月額の役員給与を変更するときの実務上の対応の仕方




今回は月額の役員給与(定期同額給与)について実務上の対応の仕方を紹介したいと思います。

★月額の役員給与とは?

法人税法上、月額の役員給与とは定期同額給与とよばれ、変更できる期間内に一定の手続きを経て変更しなければ、税金計算上で役員給与として経費が認められなくなります。

一定の期間とは、期首から3カ月以内になります。3月決算を例としますと、6月までに変更をしなければなりません。それから、一定の手続きとは定時株主総会又は臨時株主総会にて変更後の金額を決めておく必要があります。

 

★定期同額給与の実務上の対応について

上記のことから、期首から3カ月以外は原則できません。特例的な取り扱いはあるもののかなりハードルが高いのが現実です。ただ、3か月後でも変更してしまって、かつ、税務調査でも認められる方法があります。実は、7/10まででしたら役員給与を決めなくとも大丈夫な方法です。

これができる前提条件は以下の会社様です。

①期首から7/10までの間に年末調整が入らない

②源泉所得税の納期の特例を受けている

③短期借入金又は長期借入金勘定を使用している

上記の3つを満たすことができれば、それが可能なのです。

まず、なぜ年末調整をまたいではいけないのかというと、年末調整はその年の1年分の収入を確定させてしまうので、年末調整までに役員給与を決めなければならなくなるのが理由です。納期の特例もあげている理由は、納期の特例ですと源泉所得税の納付がその年7/10と

翌年1/20の2回になるので、7/10が会社様の決算後最初の源泉所得税の納付期限となります。ということは、7/10までは役員報酬を決めなくとも納付書に金額を書く必要がないため、誰にもバレないということになります。借入金勘定を使う必要がある理由は、普通預金などで支給してしまうと支給額がばれますので、給料の処理を借入金勘定で支給額を処理しておけば、普通預金から社長様への振り込みは借入金の返済という処理ができますので、自由自在に給料の金額を変更できるということが可能になるからです。

したがって、上記3つの条件が揃えば、7/10までに6月支給分までを決めればよいということになります。ですから法律上では3カ月以内ということであっても3カ月を経過した後でも変更が可能となります。

 

★決算から7/10までの間に年末調整がある場合にはどうしたらよい?

この場合も、対応することはできます。会社様は事業年度を自由に変更ができますので、例えば9月決算を12月決算にするという臨時株主総会を開いて12月決算にすれば、1月から6月までの給料は変更し放題になります。




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。