【相続と消費税】相続人が複数いた場合の課税事業者判定を税理士が解説

相続 事業承継 インボイス




【相続と消費税】相続人が複数いた場合の課税事業者判定を税理士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

相続人が複数いた場合の

課税事業者判定を解説します。

 

前提として相続人は事業をしてない

免税事業者であるものとします。

 

それでは、スタートです!!

 

相続があった場合の課税事業者判定概要

消費税の課税事業者の判定では

その年の2年前(基準期間と言います。)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうか

になります。

 

相続があった場合には以下の2つ

に分けて課税事業者判定をします。

・相続があった年

・相続があった年の翌年と翌々年

 

相続があったことで課税事業者

判定に含まれる人は

相続により亡くなった人の行っていた事業の全部又は一部を継続して行うため財産の全部又は一部を承継した場合

になります。

 

この考え方がポイントになるのは

相続があった年の翌年と翌々年

になります。

 

因みに相続人に含まれる人は

相続があった日の属する年の基準期間において事業を行っていない者

になります。

 

これを定義しておかないと

現実で不都合が起こるためです。

 

相続人が全く個人事業をして

いない場合に、上記の定義がないと

 

課税事業者判定に影響を

及ぼすからです。

 

 

相続年の課税事業者判定とインボイスとの関係

さて、相続があった年の課税事業者

の判定は次の通りです。

相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円を超える場合は、相続があった日の翌日からその年の12月31日までの間の納税義務は免除されません。

国税庁 No.6602 相続で事業を引き継いだ場合の納税義務についてから抜粋

 

令和7年中に亡くなった人が

事業を行っている場合には

 

事業をしていた亡くなった人の

令和5年の年間の課税売上高

で判定することになります。

 

令和5年の年間の課税売上高が

1,000万円を超えていれば

課税事業者になります。

 

因みに、令和7年において

課税事業者である場合の

 

令和5年の年間の課税売上高は

税抜で判断します。

 

 

そうすると相続人が複数いる

ことを前提にすれば

 

相続人は全員が課税事業者

として消費税の申告・納付が

必要になります。

 

では、亡くなった人が

インボイス発行事業者である

といった場合は

令和5年の課税売上高が1,000万円以下だったとしても、インボイス発行事業者は課税事業者であるため納税義務は免除されない

ことになります。

 

インボイス発行事業者は

課税事業者が前提になります。

 

基準期間の課税売上高という

もので課税事業者判定をする

というのではなくて

 

前提として課税事業者なので

そもそも基準期間の課税売上高

という判断はしなくてもよい

ことになります。

 

相続があった場合の翌年と翌々年の課税事業者判定

相続があった年の翌年と翌々年

の課税事業者判定は

相続があった年の翌年または翌々年の基準期間における被相続人の課税売上高と相続人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、相続があった年の翌年または翌々年の納税義務は免除されません。

国税庁 No.6602 相続で事業を引き継いだ場合の納税義務についてから抜粋

 

相続があった年と異なるのは

亡くなった人と相続人の課税売上高

の合計額という部分です。

 

相続があった年ではなくなった人

だけの課税売上高で判断していました。

 

相続人が複数いると実務上の

ポイントでは

基準期間における亡くなった人の課税売上高

になります。

 

こちらの判断は

被相続人に複数の相続人がある場合において、被相続人の事業を相続人のうち一人が事実上承継しているとしても、当該相続財産が実際に分割実行されるまでの間は被相続人の事業を承継する相続人は確定していないことから、各相続人が共同して被相続人の事業を承継したものとして取り扱うこととなります。この場合において、被相続人の基準期間における課税売上高に民法上の相続分に応じた割合を乗じて算出した金額を各相続人の基準期間における課税売上高として、各相続人が課税事業者となるかどうかを判定します。

国税庁 No.6602 相続で事業を引き継いだ場合の納税義務についてから抜粋

 

現実に当てはめると

相続が起こると亡くなった人の

財産は相続人全員の共有財産

になります。

 

共有財産では財産の所有権者が

不明になってしまいますので

 

財産を誰がもらうのかを確定する

遺産分割を行います。

 

分割が実行されて初めて

共有財産から相続人固有の

財産になります。

 

ここまではよいと思いますが

上記の分割がされるまでの間

は共有財産なので

 

亡くなった人の課税売上高も

民法上の相続分に応じた割合で

 

各相続人に分けて判断する

ということにしておかないと

不都合が生じます。

 

例えば、令和6年9月30日に

亡くなってしまって

 

いろいろと亡くなった人の

手続きなどをして遺産分割は

二の次になってしまい

 

気が付いたら令和7年2月だった!!

といったことを考えます。

 

こうなると亡くなった人が

課税事業者であったとしたら

 

令和6年分の消費税の申告

納付は誰が行うのか

という問題が生じてしまいます。

 

先ほども申し上げたように

遺産分割が実行されるまでの

間は共有財産なので

 

基本的には相続分で分けて

消費税の申告・納付をする

ことになると考えられます。

 

すると令和6年が基準期間に

なる令和8年の相続人の

課税事業者判定では

 

やはり相続分に応じた割合で

計算した亡くなった人の

課税売上高を計算して

 

相続人の基準期間の課税売上高

と合計した金額で

 

課税事業者判定を行うことに

一定の合理性はあるという

考え方です。

 

 


編集後記

税理士として研修を受けて

いると事業をしている人の

相続については

 

税理士はスポットでお引き受けする

という場合には一定のリスクが

つきまとう可能性があると考えます。

 

亡くなった人の申告関係

だけではなくて

 

相続人間のインボイス登録の

調整まで入ってくると

 

これは、非弁行為??になる

可能性があるのではないか

と考えてしまいます。

 

事業を承継する相続人は

インボイス登録をするが

 

事業を承継しない相続人は

インボイス登録をせずに

済ませてしまうこともできるので

 

こういった場合の

インボイス発行についても

実務上の疑義が生じる場合が

あると考えられます。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。