【新設法人向け】インボイス登録はしたほうがよいか?税理士が解説

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【新設法人向け】インボイス登録はしたほうがよいか?税理士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

新設法人向けとして

インボイス登録の可否を解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

インボイス登録は消費税の側面から判断する

インボイス登録をするかどうかを

判断するときには消費税における

2つの側面から考えます。

 

①取引先に与える影響を検討

②設立事業年度は還付?免税のどちらになるのか

 

インボイス制度ではインボイス登録を

した事業者同士でなければ

 

取引先の消費税の計算で

税額控除が一部制限されます。

 

結果、取引先は免税事業者との取引に

消極的になる可能性があります。

 

取引先で税額控除が一部制限とは

当社が取引先へ請求した金額について

消費税を付加したとします。

 

例えば、11,000円(1,000円を消費税)

として請求した場合は

 

取引先が消費税の実額計算をするときに

1,000円の税額控除ができます。

 

これがインボイス登録事業者同士の

取引による計算です。

 

しかし、当社が免税事業者だと

取引先は負担した1,000円のうち

 

現状だと800円の税額控除になり

200円は税額控除できなくなるので

損をするというイメージです。

 

これがインボイス制度の問題点

になります。

 

話は変わります。

 

当社がインボイス登録をすると

当社は消費税の課税事業者になります。

 

というのは、課税事業者だけが

インボイス登録をできるルールに

なっているからです。

 

すると、当社の設立事業年度から

消費税の申告が必要になります。

 

この点、設立事業年度は売上が少なく

経費が売上よりもかかるので

消費税は還付になる場合があります。

 

これは、実額計算を行った場合に

起こる可能性があるのです。

 

実額計算では

売上の消費税-経費の消費税

という差引計算になります。

 

売上が少なければそれだけ

請求した消費税も少なくなり

 

対して消費税の対象になる経費は

売上よりも多くなる可能性があるので

還付になる可能性があるという考えです。

 

 

2期目以降の消費税の負担も考える

設立事業年度は還付になるため

インボイス登録をしたと仮定します。

 

では、2期以降は売上が年間で

1,000万円いかないので

 

インボイス登録をやめたいと考えて

いたとしたらできるのでしょうか。

 

現行法令上ではインボイス登録日以降

2年を経過する日の属する課税期間までは

 

インボイス登録をやめることは

できないことになっています。

 

例えば、令和7年5月15日が登録日だと

仮定すると

 

令和9年5月15日が属する課税期間

まではインボイス登録をやめることが

できないのです。

 

仮に3月決算法人だったとしたら

令和10年3月31日までの事業年度まで

インボイス登録は継続されます。

 

すると設立事業年度から3期までは

消費税の申告をすることになり

 

設立事業年度は還付であったとしても

2期目や3期目は売上の上昇により

消費税の納付になる恐れがあります。

 

 

このように消費税の負担を考えると

設立事業年度の還付は

 

2期目と3期目の納付によって

消えてしまう恐れがあるわけです。

 

設立法人のポイントとしては

設立日から遡ってインボイス登録が

行われることになるので

 

3期目まで消費税の課税事業者になり

消費税の申告が必要になることが

デメリットと考えられます。

 

実務上の落とし穴として考えられる

ことは2期目以降の売上が年間で

1,000万円を超えるようになると

 

4期目以降は自動的に消費税の

課税事業者になることです。

 

こういった場合にはインボイス登録は

やめたとしても課税事業者には

変わりはありませんから

 

4期目以降も消費税の申告は必要になり

納付が発生するかもしれません。

 

消費税の課税事業者の判断は

インボイス登録をすること又は

 

2年前の売上が1,000万円を超えている

ことのいずれかになります。

 

したがって、インボイス登録をやめた

としても2年前の売上が1,000万円を

超えている状態であれば

 

消費税の課税事業者になり

消費税の申告と納付が必要になる

恐れがあります。

 

 

結果としてインボイス登録しないほうが負担が減る可能性

以上のことから将来の売上見込みが

1,000万円を超える見込みがある

ということであれば

 

インボイス登録を無理にする必要はなく

通常の通り免税事業者でいることができる

期間は免税で通したほうが得します。

 

基本的には設立事業年度は売上が少なく

課税事業者の要件に該当しなければ

免税事業者です。

 

2期目も課税事業者の要件に該当

しなければ免税事業者です。

 

3期目は1期目の年間の売上を年換算して

1,000万円以下で、ほかの課税事業者要件に

当たらなければ免税事業者です。

 

4期目以降も以下同文となります。

 

ここまでのことの結論としては

免税でいられるうちは免税とした方が

消費税の負担を抑えることができ

 

法人税の申告・納付だけで済む

ことになります。

 

 


編集後記

免税事業者がインボイス登録をすると

2割特例を使うことができます。

 

2割特例が使える要件もポイントで

免税事業者であり、インボイス登録した

事業者限定の措置です。

 

つまり、年間の売上が1,000万円を超えた

場合に課税事業者になる事業年度では

使うことができません。

 

先ほどの例だと4期目からは実額計算です。

 

この点、簡易課税で申告・納付したい

という場合には、3期目までに

 

簡易課税選択届出書を提出して

簡易課税を選択しておく必要があります。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。