【生命保険の課税関係】所得税、贈与税、相続税ごとに解説
こんにちは!
税理士・行政書士・社会保険労務
の齋藤幸生です!
今回は・・・
生命保険の課税関係について
解説した記事です。
それでは、スタートです!!
生命保険の所得税の課税関係
所得税の課税関係では大きく分けて
2つ適用関係があります。
①生命保険料控除
②所得税の確定申告が必要になるケース
生命保険料控除とは
年末調整や確定申告で生命保険料控除として一定の金額が所得控除になること
生命保険料控除は契約ごと
支払った保険料ごとに次のように
控除金額のルールがあります。
新契約(平成24年1月以後の契約)
年間の支払保険料 | 生命保険料控除の金額 |
2万円以下 | 支払保険料の全額 |
2万円超4万円以下 | 支払保険料×1/2+1万円 |
4万円超8万円以下 | 支払保険料×1/4+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
旧契約(平成23年12月以前の契約)
年間の支払保険料 | 生命保険料控除の金額 |
2.5万円以下 | 支払保険料の全額 |
2.5万円超5万円以下 | 支払保険料×1/2+1.25万円 |
5万円超10万円以下 | 支払保険料×1/4+2.5万円 |
10万円超 | 一律5万円 |
上記が一般、介護、個人年金
という保険ごとに適用されます。
旧契約の場合は一般と
個人年金だけになります。
所得控除とは
所得税の課税対象になる収入金額から控除することができる経費のようなもの
になります。
さて、所得税の確定申告が必要に
なる場合は
①被保険者、契約者、受取人がすべてあなたで満期になったこと
②被保険者が第三者、契約者と受取人があなたで満期又は第三者が死亡したこと
一時所得になります。
最も保険金をもらった場合の
一時所得の計算は
{(保険金ー支払保険料)ー50万円}×1/2
になります。
上記で計算したものが
総合課税として算入されて
他の総合所得の対象になる収入
例えば、給与所得などと合計し
確定申告します。
ただし、年金方式で保険金を
もらう場合には雑所得として
確定申告する点がポイントです。
生命保険の贈与税又は相続税の課税関係
さて、保険金をもらって税目が
異なることがあります。
贈与税になる場合
被保険者と契約者があなた、受取人が第三者で満期になること
になります。
相続税になる場合
①被保険者と契約者があなた、受取人が第三者であなたが死亡したこと
②被保険者と受取人が第三者、契約者があなたであなたが死亡したこと
ここまでくると混乱しますので
贈与税だけに絞ってどうなって
いるのかを考えてみます。
保険金を受け取ることになった
原因が満期である必要があります。
次に受取人は妻と考えてみます。
契約者と保険料を支払っている
のがあなた(夫)だったと仮定します。
すると次のように考えることが
できます。
夫が保険契約を行って保険料を
支払い、妻に保険金の受取人に
なってもらったと整理可能です。
次に、保険金が発生した原因が
保険の満了に伴う満期返戻金だと
考えます。
すると、夫は満期返戻金を妻に
あげるために保険を契約して
保険料を支払ったと整理できます。
結果、満期返戻金を受け取った
妻は何ら金銭的負担をしないで
もらったことになりますから
贈与税の課税対象になる
ものを夫からもらったと考えます。
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次に相続税になるケースを
考えてみます。
こちらもあなたが夫で
第三者が妻とするとわかりやすいです。
相続税になるケースでは
保険金が発生する原因が
夫の死亡です。
契約上では2つのあったはずです。
①被保険者が夫又は妻であること
②契約者は夫であること
③受取人は妻であること
結果、相続税になるケースで
共通している要件は3つになります。
①夫が死亡すること
②契約者は夫であること
③保険金の受取人は妻であること
相続税では死亡保険金には
非課税措置があります。
相続税の課税対象になるケース
では2つありますが
非課税措置の対象になる保険金は
被保険者が夫であるケースだけです。
なぜなら、被保険者が妻の場合は
妻は夫が死亡した時点では死亡して
いませんから死亡保険金ではなく
保険契約の引継ぎを行う権利
というものになります。
どうしてこうなるのかというと
保険は被保険者に何かが起こった
場合に備えて
被保険者に起こった事由によって
保険金が下りるからです。
被保険者が夫の場合は死亡した
という事実があるため死亡保険金
になり妻が受け取ります。
しかし、被保険者が妻だと妻には
何も起こっていませんので
妻に何かが起こるまで保険金は
下りないことになります。
ただ、妻に代わって夫が保険料を
支払ってきているため支払った保険料
について保険の権利という形をとり
相続税の課税対象にする考え方です。
税目を判断するポイント
ここまでくるとどの税目に
なるのかがわからなくなります。
手っ取り早く判断するポイントを
紹介します。
判断ポイントは契約者、受取人
保険金が支払われる事由(保険事故)
で区別されます。
契約者 | 受取人 | 保険事故 | 税目 |
あなた | あなた | 満期又は第三者の死亡 | 所得税 |
あなた | 第三者 | 満期 | 贈与税 |
あなた | 第三者 | あなたの死亡 | 相続税 |
上記を夫婦で表すと
契約者 | 受取人 | 保険事故 | 税目 |
夫 | 夫 | 満期又は妻の死亡 | 所得税 |
夫 | 妻 | 満期 | 贈与税 |
夫 | 妻 | 夫の死亡 | 相続税 |
被保険者の判断がないのは
なぜなのかというと
被保険者に何かあった場合に
保険金が下りることになりますので
保険金が下りる判断と税目の
判断は別だからです。
言い換えると被保険者が誰であるか
ということは税目の判断に間接的に
影響はありますが
被保険者の判断は保険事故で
確認できるため税目だけの判断
であれば確認が不要になります。
編集後記
実務上、保険についてどうやって
確認するのかというと
満期になった場合には保険会社から
はがきがきて確定申告が必要ですよ
といった連絡が来ます。
ただし、最終的なご判断はご自身で
又は税理士に相談してください
といった文面が付いてきます。
相続税は死亡した場合に
保険会社の相続センターで
手続きを行うことで
保険支払に関する通知書が
発行され、保険項目ごとに
明示されてきます。
これによって相続税になる
ものを判断することになります。
法理論的には今回解説した
通りになりますが
実務上では案内付きで判断が
できるようにしているわけです。
では税理士・行政書士・社会保険労務士
の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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