【成年後見人等養成研修】東京税理士会研修、2日目をまとめてみた!




成年後見人等養成研修の2日目を

まとめてみました。

 

後見制度の矛盾や法律について、

分かったことを考えてみたいと思います。

2日目の講義内容は?

成年後見人等養成研修の2日目は、

次の講義がありました。

 

認知症への理解について

本人の理解:認知症等の理解

講師は医師の本間昭氏でした。

 

講義内容は、認知症診断、重症度の基準

認知症状に影響する要因、間違えられやすい状態

認知症の原因と治療という内容でした。

 

講義内では、認知症患者の支援の問題点

として、地域の身近な人に知られたくない

という思いから、身近でない地域の医者に

診療を受ける場合があるようです。

 

こうなると、介護保険制度がうまく機能しない

という現状があるようです。

 

また、医療関係者における認知症への関心の

無さも指摘されていました。

 

現状では、医療関係者への研修にとどまって

いる状態であるとのこと。

 

また、面倒な患者なのでかかりつけ医が

やりたがらない場合もあります。

これには、認知症患者を扱っても

診療報酬的に赤字となる現状があるから

ということでした。

 

加えて、認知症の診断でいまだに医師が

誤って診断していることにも気づかされました。

 

世界基準の認知症の症状を判断する

指針では、脳のレントゲンで判断は

行わないということです。

 

また、記憶障害の判断は必須ではない

ということにも驚きました。

 

加えて、認知症というと徘徊や攻撃性が

問題視されることがありますが、

1995年のデータで徘徊が6%、

攻撃的行動は4.3%となっています。

 

講師の医師がいうには、現在でも

この傾向に違いはないということです。

最も多い傾向は自発性の低下でした。

これは43.1%となっています。

 

医療現場からの意見としては、

本人の状態を家族から聞き取り調査を

行って確認するということですが、

 

この家族の心情の問題もあるので、

記憶の種類のエピソード記憶を

最も重要視して確認しているようです。

 

認知症となるとエピソード記憶に

障害がでるからです。

 

法定後見制度について

次は支援者の業務として法定後見の講師を

司法書士の高橋弘氏が担当しました。

 

法定後見は最後の手段なのですが、

今後日本の認知症患者が増える傾向と

なるので、法定後見が使われる

自体が増えるのではないかと思います。

 

法定後見が使われる原因としては、

・高齢単身世帯、高齢夫婦のみの世帯の増加
・75歳以上の後期高齢者の増加
・認知症患者の急増可能性(2025年には1,000万人かも)
・2025年には介護保険を必要とする人が4割増加

 

法定後見は、こうした高齢で単身や

高齢世帯に使われる可能性が高いと

私も思いました。

 

なぜかというと、こうした世帯は、

任意後見をしていない場合が多い、

 

家族とも疎遠となっていることや

いつの間にか判断能力が不十分となって

しまっていることがあげられます。

 

法定後見での一番のメリットは、

公的な機関による監督がつくので

一番安心、安全となります。

 

いってみると任氏代理や家族信託では、

職権乱用のようなことが起きていて、

 

経済的虐待のようなことが行われる可能性

実際に行われていると思われます。

 

法定後見であっても横領は起こりますが、

平成26年は831件で56億7,000万円だったのが

 

家庭裁判所の監視が強くなったり、

法律家のような専門職後見人への処分を

実施することにより、

平成29年度は294件14億4,000万円まで

下落傾向となります。

 

これは、法定後見という制度が悪いのではなく

横領の防止対策が不十分だったということが

原因とのことでした。

 

因みに、上記のうち弁護士や司法書士なんどの

職業専門家がおこなった不正行為は次の

通りとなっていす。

 

平成26年の831件中22件で被害総額は、

56億7,000万円のうち5億6,000万円、

 

平成29年は294件中11件で被害総額は

14億4,000万円のうち5,000万円です。

 

任意後見制度について

続いても支援者の業務として任意後見の

講師を弁護の北野俊光氏が担当しました。

 

内容としては、任意後見契約の中身、

任意後見と委任契約との差異からはじまり

 

任意契約の当事者、任意後見人の権限・義務

任意後見監督人、任意後見契約締結の実情

といったところを見てきました。

 

加えて、元公証人でもある講師ならではの

発想なんだと思いますが、

 

任意後見を受ける場合の手続についても

契約の内容を交えて解説があったのが

良かったと思います。

 

任意後見の契約締結件数は年々増加傾向で、

平成28年までの累計では、107,406件と

なっている状態です。

 

しかし、実際に任意後見が発動している

契約は2,000件程度となっています。

 

つまり、本人の判断の能力が低下して

通常は任意後見が発動しますが、

 

それをしていない契約者が多いという

実情があるようです。

 

確かに、任意代理の方がお金は判断能力を

失った年寄りから搾取しやすくなります。

 

税務上は、これが贈与や相続であれば、

生前贈与加算、貸付金認定といった

リスクがはらんでいますが。

 

上記のリスクを知らずに、かつ、

任意後見制度をないがしろにしている

そんな現実があると思いました。

 

身上保護について

最後は関連規定として身上保護と

対人援助の講師を社会福祉士の

池田恵理子氏が行いました。

 

内容としては、後見人の義務となっている

身上監護についてです。

 

一人の高齢者の事例を中心に社会福祉士

として関与した立場、ご自身のご経験を

まとめて解説されてました。

 

まあ、ネットでたたかれている

講師の人なのですが、それはそれ、

これはこれで切り離して聞いた方が

良いと思いますよ。

 

この講義では、身上監護の難しさを

解説されていると感じました。

 

事例の高齢者はセルフネグレクトの

高齢者でした。

 

セルフネグレクトとは、自己虐待です。

すでに判断能力が劣ってきているのに、

 

自分のおかしさに気が付かず、

それが回りまわって、自分の命を

危険にさらしてしまう状態です。

 

ですから、周りの人が何を言っても

聞かないのです。

 

民生委員の訪問は期限が良ければ

受けたようですが、基本は大丈夫といって

訪問を受け付けない。

 

ゴミ出しがうまくできなくて近隣トラブル

その結果、自宅がゴミ屋敷状態、

 

いつもコンビニ弁当でなぜかいつも

1,000円札のみで購入していく。

 

いつも同じ格好をしていて、夏なのに

綿入りのベストを着ている。

 

ATMでお金が下ろせなくなり、

医者にもかかっていなかった。

 

こうしたことで月日が過ぎて、

公的機関が訪問にいったら救急車で

病院へ搬送される事態となっていた。

 

ここから、成年後見人としてどうやって

かかわっていくのかということが

主眼の講義でした。

 

世の中世知辛いなと思ったのは、

この高齢者は親族もいたそうですが、

 

疎遠となっていて親族は全く協力的

ということはなかったそうです。

 

遺体の引き取り、葬式なども拒否され

遺骨についても引き取り拒否でした。

 

しかし、本人の最後に余った20万円くらいの

お金だけは受け取りをしたということですかね。

 

 

認知症の理解と支援者の業務とは?

上記の講義で思ったことを少しまとめて

見たいと思います。

 

認知症患者への理解

認知症患者の理解という部分です。

これは家族から見ると認めがたい

心情が出てくるのだそうです。

 

特に、母親が認知症となった場合の

息子の心情であると講師の医師は

仰っていました。

 

また家族によって見方が変わるという

ことが分かりましたね。

 

つまり、一つ一つの行動におかしさを

気づけていない場合があるということです。

 

いつも同じ料理ばかり作り始める

事例としては、ずっと豚肉のソテーを

出されていたということもあったそうです。

 

味付けが変わってきたのにあまり

気にしていないこともあるようです。

 

また認知症への家族の接し方にも

十分な注意があると仰っていました。

 

例えば、記憶障害があるのに、介護者が

言ったことをやっていなかったことで

介護者が怒るということです。

 

例えば、洗濯物を入れておいてと

記憶障害がある認知症患者に伝えても

そういったことは忘れてしまいます。

 

その後、介護者が洗濯物を入れてなかった

ということを問い詰めても本人は

なぜ怒られるのか不明という状態になる。

 

これが続くと当然、認知症の行動や

心理症状が進んでしまうこともあるそうです。

 

ただ単に認知症といっても色々な

症状や状態があるので、それを正しく

理解して程度に合わせて接することの

重要性があるのだと思います。

 

 

支援者の業務として

支援者の業務としては、まずは財産管理が

主だった仕事になることは言うまでもないです。

 

ここで問題となるのが先ほど紹介した

横領の問題点です。

 

直近でさえ、14億の横領がありました。

世間では、この横領がクローズアップされて

後見制度自体のイメージが悪いようです。

 

ですが、今は横領防止として、

被後見人(本人)の財産状況によっては、

 

監督するような第三者が就くことが

一般的となっています。

 

例えば、司法書士であれば、司法書士会が運営する

公益法人が後見人である司法書士を監督するような

体制となっていたりするようです。

 

加えて、後見人の権限を理解することが

最も重要でもあるようです。

 

権限とは、同意見、代理権、取消権の

3つの違いとそれぞれどの権利を持っているか

ということです。

 

ここを理解していないと後見人が

一体なにをやればよいのかが分かりません。

 

結論から申し上げると後見人の権限は、

同意見だけがなく、代理権と取消権を

もっているということになります。

 

ここで、同意見がないということが

どのような意味をもつのかというと、

 

身上監護でも問題となりますが、

被後見人(本人)の医療的同意についてです。

 

病院としては医療過誤を恐れているので、

手術などをする場合には家族の同意書を

取っている場合が多いです。

 

病院とすればほぼ、身寄りのない患者で、

後見人がついていれば、後見人が一番知っている

人物という考えから同意書にサインを

依頼してくる場合があります。

 

しかしながら、後見人には同意見がありません。

もし、親族がいて、協力してくれれば

いいのですが、現実的には難しい場面が

いいと思います。

 

このような時にいったいどう対処するのか?

ということが問題となる場合があります。

 

身上監護(身上保護)とは?

身上監護(身上保護)とは、

成年被後見人(本人)の医師を尊重し、

かつ、その心身の状態及び生活の状況に

配慮しなければならないとされています。

 

後見人としての役割は?

ここでの問題点は、本人の意思をどれだけ

後見人として応じることができるのか?

ということだと思います。

 

認知症患者においては、症状によって、

毎日言うことが違ったり、忘れていたり

することがあります。

 

また、セルフネグレクトのように自分の

状況がわからない症状の被後見人もいるのです。

 

身上保護への一般人の誤解と後見人の関わり

このような本人に後見人ができることは、

法律行為だけという認識が一般人に浸透して

いないという事実が残念なところです。

 

この身上監護ということは、本人の意思を尊重して

そのための法律行為を後見人が代理することなので、

 

その上で、介護をしたり、病院へ付き添う、

手術の同意を行うといった事実行為はできない

ということが法律になっています。

 

今後は、この福祉的なところが検討されて

後見人へどのような影響があるのかは

分かりませんが、法律がかわることも

今後はあるのかもしれません。

 

 

まとめ

今回はまだ、2日目ですが、

後見制度の矛盾的なものが見えてきました。

 

また、それと同時にどうやって後見人の仕事を

やっていくのかということもわかってきました。

 

 


編集後記

今日は研修3日目です。

最終日なので、ようやく一安心です。

ただちょっと日程を詰めすぎですね・・・

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。