軽減税率が簡易課税に及ぼす影響を税理士が解説
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
軽減税率が簡易課税に及ぼす影響を
税理士が解説します。
それでは、スタートです!!
軽減税率と簡易課税
軽減税率は消費税の税率が8%になる
取引のことを言います。
簡易課税に該当する取引は
限定されています。
売上や経費でそれぞれ軽減税率になる
取引の場合には軽減税率で処理をする
ということになります。
実務上、消費税の計算の基となる
会計帳簿では消費税の区分を特定して
設定する処理を行います。
会計帳簿の入力画面では
消費税の区分が借方と貸方双方にあり
簡易課税の表示としては
簡易課税8%などで表示されます。
簡易課税は一定の小規模事業者に
認められた消費税の計算方法です。
計算方法は次のようになります。
預かった消費税ーみなし仕入れ率
=納付額
簡易課税の場合には基本的には
納付になる計算になります。
理由は、みなし仕入れ率の最高率が
90%と法定されているので
預かった消費税から控除可能な
上限が90%です。
したがって預かった消費税額のうち
10%部分が残りますので納付額になる
ということになります。
軽減税率が簡易課税に与える影響とは?
軽減税率が簡易課税に与える
影響を考えてみます。
簡単に考えるために前提として
簡易課税だけの売上しかないと
仮定します。
簡易課税の計算は上記でも申し上げたように
預かった消費税ーみなし仕入れ率です。
では、預かった消費税はどのように
計算されるのかというと
10,800円の売上だとしたら
10,000円が本体の金額になりまして
800円が預かった消費税になります。
みなし仕入れ率を90%にすると
800円ー(800円×90%)=80円
という計算になります。
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上記のように簡易課税は売上という
収入の消費税額を基に計算するので
軽減税率が簡易課税に与える
影響としては納付額の金額になります。
例えば、本当は軽減税率の売上なのに
10%で会計上処理をしたとすると
次のようになります。
売上は税込で10,800円とした場合
1,080円が預かった消費税になります。
簡易課税で計算してみると
1,080円ー(1,080円×90%)=108円
ということになります。
軽減税率の納付額と比べてみると
108円ー80円=28円の差が生じます。
この様に軽減税率の売上なのに
10%で処理したとすると
納税者が納付する金額が増える
ということになりますね。
軽減税率なのに消費税10%で申告したらどうなるのか?
軽減税率なのに消費税10%で処理して
申告したらどうなるでしょうか?
この場合には納税者がより多くの
消費税を納付しています。
問題は税務署がどのように出てくるのか?
ということになろうかと思います。
何もおとがめはありません。
というのはより多くの税金を支払っている
状況なのかどうかは申告した時点では
分からないからです。
基本的には申告は適正に行われている
ことを前提に処理を進めます。
では、納税者が軽減税率なのに
消費税10%として申告したことに気が付き
税金を取り戻したと思ったときは
どうしましょうか?
この場合には「更正の請求」という
手続になります。
こちらに科目別税区分表を添えて
税務署へ提出することになります。
実務上の話ですが「更正の請求」をしたら
税務署はどのような処理をするのかというと
次のことが想定できます。
①さらに資料の提出を求める
資料とは、売上の請求書や
得意先との契約書などになります。
②①の後に税務調査になる
①の資料を送付することで
税務署の担当部署が納得しない場合には
税務調査になります。
この税務調査では間違って申告した
事業年度又は年を中心に行われる
可能性が高くなります。
編集後記
今回は軽減税率と簡易課税について
解説してみました。
先ほどの例で、軽減税率なのに
消費税10%として申告後
更正の請求をした場合には
消費税だけの問題では済みません。
消費税の納付額を未払消費税として
元々処理している場合には
納付額が減ることになると思いますので
会計上では租税公課の金額が減ります。
ということは法人税や所得税の計算では
納付額を減らす必要が出てくるので
修正申告も同時に行います。
法人税は地方税も絡んできますので
法人県民税や法人市民税も修正申告です。
また修正申告の納付期限は修正申告を
提出した日になるので納付日は注意が
必要になります。
所得税は後日、住民税の決定通知書が
送付されてきますので、増えた住民税を
納付するということになります。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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