【インボイス制度】期間をまたぐ取引の解説第1回
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
インボイス制度で期間をまたぐ
取引に関する解説の第1回です。
今回は売手側にスポットを
当てます。
全2回でお送りするので
2回目は来週の月曜日になります。
それでは、スタートです!!
対価を前受した場合の取扱
業種によっては対価を前受で
受領する売上があります。
例えば、IT業における維持保守
についてです。
維持保守で行われる取引は
月額を年額にして請求を行い
前受をしてしまうというような
取引です。
この場合は請求した日が
2023年9月以前であれば
いままでの請求書を交付します。
問題は次のような取引が
あった場合です。
請求日:2023年4月30日
請求内容:維持保守
請求期間:2023年4月~2024年3月
請求金額:660,000円(月額55,000円)
疑問は2023年10月1日以降の維持保守に関するものは適格請求書等を交付しなければならないのか?
答えは、適格請求書等を交付する
義務が生じます。
ただし、相手方からの求めに
応じて交付する義務がある
ということになります。
現実的には2つの対応方法が
あると思います。
①請求書のまき直し
②2023年10月~2024年3月までの請求書に適格請求書記載事項の不足分を補う方法
請求書のまきなおしは
2023年4月に交付した今までの
請求書を適格請求書に直して
再交付する方法です。
2023年9月以前に適格請求書等を
発行したとしても問題はありません。
もう一つは、すでに発行した請求書
に適格請求書等の記載要件の不足分
を補う方法です。
恐らく、今までの請求書で不足する
部分としては
①登録番号
②税率ごとに区分した税抜又は税込の金額の合計額及び適用税率
③税率ごとに区分した消費税額
になると思います。
こちらを相手方に通知して
適格請求書等の記載要件を
満たすようにしてもらう方法
になります。
登録日から登録の通知を受ける場合の取扱
2023年9月中にインボイス発行
事業者の登録申請をすると
現状では2023年10月1日までに
登録番号が発行されない可能性
があります。
国税庁が2023年8月25日に更新した
適格請求書発行事業者の登録件数及び登録通知時期の目安について
という資料によれば
次のようになっています。
提出時期 | 登録通知までの目安 | |
e-Tax提出分 | 書面提出分 | |
5月16日~5月31日 | 発送済み | 8月下旬 |
6月1日~6月15日 | 9月上旬 | |
6月15日~6月30日 | 9月下旬 | |
7月1日~7月15日 | 送付が10月以降になる場合がある | |
7月15日~7月31日 | 8月下旬 | |
8月1日~8月15日 | 9月上旬 | |
8月15日~8月31日 | 9月下旬 |
集計は8月15日現在の申請
登録状況になっています。
上記の表から見て取れることは
月を15日で分割して
e-Taxの場合には登録申請した
月の上旬であれば翌月上旬には
登録番号が発行されて
登録申請した月の下旬であれば
翌月下旬には登録番号が発行される
ということです。
書面だと申請した月から3か月後
に交付されるパターンです。
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通常だと9月1日~15日までに
e-Taxで申請した場合には
10月の上旬には登録番号が
発行されることになります。
結果、9月中に申請書を提出した
場合には10月1日に登録番号が
間に合わなくなる可能性はあります。
では、10月1日~登録番号が発行
される前までの間の取扱を解説します。
①登録番号が発行されるまでの間
→請求書は今までの請求書を交付する②登録番号が発行された後の対応
→適格請求書等で再発行する又は適格請求書等の記載不足のところを補う情報を送付する
②については上記の
対価を前受した場合の
取扱と同じになります。
2023年(令和5年)10月をまたぐ取引の場合
インボイス制度後に起こる可能性が
ある取引として請求の締め日により
10月をまたいでしまう取引があります。
具体的には
売上の締め日:当月16日~翌月15日まで
といった翌月の特定の日を
締め日にしているケースです。
具体例であれば9月16日~
10月15日までになります。
こちらの適格請求書等の交付方法
は2つが考えられます。
①9月16日~30日分と10月1日~15日分を分けて記載する方法
②期間の区分をすることなくすべて適格請求書等の書式で記載して送付する方法
①の場合には9月30日までの分は
今までの請求書の記載のとおりで
問題はありませんが
10月1日~15日までの分は
適格請求書等の記載要件を
満たした請求書を交付する
ことになります。
対して②については期間を分けず
全部を適格請求書等の記載要件を
満たした請求書を送付します。
②については適格請求書等にすれば
相手方は消費税で困ることがないため
すべて適格請求書等にしても問題ない
という考え方です。
編集後記
今回は売手側の期間をまたぐ
取引について解説しました。
上記以外にも同じような
ことはありえると思うので
対応としては
すべてを適格請求書等にして
再交付が最も簡単だと思います。
10月1日以前に適格請求書等に
したとしても問題がないからです。
あまり深く考えずに全部
適格請求書等にするという方向性
の方がわかりやすいと思います。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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