談

 

見てわかる通り、他人の求めに応じとあるだけで、

公認会計士法第二条第一項のように❛報酬を得て❜という

文言がありません。

 

従って、税理士の業務は無償独占業務という解釈となっています!

 

この無償独占業務という意味は、かなり強力だと考えられます。

というのは、他人の求めに応じ、という文言があるので、

 

これこれこういった取引の税金はどうなりますか?

という質問に税理士以外が知っていたとしても答えると

一体どうなるのか?というと・・・

 

この場合には税理士法違反となる可能性があります。

 

なぜなら、税理士法基本通達2-1にて

業とするの意義が反復継続を前提にしているからです。

 

反復継続して行うこと、そういった意思を持って行う場合には

税理士法違反となるわけですね。

 

では、税理士や税理士法人に雇われている職員、従業員は

上記をやっていますよね?という問題が生じますね。

 

これは、税理士法41条の2で使用人等に対する監督義務

という規定で税理士に監督義務を負わせています。

 

ここでは、税理士業務の適正な遂行に欠けるところの

ないよう使用人その他の従業者を監督しなければならない

という文章になっています。

 

この文章があるがゆえに、使用人に対して税理士業務を

行わせても良いという解釈となっているのです。

 

ここまでのまとめを申し上げます!

 

1.税理士の業務は無償独占業務

2.業は反復継続という意味

3.税理士は使用人等に監督責任がある

 

税務代理、税務署類の作成、税務相談の範囲

それでは、実際に税務代理、税務署類の作成、

税務相談、といった範囲について考えてみたいと思います。

 

税理士業務の対象としない租税

まず、税理士が扱う租税の範囲に入っていない

というものが存在します。

 

それは以下の通りです。

・印紙税、登録免許税
・自動車税
・電源開発促進税
・関税
・とん税、特別とん税
・狩猟税
・法定外普通税、法定外目的税

 

以上の租税については、税理士だけができる租税の範囲から

除かれていることになります。(税理士法施行令第一条)

 

皆さんが意外と思われるのは印紙税ではないでしょうか?

税理士業務ではありませんが、実務に直結していますね。

 

でも、税理士業務でないので回答できません!

と顧問先へ回答してはダメですよ(笑)

 

税務代理とは?

税務代理とは、租税に関する法令や行政不服審査法の

規定に基づく申告、申請、請求、不服申し立てにつき、

これらの申告等や税務官公署の調査、処分に関し税務官公署に

対してする主張、陳述につき、代理し、代行することです。

 

つまり、以下のようになりますね。

・租税や不服審査法に基づいて行うこと

・主張、陳述について代理、代行すること

 

イメージとしては、不服申し立ての代理、代行

ということで良いと思います。

 

 

 

 

税務書類の作成とは?

税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、

請求書、不服申立書などを作成し、かつ、税務官公署に

提出する書類(電磁的記録も含む)を作成することを

いうこととされています。

 

イメージでは、申告書の作成で問題ありません。

現在ですと、電子申告も含むことになっています。

 

因みに、税理士法施行規則第一条においては、

税務署類の範囲が設定されていますね。

 

それによれば、届出書、報告書、申出書、申立書、

計算書、明細書その他これらに準ずる書類とする

とされています。

 

ですから、税務署への抗議文として、申出書や申立書

ということで文書を作成して税務調査への違法性を訴える

ということもできたり、裁判例などを記載して、

税務署へ送付するというやり方もできるわけです。

 

税務相談とは

税務官公署に対する申告等、税務代理の主張、陳述

申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に

関する事項について相談に応ずることを言います。

 

ですから、法人、個人問わず、課税標準等に係る相談業務

ということになります。

 

よくあるのが、年末調整は社労士がやっても問題ないか?

という議論があろうかと思いますが、

 

私の理解では、年末調整業務自体は確かにできそうですが、

税務書類の作成になるのでアウト、年末調整の相談は、

課税標準等の相談に当たるのでアウトということです。

 

余談になりますが・・・

 

先日、twitterで官報合格者の方が、年末調整などの

相談にのりますよということを自身のアカウントで

行っておられました。

 

実際に自身の合格証書も実名で出しておられましたが、

税理士証票をもらうまでは、税理士ではありません。

 

ですから、そういった行為はできませんし、

反復継続する意思があるものと思います。

 

したがって、税理士法違反となる解釈になりますね。

 

東京税理士会では税理士登録する書類に、税理士業務を

していなかったかどうかを書かされたり、宣誓書も提出します。

 

登録前まではあまり派手な行為はしない方が良いと

私は思いますよ。

 

気を付けたい税理士法について

さて、ここからは、気を付けたい税理士法

ということで考えたいと思います。

 

基本的には次の3つについてですね。

 

・信用失墜行為と自己脱税

・名義貸し行為

・脱税ほう助

 

税理士法ではそれぞれ、次のように規定があります。

 

・税理士法36条(脱税相談等の禁止)

・税理士法37条(信用失墜行為の禁止)

・税理士法37条の2(非税理士に対する名義貸しの禁止)

 

一応現実的なこととして知っておいて欲しいことを

取引を交えながら解説したいと思います。

 

信用失墜行為について

こちらについては、一般的な信用失墜行為で

懲戒処分を受けた人を聞いたことはありませんね。

 

ただ、昨今の炎上商法などを税理士が行ってよいのか?

という議論はされてしかるべきかと思いますね。

 

また、税理士法では、上記以外にも色々な禁止行為の規定が

存在していますので、基本的には善管注意義務がありますよ

ということを明文化したものと私は考えています。

 

例えば、自己脱税ですね。

 

自己脱税は、簡単です。

自身の申告を期限後にやったら自己脱税

というシンプルなものですね。

 

要するに、いっぱい顧客を抱えて自分の申告ができない、

しょうがないや、還付だし、65万円控除できなくなるけど

まあ、期限後でいっか!ということで申告する税理士が

多いようなのです。

 

そこで、税理士は税の専門家ですから、こういった行為が

できるのは税理士だろう!ということで自己脱税に認定して

処分を行っている事例が多くなっています。

 

 

名義貸し行為について

近年、こちらで懲戒処分を受けている税理士が増加して

いる傾向にあるといえます。

 

取引はこのようになっていますね。

 

☆通常の取引

税理士⇐顧問の依頼⇐顧問先

顧問の依頼の業務内容(顧問、記帳代行、申告書作成)

 

★名義貸しとなる取引

顧問先⇒記帳代行会社など⇒税理士

 

現実的な取引では、記帳代行会社等から税理士へ

申告書の作成依頼があり、お金も記帳代行会社から

税理士へ入金がある取引が一般的です。

 

こうなると、名義貸しの完成となり、税理士法37条の2違反で、

罰則税理士法59条により、2年以下の懲役または100万円以下の

罰金となってしまいますね。

 

なぜなのかというと、考え方は次のようになります。

税理士法第二条で、他人の求めに応じの意味です。

 

これは、納税者から直接委任を受けることを要求していると

解釈することとなります。

 

ですから、記帳代行会社等から税理士が依頼を受けると

記帳代行会社が代理して申告書を作成したことと同様となり、

非税理士への名義貸し行為という考え方となります。

 

記帳代行会社等とつながりがある税理士は特に

注意が必要です。

 

脱税ほう助について

脱税ほう助は税理士法36条に規定がありますね。

こちらに該当すると、税理士の責任という分野において

税理士法45条の懲戒処分として、2年以内の業務停止又は

免許停止となることになります。

 

また、罰則として税理士法58条において、

3年以下の懲役又は200万円以下の罰金となりますね。

 

国税庁のホームページを見ると専門家なのに

なんでわかりやすいやり方で脱税指南をやっているのかなあと

思ってしまう案件が多数あります。

 

時間があるときにでも一度見てみると良いと思います。

 

知らないでは済まない税理士法

税理士は税理士法を知らないでは済みません。

もっと踏み込んで申し上げると、

 

税理士業界で働いているすべての人が知らないと

かなり面倒なことになってしまう場合があります。

 

そういったことに巻き込まれることが無いように

税理士法の主要な部分くらいは知っておくと

良いのかなあと思いますね。

 

 

 


編集後記

今日も年末調整地獄の続きです。

何とか、入力まではすべて完了させたいと思います。

 

昨日のスポーツクラブで気が付いていたのですが、

久々に筋肉痛になっています。大胸筋がちょっと痛いです。

 

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。