【平成31年税制改正大綱】影響があるところをピックアップして考える!




平成31年税制改正大綱

2018年12月14日に自由民主党と公明党により

平成31年税制改正大綱が発表されました。

 

当初は2018年12月13日発表だったのものの、

シングルで子育てをする世帯への寡婦控除の

取扱を嫌気した一部自由民主党の議員により、

調整のため発表が1日ずれました。

 

ここでは、影響が高いものをピックアップして

考えていきたいと思います。

 

平成31年税制改正大綱とは

平成31年税制改正大綱とは、

毎年行われる税制改正大綱の平成31年度版です。

 

ここで発表されたものが、翌年の国会に提出され

審議等を経て可決成立していきます。

 

2019年は地方統一選挙があるので、国会の開会は

2019年1月4日となっています。

 

ですから、今回の平成31年税制改正大綱の成立も

いつもより早くなると思われます。

 

平成31年税制改正大綱での目玉は、寡婦控除の適用拡大と

個人の事業承継税制でした。

 

寡婦控除の拡充は実現せず、一定の条件の下で、

住民税が非課税となる措置へと変更されました。

 

個人の事業承継税制については、10年間の時限立法です。

平成30年税制改正大綱で入った法人の事業承継税制と同様の

特例措置となります。

 

それでは、中身を見ていきましょう!!

 

平成31年税制改正大綱の中身

個人所得課税

住宅ローン控除

こちらは住宅借入金等を有する場合の所得税の

特別控除の特例が新設されます。

 

これは、平成31年10月1日から平成32年12月31日までに

住宅借入金等を有する場合の特例措置です。

 

要するに、消費税の増税に合わせてアメの部分ですね。

通常のものは住宅ローン4,000万円を限度に1%の税額控除

認定住宅は住宅ローン5,000万円を限度に1%の税額控除

ということになっています。

 

空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除

一定の要件を満たすことで空き家だった家屋、

その土地を売却した時に3,000万円特別控除を

受けられる措置となります。

 

これが4年間、適用期限が延長されます。

まだ、空き家問題は継続しているようです。

 

ふるさと納税の見直し

悲報です。ふるさと納税に制限が加わりました。

見直し案は次の通り、

 

・返礼品の返礼割合を3割以下とすること

・返礼品を地場産品とすること

 

以上の要件をすべて満たさないといけなくなり、

総務大臣が定めることになるようです。

 

この改正は平成31年6月1日以降に支出された

寄附金について適用とこと!

5月までは上記の適用を受けません!

 

5月までにふるさと納税をしましょう!!

 

子供の貧困対策の住民税の非課税措置

寡婦控除が子供の貧困対策の非課税措置へ

変貌することになりました。

 

いくらから住民税が非課税となるのかというと、

合計所得金額135万円以下の場合です。

 

給料だと総支給225万円以下の人たちが

対象となるようですね。

 

この措置に婚姻をしていない親が加わることになり、

平成33年(2021年)から適用となります。

 

ただ、前年の合計所得金額とありますので、

実際には2020年の給料の総支給が225万円以下である

必要が出てきます。

 

 

 

 

 

資産課税

個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度

相続税の事業承継

こちらが目玉だった個人の事業承継税制です。

10年間の時限立法となります。

 

具体的には、平成31年(2019年)1月1日から

2028年12月31日までの間の措置となります。

 

具体的な要件とは

・上記期間に特定事業用資産を取得

・事業を継続していく

・担保提供を条件

・取得して特定事業用資産に対応する相続税を猶予

・認定相続人であると

・被相続人、認定相続人の両方が青色申告であること

・継続届出書は3年ごとに提出

・この適用を受けると小規模宅地等の特例が受けられない

 

個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度

こちらも事業承継なのですが、贈与による納税猶予制度

ということになっていきます。

 

相続税の納税猶予よりも複雑なので、

要件は整理しておいた方が良いです。

 

期間は相続税と一緒なので割愛します。

以下要件。

 

・認定受贈者(原則18歳からだが、2022年3月31日までの贈与は20歳)

・贈与により特定事業用資産を取得

・事業を継続

・担保提供を条件

・相続開始前3年以内に事業用に使っていた宅地を
小規模宅地の特例としない
(ただし、平成31年4月1日以降の相続に限る。)

 

因みに、相続時精算課税の適用は、推定相続人以外

つまり、親族以外の者への贈与でも適用可能となります。

 

民法改正に伴う相続税関係の見直し

未成年者控除の年齢引き下げ

現行が20未満→18歳未満となる。

2022年4月1日以後の相続について適用する。

 

受贈者の年齢の引き下げ

・相続時精算課税

・直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例

・相続時精算課税適用者の特例

・非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度

 

現行20歳以上⇒18歳以上となる

2022年4月1日以降の贈与について適用する。

 

配偶者居住権の評価額の創設

・配偶者居住権

・配偶者居住権が設定された建物の所有権

・配偶者居住権に基づく建物の敷地の利用に関する権利

・建物の敷地の所有権等

 

以上についてそれぞれ評価方法を規定することになります。

多くは複利現価率を使った計算となります。

 

法人課税

研究開発税制の見直し

税額控除率の見直しと研究開発を行うベンチャー企業の

控除税額の上限を法人税額の40%(現行25%)に引き上げます。

 

法人事業税の見直し

資本金額が1億円超の普通法人の事業税の税率の

見直しが行われます。

 

税率が下がることに注意で、2019年10月1日以降に開始する

事業年度から適用されます。

 

法人税における仮想通貨の評価方法等

時価法を導入することになります。

ですから、損益は事業年度ごとに計上することになります。

 

こちらの改正は2019年4月1日以後に終了する事業年度分の

法人税について適用されます。

 

消費課税

エコカー減税

自動車重量税のエコカー減税については、

2年間延長されます。

 

ただ、税率が低くなるように見直されますので、

増税の効果がありますね。

 

自動車取得税

こちらも見直しを行って、6か月間だけ延長されます。

税率が低くなりますので、増税の方向となりますね。

 

 

自動車税の減税について

上記のように増税路線だけではなく、

自動車税は、一定の排気量の区分ごとに

減税の方向へとなっています。

 

 

影響を考える

平成31年税制改正大綱については、消費税の増税への対策と

個人の事業承継税制に関する措置が大きいです。

消費税の増税対策について

消費税については、8%⇒10%ということで、

2%の増税といわれていますが、

 

実際のは25%の増加ということになります。

というのは、10%÷8%=1.25となりますので、

25%のインフレ効果があるということです。

 

ですから、一般消費者、法人ともに、

25%を増加させた利益、給料があることが大前提なのです。

 

しかし、官製賃金増加の傾向があり、

日本はインフレになるような状況ではありません。

 

消費税で無理やりインフレを起こしているような状況だと

いえると思います。

 

それで、平成31年税制改正大綱では住宅ローン控除、

自動車税の減税といったことで対応してきています。

 

こちらも議論があるところで、本来は三党合意により、

社会保障と税の一体改革という本丸があったのですが、

現在は子供対策へも予算を割くこととなっています。

事業承継税制について

話は変わって、事業承継税制なのですが、

中身を考えると使う人はごく少数だと私は考えます。

 

なぜかというと、個人の事業承継税制を使うと

小規模宅地等の特例が使えません。

 

こちらは、土地のみに対する特例ではありますが、

対象宅地の相続税の対象となる金額を80%減額する

非常に節税効果の高い特例です。

 

特に、都市部に事業用宅地等を持っている方であれば、

相続税の対策では一番効果がある措置なのです。

 

個人の事業承継税制については、残念ながら、

対象とするものは固定設備に限られており、

相続財産の割合に占める金額としては土地よりも小さいです。

 

従って、節税効果が小規模宅地等の特例を使った場合と

比べると小さいと考えられますね。

 

また、昨今の事業承継税制の問題点なのですが、

親族外に贈与、相続することができますが、

 

これだと、相続税の申告書に親族外の人の名前が出てくる、

また、その親族外の人は相続税が猶予されるので

納付はないが、相続人は納付があるというおかしな

申告書になるわけです。

 

したがって、被相続人と事業承継者だけの話ではなくて、

家族と事業承継者との話になるということです。

 

こういった相続という資産移転の特殊性から、

親族外に事業承継させることが良いのか?

という議論も今後されてくると思います。

 

今後の税制のポイントは?

2019年1月4日には通常国会が招集される予定です。

平成31年税制改正大綱はこの国会で成立しますが、

 

もっと重要なポイントは消費税の増税に伴う

ポイント還元といった施策となります。

 

中小は5%、中小以外は2%という還元率をどのように

消費税法へ落とし込んで、世の中に知らせるのか?

 

また、公明党が主張するように商品券方式として、

どうにかすることになるのか?

 

いずれにしても、今後の動向を見ていかないと

よくわからない状態となっています。

 

 


編集後記

今日は完全オフとなっています。

ちょっと出かける予定があるので、行ってきます!

 

全然関係ないのですが、最近はまっているのが、

ロマンシングサガ・リユニバースです。

 

すでにストーリーの第一章の最後まで進めていて、

すでにHardモードをやっています。

ついでにクリスマスイベントはすでに攻略済みです。

ロマサガ最高!!

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

税務顧問や執筆などのご依頼はこちら↓

Liens税理士事務所ホームページ

 

この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。